辨 |
クワイには、青グワイ・白グワイ・吹田グワイの3品種がある。 |
オモダカ属 Sagittaria(慈姑 cígū 屬)については、オモダカ属を見よ。 |
訓 |
和名のクワイの語源についての諸説は『日本国語大辞典 第二版』を参照。
牧野の説は、「和名くわゐハ按ズルニ蓋シ食ヒ得ベキゐ(燈心草)ノ意ニシテ元來ハ今日謂フくろぐわゐ(かやつりぐさ科)ノ名ナリシナラン、而シテ後之レガ慈姑ノ名ニ轉用ナサレシナラン乎、くわゐヲ葉形ニ基キ嚙ヒ破レ葉ノ義ニ採ルハ中ラズト考フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
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古来和語でクワイと呼んだものに2種ある。
くわい(白ぐわい): 漢名を慈姑(ジコ,cígū)というもの、ここにいうクワイ
黒ぐわい: 漢名を烏芋(ウウ,wūyù)というもの、すなわちカヤツリグサ科の
オオクログワイ Eleocharis tuberosa の根茎
(正確にはその日本における代用品 クログワイ E. kuroguwai の根茎) |
『本草和名』烏芋に、「和名於毛多加、一名久呂久和為」と。
『倭名類聚抄』に「烏芋、〔和名久和井〕、生水中沢潟之類也」と。
『大和本草』に、「烏芋(クロクハイ) 荸薺トモ云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』慈姑に、「クワヰ和名鈔 クワヱ シログワヰ ツラワレ越前」と。クログワイの訓をも参照。 |
漢名慈姑(ジコ,cígū)は、「一根 歳に十二子を生ず。慈姑の諸子を乳(ハグク)むが如し。故に以て之に名く。茨菰に作るは非なり」(『本草綱目』)。 |
説 |
中国原産、野生のオモダカから作られた栽培植物。地下の塊茎を食用とし、中国・日本で栽培する。 |
日本への渡来時期は不明。
今日では、クワイの主産地は埼玉県、全国の80%を生産する。 |
誌 |
宮崎安貞『農業全書』(1697)巻5に、栽培法を詳論する。 |
クログワイは生食できるが、クワイはタンニンによるえぐみがあり、生食できない。灰汁で煮て、えぐみを取る。 |
正月のお節料理にクワイを用いるのは、「めが出るように」との縁起担ぎから。 |