辨 |
サジオモダカ属 Alisma(澤瀉 zéxiè 屬)には、北半球に約9-10種がある。
ヘラオモダカ A. canaliculatum(窄葉澤瀉・大箭)
アズミノヘラオモダカ var. azuminoense
ホソバヘラオモダカ var. harimense 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ヒメオモダカ A. gramineum(草澤瀉) 『中国雑草原色図鑑』283
遼寧・吉林・黑龍江・山西・西北・モンゴリア・シベリアから北半球温帯に産
A. lanceolatum(膜果澤瀉) シベリア・西&中央アジア・歐洲・北アフリカ産
A. nanum(小澤瀉) 新疆産
サジオモダカ A. plantago-aquatica
var. plantago-aquatica(澤瀉)
華北・陝西・雲南・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシアから広く旧世界に産
サジオモダカ var. orientale(A.orientale;東方澤瀉)『中国雑草原色図鑑』284
トウゴクヘラオモダカ A. rariflorum 本州・四国・九州産
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オモダカ科 Alismataceae(澤瀉 zéxiè 科)については、オモダカ科を見よ。 |
訓 |
和名のさじは、嫩葉の形から(ことに幼い苗の葉はスプーンそっくり)。 |
日本で オモダカを沢瀉と書くのは 誤り。
すなわち、漢名を澤瀉(タクシャ,zéxiè)と言うものは本種サジオモダカ、これに対して和名をオモダカは 漢名は野慈姑(ヤジコ,yěcígū)。 |
『本草和名』澤瀉に、「和名奈末為、一名於毛多加」と。
『延喜式』澤瀉に、「ナマヰ」と。
『倭名類聚抄』澤瀉に、「和名奈万井」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』15 澤瀉に、「ナマヰ和名鈔 サジオモダカ京 ナゝトウグサ佐州 ナゝト新校正」と。 |
説 |
北海道・本州(中部以北)・遼寧・吉林・黑龍江・華北・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・西北・モンゴリアから、アジアの温帯・熱帯に分布。埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 |
誌 |
中国では各地で栽培もしており、主産地は福建・四川。 |
中国では、塊茎を澤瀉(タクシャ,zéxiè)と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.296-298 『全國中草藥匯編 上』pp.468-469
日本では、生薬タクシャ(沢瀉)は サジオモダカの塊茎で、通例、周皮を除いたものである(第十八改正日本薬局方)。
宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「園に作る薬種」の一として「澤瀉」をあげ、
「たくしやは水田にうへてよし。是も薬屋にうるべし。藺をうゆる法に同じ。丹波にて尤多く作る」
(岩波文庫本)と。 |
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