いらくさ (刺草・苛草)
学名 |
Urtica thunbergiana |
日本名 |
イラクサ |
科名(日本名) |
イラクサ科 |
日本語別名 |
イタイタグサ |
漢名 |
蕁麻(ジンマ,qiánmá) |
科名(漢名) |
蕁麻(ジンマ,qiánmá)科 |
漢語別名 |
刺草、咬人蕁麻(ゴウジンジンマ,yăorén qiánmá)、咬人貓 |
英名 |
Nettle |
辨 |
イラクサ科 Urticaceae(蕁麻 qiánmá 科)には、主に世界の熱帯・亜熱帯に約46-55属 約1300-1500種がある。
ヤブマオ属 Boehmeria(苧麻屬) 世界に約100種
Cecropia(號角樹屬) 中南米に約60-80種
モリソウ属 Chamabainia(微柱麻屬・蟲蟻菜屬) 東&南アジアに1種
C. cuspidata(微柱麻・蟲蟻菜・止血草) チベット東南部及び臺灣亜熱帯地区に産
コウトウマオ属 Cypholophus(瘤冠麻屬・隆冠麻屬) 臺灣~ニューギニアに約15-36種
C. moluccanus(瘤冠麻) 臺灣・インドネシア・フィリピン産
ヤナギイチゴ属 Debregeasia(水麻屬) アジア・アフリカに約6-9種
イラノキ属 Dendrocnide(火麻樹屬) 熱帯・亜熱帯アジア~太平洋に約37-42種
D. basirotunda(Laportea basirotunda;圓基葉火麻樹)
コウトウイラノキ D. kotoensis(Laportea kotoensis;
蘭嶼咬人狗・紅頭咬人狗) 臺灣産
イラノキ D. meyeniana(Laportea meyeniana, L.pterostigma;
咬人火麻樹・咬人狗) 臺灣産
D. stimulans(Laportea sinuata, L.stimulans(海南火麻樹・全緣葉火麻樹)
D. urentissima(Laportea urentissima;火麻樹) 雲南・廣西産
ウワバミソウ属 Elatostema(樓梯草屬) アジア・アフリカの熱帯に約350種
オニイラクサ属 Girardinia(蝎子草屬) アジア・アフリカに2種
G. bullosa アフリカ産
G. diversifolia(G.armata, Urtica diversifolia;)
『全国中草葯匯編』下/49
セイバンイラクサ subsp. diversifolia(G.palmata, G.formosana,
G.chingiana, G.heterophylla;大蝎子草)
『全国中草葯匯編』下/275-276
オニイラクサ subdp. suborbiculata(G.suborbiculata;蝎子草・天天麻)
subsp. triloba(紅火麻・紅錢麻)
G. thunbergiana
タイワンイラクサ subsp. perserrata
ツルマオ属 Gonostegia(糯米團屬) 東南アジアを中心に約3-5種
ツルマオ G. triandra(G.hirta, Memorialis hirta, Pouzolzia hirta;
糯米團・糯米草・糯米條・奶葉藤) 『全国中草葯匯編』上/941
G. parvifolia(G.neurocarpa;糯米團臺灣・小葉糯米團)
オトギリマオ G. pentandra(石薯・石珠仔) 臺灣産
var. hypericifolia(狹葉糯米團)
ムカゴイラクサ属 Laportea(艾麻屬)
チョクザキミズ属 Lecanthus(假樓梯草屬) アジア・アフリカに2-4種
チョクザキミズ L. peduncularis(假樓梯草)
絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
ウラジロイワガネ属 Leucosyke(四脈麻屬) 東南アジアに約33-35種
L. puya(Maoutia puya;水絲麻・翻白葉・三元麻)
L. quadrinervia(四脈麻)
コウトウウラジロマオ属 Maoutia(水絲麻屬) 東南アジア~印度に約10-15種
M. setosa(蘭嶼水絲麻)
カテンソウ属 Nanocnide(花點草屬)
ハドノキ属 Oreocnide(紫麻屬)熱帯・亜熱帯アジアに16-19種。
イワガネ O. frutescens(O.fruticosa;紫麻・野麻・大葉麻・大毛葉)
四国・九州・陝甘・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・東南亜・ヒマラヤ産
O. integrifolia(全緣葉紫麻)
O. kwangsiensis(廣西紫麻)
O. obovata(倒卵葉紫麻)
ハドノキ O. pedunculata(長梗紫麻・有梗柴苧麻・山水柳)
伊豆半島・紀伊半島・四国・九州・琉球・臺灣産
O. rubescens(紅紫麻・紅花點草)
ヒカゲミズ属 Parietaria(墻草屬) 世界の亜熱帯・温帯に約15-24種
P. micrantha
ヒカゲミズ var. micrantha(墻草)
本州・九州・朝鮮・漢土から歐洲・北アフリカまで分布
タチヒカゲミズ var. coreana
北海道・本州・九州・朝鮮産
サンショウソウ属 Pellionia(赤車屬)
ミズ属 Pilea(冷水花屬)
ヌノマオ属 Pipturus(落尾木屬)東南アジア~太平洋諸島・インド洋に約10-30種
ヌノマオ(オオイワガネ) P. arborescens(P.asper;落尾木)
Poikilospermum 東南アジア・濠洲に約20-27種
ヤンバルツルマオ属 Pouzolzia(霧水葛屬) 熱帯・亜熱帯に約40-50種
P. calophylla(P. argenteonitida;美葉霧水葛・銀葉霧水葛)
P. niveotomentosa(雪毡霧水葛)
P. sanguinea
var. sanguinea(紅霧水葛・靑白麻葉・籽藤・大粘藥)
var. cinerascens スマトラ産
キダチマオ var. elegans(P.elegans, P.elegantula;
雅致霧水葛・水鷄油・濟地燕) 臺灣産
var. formosana(P.elegans var.formosana)
var. nepalensis(尼泊爾霧水葛)
ヤンバルツルマオ(オオバヒメマオ・ツルマオモドキ) P. zeylanica(霧水葛)
『全国中草葯匯編』上/867-868
アリエヒメマオ var. alienata(霧水葛)
var. microphylla(多枝霧水葛・石珠・石珠仔・霧水葛)
ウライソウ属 Procris(藤麻屬) 旧世界の熱帯・亜熱帯に約20種
セキモンウライソウ P. boninensis 小笠原産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ウライソウ(烏来草) P. crenata(P.wightiana;藤麻) アジア・アフリカの熱帯・亜熱帯産
P. pedunculata(P.laevigata, Elatostema laevigatum)
マレーシア・ジャワ・ニューギニア・濠洲東北部産
コケイラクサ属 Soleirolia(金錢麻屬) 地中海地方西部に1種
コケイラクサ S. soleirolii(金錢麻)
イラクサ属 Urtica(蕁麻屬)
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イラクサ属 Urtica(蕁麻 qiánmá 屬)には、北半球に約40種がある。
U. angustifolia
ホソバイラクサ var. angustifolia(狹葉蕁麻・小蕁麻・哈拉海・螫麻子)
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・シベリア東部・カムチャツカ産
『中国本草図録』Ⅲ/1079・『中国雑草原色図鑑』17
ナガバイラクサ var. sikokiana
U. cannabina (焮麻・麻葉蕁麻・火麻草・哈拉海・蝎子草・螫麻子)
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北産 『中国本草図録』Ⅴ/2049
U. dentata(湖北紅活麻・蕁麻・火麻草) 兩湖産
U. fissa (蕁麻・裂葉蕁麻・白活麻・活麻草)『中国本草図録』Ⅵ/2548
浙江・湖北・四川・貴州・雲南産 『全国中草葯匯編』下209
コバノイラクサ U. laetevirens(寛葉蕁麻・哈拉海・螫麻)
北海道・本州(近畿以北)・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北産
U. mairei(滇藏蕁麻・雲南蕁麻) 雲南産
U. macrorrhiza (粗根蕁麻・靑活麻・活麻・火麻・蕁麻・老虎麻)
雲南・西藏産 『全国中草葯匯編』下/350
エゾイラクサ U. platyphylla
北海道・本州(中部以北)・千島・樺太・シベリア東部・カムチャツカ産
イラクサ U. thunbergiana(咬人蕁麻・蕁麻)
U. triangularis(三角葉蕁麻・花葉活麻) 雲南・チベット産
ssp. pinnatifida(羽裂蕁麻)『中国本草図録』Ⅷ/3530
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訓 |
和名イラクサのイラはとげ。イラクサとは、とげに触れると痛いことから。
ミヤマイラクサ Laportea macrostachya にも、イラの名がある。 |
英名の nettle も、needle(針)と同語源。
学名の種名 Urtica は、uro(焼く)に由来し、傷の痛みから。 |
『倭名類聚抄』苛に、「和名伊良」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』蕁麻に、「イラグサ ユナグサ摂州 マムシサウ オニアサ ヒトサシグサ イライラ 疼草和方書 イタイタグサ加州」と。 |
漢名蕁麻の北京音は qiánmá。ただし、病名の蕁麻疹(じんましん)は xúnmázhěn(昔は qiánmázhěnと読んだが)。 |
説 |
本州(福島以南)・四国・九州・朝鮮・臺灣に分布。 |
全体に シリカ silica(二酸化珪素)でできた刺毛が生え、ギ酸(蟻酸) HCOOH を含み、触れると痛く、ときにみみず腫れ・水疱を生じる。
この浮腫を、医学で蕁麻疹 Urticaria という。 |
誌 |
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