ひるがお (昼顔) 

学名  Calystegia pubescens (C.japonica, C. sepium var.japonica)
日本名  ヒルガオ
科名(日本名)  ヒルガオ科
  日本語別名  オコリバナ、ツンブーバナ、オコリズル、カミナリバナ、テンキバナ、アメフリバナ、チチバナ、カッポウ
漢名  日本天劔(ニホンテンケン,rìbĕn tiānjiàn)、柔毛打碗花(ジュウモウダワンカ,róumáo dăwănhuā) 
科名(漢名)  旋花(センカ,xuánhuā)科
  漢語別名  旋花(センカ,xuánhuā)・長裂旋花、日本打碗花(ニホンダワンカ,rìbĕn dăwănhuā)、狗狗秧(ククオウ,gŏugŏuyāng)、鼓子花(コシカ,gŭzĭhuā)
英名  Bindweed
辨  ヒルガオ科
   ヒルガオ属
   セイヨウヒルガオ属
訓・説・誌 

2005/06/09 跡見学園女子大学新座キャンパス

2009/08/09 田島が原

2010/08/21 富山県中央植物園

2009/08/29 宇都宮市 
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 ヒルガオ科 Convolvulaceae(旋花 xuánhuā 科)には、世界の熱帯・亜熱帯に約57-58属 約1800-1900種がある。

  ナガバアサガオ属 Aniseia(心萼薯屬)
世界の熱帯に3種
    ナガバアサガオ A. martinicensis(心萼薯)
熱帯アメリカ原産、世界の熱帯に分布
         絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)

  ギンヨウアサガオ属 Argyreia(銀背藤屬)
アジアの熱帯&亜熱帯・マダガスカルに130種以上
    A. acuta(白鶴藤・白背絲綢・一匹綢)
          兩廣・インドシナ産 『中国本草図録』Ⅲ/1341 『全国中草葯匯編』下/1
    アコウアサガオ A. akoensis
臺灣・ベトナム産
    ネコヒルガオ A. formosana
臺灣産
    コバノウラジロアサガオ A. mollis(A.obtusifolia;銀背藤)
廣東・インドシナ・マレー半島産
    ギンヨウアサガオ A. nervosa(A.speciosa;美麗銀背藤)
インド・ミャンマー産
    A. obtusifolia(銀背藤)
廣東・インドシナ・マラヤ半島産
    A. pierreana(A.seguinii;東京銀背藤・白花銀背藤)
廣西・雲南・インドシナ産

  Blinkworthia(苞葉藤屬)
廣西・雲南・ミャンマー・タイに2種
    B. convolvuloides(B.discostigma;苞葉藤)
廣西・雲南・ミャンマー産

  ヒルガオ属 Calystegia(打碗花屬)

  Camonea
世界の熱帯・亜熱帯に約5種
    ミミバフサアサガオ C. umbellata(Marremia umbellata subsp.orientalis;
         傘花魚黃草・傘花茉欒藤・廣東博羅・鷄矢藤)
         
南北アメリカ・アフリカ西部産
    ブドウアサガオ C. vitifolia(Merremia vitifolia;掌葉魚黃草・掌葉茉欒藤)
         
アジアの熱帯・亜熱帯に産

  セイヨウヒルガオ属 Convolvulus(旋花屬)

  ネナシカズラ属 Cuscuta(菟絲子屬)

  Decalobanthus
アジア・太平洋・アフリカの熱帯・亜熱帯に約13種
    ハスノハヒルガオ D. peltatus(Merremia peltata)
    コウシュンヒルガオ C. similis(Merremia similis;紅花姫旋花)

  アオイゴケ属 Dichondra(馬蹄金屬)
世界に14-15種
    カロリナアオイゴケ D. carolinensis(D.repens var.carolinensis)
北米東部産
    アオイゴケ D. micrantha(D.repens;馬蹄金・黃膽草・金錢草)
         本州西南部・四国・九州・琉球・臺灣・長江流域以南から世界の熱帯・亜熱帯に分布
         『中国本草図録』Ⅳ/1814 『中国雑草原色図鑑』169
         『全國中草藥匯編』上/85-86,539 『(修訂)中葯志』IV/110

  フウリンユキアサガオ属 Dinetus(飛蛾藤屬)
漢土・東南アジア・ヒマラヤに8種
    フウリンユキアサガオ
(アワユキヒルガオ) D. racemosa(Porana racemosa;飛蛾藤) 四川産

  Distimake 世界の熱帯に約44種
    キレハヒルガオ D. dissectus(Merremia dissecta;多裂魚黃草・七爪茉欒藤)
中南米産
    コバノモミジアサガオD. quinatus(Merremia quinata;指葉山豬菜・掌葉姫旋花)
         
兩廣・雲南・熱帯&亜熱帯アジア・濠洲北部に産
    バラアサガオ D. tuberosus(Merrenia tuberosa;姫旋花・木玫瑰;E.Wood rose)

  ホルトカズラ属 Erycibe(丁公藤屬)
 アジア・濠洲の熱帯・亜熱帯に約66-70種
    E. elliptilimba(凹脈丁公藤)
漢土(南部)・インドシナ産
    E. hainanensis(毛葉丁公藤・海南麻辣仔藤)
兩廣産
    ホルトカズラ E. henryi(臺灣丁公藤)
鹿児島・琉球・臺灣産
    E. obtusifolia(丁公藤・麻辣子藤)
         
廣東産 『全国中草葯匯編』下/6 『(修訂) 中葯志』V/526-531
    E. schmidtii(光葉丁公藤)
兩廣・雲南・インドシナ産 『(修訂) 中葯志』V/526-531

  アサガオガラクサ属 Evolvulus(土丁桂屬)
熱帯・亜熱帯に約100種
    アサガオガラクサ E. alsinoides(土丁桂・毛棘毛・銀絲草)
         
琉球・臺灣・長江以南から世界の熱帯・亜熱帯に産 『全国中草葯匯編』下/23-24
         『中国雑草原色図鑑』168 『中国本草図録』Ⅵ/2792
    シロガネガラクサ E. boninensis
小笠原産

  ツリガネヒルガオ属 Hewittia(猪菜藤屬)
 1種
    ツリガネヒルガオ H. malabarica(H.sublobata;猪菜藤・野薯藤)
旧世界の熱帯・亜熱帯に産

  サツマイモ属 Ipomoea(蕃薯屬) 約500種
      incl. Calonyction, Mina, Pharbitis, Quamoclit

  フサヒルガオ属 Jaquemontia(小牽牛屬) 世界の熱帯・亜熱帯に約120種
    フサヒルガオ J. paniculata(小牽牛)
         
臺灣・兩廣・雲南からアジア・濠洲・アフリカの熱帯&亜熱帯に産
    オキナアサガオ J. tamnifolia
熱帯アメリカ産

  オオバケアサガオ属 Lepistemon(鱗蕊藤屬)
旧世界の熱帯・亜熱帯に約10種
    L. binectarifer(鱗蕊藤)
海南島・インドシナ・フィリピン・インドネシア産
      オオバケアサガオ var. trichocarpus
琉球・臺灣・海南島・フィリピン・スラウェシ産
         絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)

  ツタノハヒルガオ属
(コガネヒルガオ属) Merremia(魚黃草屬) 主として世界の熱帯・亜熱帯に約50-80種
    ヒメコガネヒルガオ M. gemella(M.hederacea var.radicans;金花魚黃草)
         
臺灣・熱帯アジア・濠洲産
    ツタノハヒルガオ M. hederacea(籬欄網・魚黄草・三裂葉鷄矢藤)
         
旧世界の熱帯・亜熱帯に産 『中国本草図録』Ⅹ/4810
    アマバアサガオ M. hirta(毛山豬菜・毛茉欒藤)
臺灣・兩廣・雲南・熱帯アジア・濠洲東北部産
    キバナアサガオ M. hungaiensis(Ipomoea hungaiensis, M.martini, I.martini;
         山土瓜・紅土瓜・土瓜・山紅苕)
         
四川・貴州・雲南産 『雲南の植物』180 『全国中草葯匯編』下/58
    モウコアサガオ M. sibirica(Ipomoea sibirica;
         北魚黃草・西伯利亞魚黃草・西伯利亞牽牛・鈴當子)
         
華北・吉林・陝甘・華東・湖南・廣西・四川・貴州・雲南・極東ロシア・モンゴル・西ヒマラヤ産
         『中国本草図録』Ⅳ/1816・Ⅸ/4305
    
  Neuropeltis(盾苞藤屬) 旧世界の熱帯に約11-14種
    N. racemosa(盾苞藤)
海南島・雲南・東南アジア産

  フウセンアサガオ属 Operculina(盒果藤屬) 熱帯・亜熱帯に約13-15種
    フウセンアサガオ O. turpethum(盒果藤・紫翅藤)
『中国本草図録』Ⅰ/282
         
琉球・臺灣・兩廣・雲南から旧世界の熱帯に産

  オオバハマアサガオ属 Stictocardia(腺葉藤屬) 旧世界の熱帯・亜熱帯に約4-12種
    オオバハマアサガオ
(マルバアサガオ) S. tiliifolia(腺葉藤)
         
小笠原・琉球・臺灣・海南島から熱帯アジア・濠洲に産

  Tridynamia(三翅藤屬)
    T. sinensis(Porana sinensis;大果三翅藤・異萼飛蛾藤)
         
甘肅・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ベトナム産

  ホソバアサガオ属 Xenostegia(地旋花屬)
旧世界の熱帯に2-6種
    ホソバアサガオ X. tridentata(Merremia tridentata;地旋花・尖葉魚黃草・戟葉茉欒藤)
         
臺灣・兩廣・雲南から旧世界の熱帯・亜熱帯に産
   
 セイヨウヒルガオ属 Convolvulus(旋花 xuánhuā 屬)には、世界の亜熱帯・温帯に約200種がある。

  アオイヒルガオ C. althaeoides
地中海地方産
  ヒンヒルガオ C. ammannii(銀灰旋花)『中国雑草原色図鑑』168
         
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・西北・チベット・モンゴル・シベリア・中央アジア産
  セイヨウヒルガオ C. arvensis(田旋花・中國旋花・箭葉旋花)
         
広く歐亞・北アフリカの温帯に産し、世界の温帯に帰化。
         
『中国雑草原色図鑑』167・『中国本草図録』Ⅳ/1813・
         『週刊朝日百科 植物の世界』2-300
  ムラダチヒルガオ C. cantabrica
地中海地方・西アジア産
  ヤハズヒルガオ C. chinensis(中國旋花)
中国では C.arvensis のシノニムとする
  ハナヒルガオ C. floridus
カナリー諸島産
  ヒメムラダチヒルガオ C. pilosellifolius
アフリカ東北部・西&中央アジア産
  サンシキヒルガオ C. tricolor
南歐西部・北アフリカ産
  C. tragacanthoides(刺旋花)
華北・西北・四川・モンゴル・中央アジア産
  サンシキアサガオ C. tricolor
地中海地方・マカロネシア・モーリタニア産
   
 ヒルガオ属 Calystegia(打碗花 dăwănhuā 屬)には、世界の亜熱帯・温帯に約25種がある。

  コヒルガオ C. hederacea(Convolvulus wallichianus;打碗花・小旋花・兔耳草)
         『中国雑草原色図鑑』166
  タチヒルガオ C. pellita(藤長苗・脱毛天劔)
『中国雑草原色図鑑』165
         
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝甘・山東・江蘇・安徽・湖北・四川・モンゴル・極東ロシアに産
    ケヒルガオ subsp. longifolia
    タチヒルガオ subsp. stricta
  ヒルガオ C. pubescens(C.japonica, C. sepium var.japonica;日本天劔・日本打碗花)
  ヒロハヒルガオ C. sepium(旋花・葍・籬打碗花・籬天劔・打碗花・面根藤)
         
『中国本草図録』Ⅱ/0777・『中国雑草原色図鑑』167
    ヒロハヒルガオ subsp. spectabilis(C.dahurica;歐打碗花・歐旋花・毛打碗花)
         
北海道・本州・遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古・華北・陝甘・山東・江蘇・四川産
         『中国雑草原色図鑑』166
  C. silvatica
    トウヒロハヒルガオ subsp. orientalis
  ハマヒルガオ C. soldanella(Convolvulus soldanella;腎葉打碗花・腎葉天劒・濱旋花・馬鞍藤)
        『中国本草図録』Ⅸ/4304
   
 
 和名は、昼に花を開く美しい花の意。
 漢名の旋花は、ヒルガオ及びその近縁種の総称、蕾のとき花びらが回旋していることから。
 葍(フク,fú)は旋花の古名、『爾雅』に出づ。
 『本草和名』旋花に、「和名波也比止久佐、一名加末」と。
 『倭名類聚抄』旋花に、「和名波夜比止久佐」と。
 『大和本草』に、「鼓子花(ヒルカホ) 又旋花ト云、二種アリ、一種ハ葉ニ兩岐アリ、蔓長ク三四尺アリ、一種ハ葉圓ク蔓短シ、花ハ同・・・晝しほます、故ニ名ツク 」と。なお、「葉ニ兩岐ア」るものはヒルガオ、「葉圓」きものはコヒルガオ。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』14(1806)旋花に、「ハヤヒトグサ
和名鈔 ヒルガホ ハタケアサガホ和州 ミゝダレグサ江州 チヨクバナ備前 カツホウ備後 アメフリバナ仙台」と。
 北海道・本州・四国・九州・江蘇・浙江・兩湖・雲貴から、広く東アジアの温帯に分布。
 中国では、嫩葉は食用にし、根茎・全草を狗狗秧(ククオウ,gŏugŏuyāng)と呼び、薬用にする。
 『万葉集』に、貌花・容花(かほばな)とあるものは、諸説があるものの、ヒルガオとする説が有力であるという。

   石はし
(橋)の まま(崖)に生ひたる 貌花の 花にしありけり 在りつつ見れば
      
(10/2288,読人知らず)
   みやじろの
(不詳) すかへ(砂丘辺)にた(立)てる かほがはな
     なさ
(咲)きい(出)でそね こ(隠)めてしの(偲)ばむ (14/3575,読人知らず)
   うちひ
(日)さつ みやのせがは(宮瀬川)の かほばなの
     こ
(恋)ひてかぬ(寝)らむ きそ(昨夜)もこよひ(今夜) (14/3505,読人知らず)
   高円の 野辺の容花 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも
(8/1630,大伴家持)
 

   昼顔に米つき涼むあはれ也 
(芭蕉,1644-1694)
   鼓子花
(ひるがお)の短夜ねぶる昼間哉 (同)
   ひるがほに昼寝せうもの床の山 
(同)

   昼がほやこの道唐の三十里 
(蕪村,1716-1783。唐の三十里は日本の五里)
   昼がほや煩ふ牛のまくらもと 
(同)
   昼顔や町になりゆく杭のかず 
(同)
 

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