がま (蒲) 

学名  Typha latifolia
日本名  ガマ
科名(日本名)  ガマ科
  日本語別名  ヒラガマ、ミスグサ(御簾草)、アカマ、シキナ
漢名  寛葉香蒲(カンヨウコウホ,kuanyexiangpu)
科名(漢名)  香蒲科
  漢語別名  蒲草(ホソウ,pucao)、甘蒲(カンホ,ganpu)、蒲
英名  Common cat-tail, Great cat-tail, Water-torch
2008/07/10 入間市宮寺
2008/09/11 入間市宮寺

 ガマ科 Typhaceae(香蒲科)には、次の1属がある。
 ガマ属 Typha(香蒲屬)には、約12種がある。
   T. angustata(長苞香蒲・水燭)
   ヒメガマ T. angustifolia(狹葉香蒲・蒲草・水燭)『中国雑草原色図鑑』277
   T. davidiana(綫葉香蒲・蒙古香蒲・達氏香蒲)
 『中国本草図録』Ⅸ/4389
   ガマ T. latifolia (寛葉香蒲)『中国雑草原色図鑑』276
   モウコガマ T. laxmannii
広くユーラシア(中国では東北)に分布
   T. minima(小香蒲・細葉香蒲)
 『中国本草図録』Ⅳ/1905・『中国雑草原色図鑑』276
   T. orientalis(T.latifolia var.orientalis;東方香蒲)
   T. przewalskii(普香蒲)
 『中国本草図録』Ⅴ/2383
   コガマ T. orientalis(東方香蒲)

 一説に、T.angustata は T,angustifolia と同種とする。
『日本の野生植物』Ⅰp.144 
 ガマ・コガマ・ヒメガマの見分け方は、
  株:ガマは高 1.5-2m、コガマ・ヒメガマは 1.5m以下。
  葉:ガマは幅2cm、コガマ・ヒメガマは1cmほど。
  雄花穂(上)と雌花穂(下):ガマとコガマは接しているが、ヒメガマは離れている。
  雌花穂:ガマは15-20cm、コガマは 7-10cm。
 和名は、古くはカマ。一説に組(くみ)の転訛、菰(こも)と同源、という。
 漢名の香蒲は、菖蒲に似ていて、かつ異臭がないので。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、蒲黄は「和名加末乃波奈」、香蒲は「和名女加末」、敗蒲席は「和名布留岐加末古毛」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)に、蒲は「和名加末」、蒲黄は「和名加末之波奈」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』15(1806)に、「香蒲蒲黄 ミスクサ
古歌 ガマ ヒラガマ莞(マルカマ)ニ対シテ云 カバ」と。
 広く北半球の温帯に分布、中国・日本の池沼にも広く自生する。
 いわゆる蒲の穂のうち、上部の黄色い部分は雄花・その下に接する 長く太い部分(蒲槌・蒲鉾,かまほこ)は雌花。
 ガマの花粉は四個密着していて、他のガマとは異なる。
 雌花は、熟すと長い毛のある種子ができ、風に乗って飛散する。
 中国では、古くから利用され、一部で栽培された。
 すなわち、根に近い葉の鞘に包まれた淡黄色の部分を蒲菜(ホサイ,pucai)・蒲筍(ホジュン,pusun)と呼んで食用にし、山東省済南ではこれを目的として栽培する。また匍匐する地下茎の先端部分を草芽(ソウガ,caoya)と呼んで食用にし、雲南省昆明ではこれを目的として栽培する。また、葯の花粉を蒲黄(ホコウ,puhuang,
ほおう)と呼んで薬用にする(止血剤・利尿剤)が、また砂糖を加えて食う。一部の地方では、茎の芯を剥いて食用にしたり、芽をもやしにして食用にしたりするという。
 茎や葉では 敷物・履物・包装材・扇などを作った。
 また穂綿は、漢名を蒲絨(ホジョウ,purong)と呼んで詰め物に用い、「蒲団」はこれを寝具に用いたもの。穂を乾燥させ、油を染込ませたものを水蠟燭(スイロウソク,shuilazhu)と呼んで灯火とし、硝石を混ぜて火打石の火口とした。
 ガマ属の植物の内、angustata, angustifolia, latifolia, davidiana, minima, orientalis の6種の成熟した花粉を、蒲黄と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.395-401 
 日本でも、古くから同様に利用された。
 『古事記』に、赤裸にされた因幡の白兎に、大国主命が教えていうには、「今急かに此の水門(みなと)に往き、水を以て汝が身を洗ひて、即ち其の水門の蒲黄(かまのはな)を取りて、敷き散らして、その上に輾転(こいまろ)べば、汝が身 本の膚の如、必ず差(い)えむ」と。
 かます(蒲簀)・かまぼこ(蒲鉾)・かばやき(蒲焼)など、いずれもガマに由来することばである。
 カマボコは、「今多く海鰻
(ハモ)の魚肉を刮(こそげ)取りて竹管に煉粘(ねりつ)け、蒲鉾の形に作り炙れば、則ち焦黄色に為り彷彿(さもに)たり。故に亦之を蒲鉾と名づく」と(『和漢三才図会』)。今のチクワ(竹輪)か。
 ウナギの蒲焼も、「当初は鰻をチクワ状に巻きつけて焼いた蒲穂焼から発生したもの」という
(『四季の花事典』)

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