うこん (鬱金) 

学名  Curcuma domestica (=C. longa)
日本名  ウコン
科名(日本名)  ショウガ科
  日本語別名  キゾメグサ、ターメリック
漢名  薑黄(姜黄,キョウコウ,jianghuang,きょうおう)
科名(漢名)  薑(姜)
  漢語別名  鬱金(ウツキン,yujin,うこん)・黄絲鬱金
英名  Turmeric plant
2006/06/22 薬用植物園

2007/08/07 同上
2006/08/12 同上

2006/10/28 同上

2008/05/24 東京薬科大学薬草園


 ウコン属 Curcuma(薑黄屬)には、中国産に次のようなものがある。
  C. aeruginosa (莪蒁)
 『中国本草図録』Ⅳ/1946
  C. amada(忙果薑)
 根茎はマンゴーに似た味、インドで食用
  C. angustifolia
根から澱粉を採る
  キョウオウ(ハルウコン) C. aromatica (鬱金・溫莪蒁・蓬莪蒁)
 『中国本草図録』Ⅱ/0939
  C. caesia (黑心薑・藍薑・黑薑・綠薑・烏薑)
  ウコン C. domestica (C.longa;薑黄・鬱金・黄絲鬱金)
 『中国本草図録』Ⅳ/1947
  C. elata(大莪蒁)
  C. kwangsiensis(廣西莪蒁・桂莪蒁・毛莪蒁・廣西莪蒁)
      
『中草藥現代研究』Ⅲp.87、『中国本草図録』Ⅱ/0940
  C. longa → C. domestica
  ペティオラタ C. petiolata 
観賞用
  C. phaeocaulis(蓬莪蒁・藍薑・黑心薑)
 『中国本草図録』Ⅰ/0441
  C. sichuanensis(川鬱金)
『中草藥現代研究』Ⅲp.87
  キョウオウ C. wenyujin(C.aromatica cv.'Wenyujin';溫鬱金・鬱金・黑鬱金)
野生は未発見
  クスリウコン C. xanthorrhiza
インドネシアで栽培
  ガジュツ C. zedoaria (莪蒁・黄莪蒁・山薑黄)
 『中国本草図録』Ⅵ/2947 
 上記のように、和名をキョウオウ(薑黄)というものは 漢名は鬱金、和名をウコンというものは 漢名は薑黄。すなわち、和名と漢名は、互いに指すものが入れ違っている。
 ショウガ科 ZINGIBERACEAE(薑科・姜科)については、ショウガ科を見よ。
 李時珍『本草綱目』鬱金の釈名に、「能く酒気を高遠に致し達す。古人、用て鬱遏して升る能わざる者を治す。恐らくは命名 此に因るならん」と。
 属名 Curcuma は、アラビア語の「黄色 kurkum」から。
 根茎に黄色色素クルクミン curcumin C21H20O6 を含むので、古代の近東諸国ではインディアン・サフラン Indian saffron と呼んだ
(サフランの語源については、サフランを見よ)。仏名も safran des Indes。
 インド原産。一説に、野生種であるキョウオウから栽培化したものという。
 中国には、韓台前後に入る。今日では、南部
(福建・兩廣・四川・雲南・貴州)・臺灣に分布、江西・湖北・浙江などで栽培。
 日本には、享保
(1716-1736)年間(一説に宝永(1704-1711)年間)に渡来。今では沖縄・種子島などに逸出自生している。
 「この植物は純然たる栽培植物で、たしかな野生種はまだわかっていないし、花が咲いても種子を結ぶことがない。とにかく古代から栽培されてきたもので、・・・」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』)
 近年、花の観賞用に矮小化した品種があるようだ。
 クルクミンは、色が美しい上に染色が容易であり、古来優秀な黄色染料であった。その色を和名で鬱金色(ウコンイロ)と呼び、英名は Golden yellow、漢名は金黄色(キンコウショク,jinhuangse)。また、たくあんやバターの色づけなど食用染料としても用いられる。
 根茎を加工して粉末にした香辛料ターメリック turmeric は、カレー粉の主材料であり、カレー独特の風味と黄色い色をもたらす。
 中国では、ウコン属のうち
   ウコン C. domestica (C.longa;薑黄)
   キョウオウ C. aromatica (鬱金)
   ガジュツ C. zedoaria (莪蒁)
の塊根を、鬱金(ウツキン,yujin,うこん)と呼び 薬用にする。浙江省に産するものは、温鬱金・温莪蒁の名で通行している。
『中薬志Ⅰ』pp.353-357、『全国中草薬匯編 上』p.490、『中薬大辞典』2708 
 『中草藥現代研究』Ⅲp.87(1997,北京)によれば、1970年代に鬱金・莪蒁・薑黄を研究した結果、それぞれの学名を改めたという。すなわち、
 1. 鬱金(温鬱金)は、旧来 C.aromatica としてきた。しかし、中国では aromatica を少量栽培してはいるが、薬用にはしない。鬱金は C.wenyujin(C.aromatica cv,'Wenyujin') とするべきである。
 2. 莪蒁は、旧来 C.zedoaria としてきた。しかし、中国には zedoaria は産せず、莪蒁は C. aeruginosa
(C.phaeeocaulis を包括する)とするべきである。
 3. 昔の本草の鬱金は、 主として C.longa の根茎である、と。
 
あさ露や鬱金畠の秋の風 (凡兆,『猿蓑』1691) 
   幸田露伴評釈(1937)に、「鬱金畠はうこんを作る畠なり。其根は薬とすべく染料とすべければ作るところありたりと見ゆ。もと暹羅より来れるほどのものなれば、暖国のものゝことゝて其葉も甚だ大きくて露もよく置くべきに、秋風のそれを煽りたる風情、芋畠などゝは又別段なるべし。うこん畠などといふもの、当時は京近くにも少しは有りしや、染料作る農業今いたく衰えたれば、実際によりて句を味はふ能はず、句によりて実際を想ひやるのみ」と。露伴は、ウコン畑のみならず、ウコンそのものも見ていないのかもしれない。
 


2010/06/04 三島市三島大社にて


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