辨 |
茎・葉はトウモロコシによく似るが、傷つくと濃紅褐色の斑ができる。 |
モロコシ属 Sorghum(高粱 gāoliáng 屬)には、世界の暖地に100種以上がある。
S. arundinaceum 栽培モロコシの原種
S. bicolor(S.vulgare)
モロコシ(モロコシキビ・タカキビ) var. bicolor(高粱)
サトウモロコシ var. saccharatum(蘆粟・甜高粱)
ホウキモロコシ var. hoki(E.broom corn)
コウリャン var. nervosum(S.nervosum;蜀黍・高粱)
var. subglobosus(球果高粱)
スーダンモロコシ S.×drummondii(S.sudanense;蘇丹草;Sudan grass)
S. halepense(石茅・亞刺伯高粱)産
セイバンモロコシ var. propinquum(S.propinquum;擬高粱)
コモロコシガヤ S. nitidum(光高粱・草蜀黍)
モロコシガヤ var. dichroanthum(var.majus)
|
イネ科 Poaceae(Gramineae;禾本 héběn 科)については、イネ科を見よ。 |
訓 |
中国において古来穀物を表してきたさまざまなことば(文字)については、五穀を見よ。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』19(1806)に、「蜀黍 トウキビ京 モロコシキビ東国 タカキビ四国 タチギミ津軽 コキビ肥前 ホキビ加州 キミ中国 キビ越後 セイタカキビ同上」と。 |
説 |
エチオピアなど中央アフリカ原産。5000年以上前から作物として栽培、古代エジプトに入り、B.C.7c.頃にはメソポタミアで栽培。
中国には、インドを経由して 4世紀以前に伝来、今日では華北・東北が主産地。日本には平安時代乃至それ以前のころ伝来(一説に室町時代の伝来)。
食用のほか、製糖用・飼料用・兼用などさまざまな品種があるが、箒製造専用の品種(ホウキモロコシ)があるのが面白い。 |
誌 |
宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「五穀の類」の一として「蜀黍(もろこしきび)」をあげ、
「是を唐(もろこし)きびとも、又高くのびぬる故、高黍(たかきび)とも名付くるなり。・・・実を取りて稈(から)をば簾にあみ、筵にうち、又民家の箒にも用ゆべし。或は隣さかいの籬にもたて、其破をふさぎ、米は色々食物に調へ、尤餅にして味よし。殊更性のよき物なり。米も稭(から)も皆すたる物なし。・・・」(岩波文庫本)と。 |
|