ひえ (稗) 

学名  Echinochloa utilis (E.crus-galli var.frumentacea)
日本名  ヒエ
科名(日本名)  イネ科
  日本語別名  ハタビエ、タビエ
漢名  湖南稷子(コナンショクシ,hunanjizi)
科名(漢名)  禾本(カホン,heben)科
  漢語別名  穇、穇子(サンシ,canzi)
英名  Japanese millet, Barnyard millet
2007/07/21 薬用植物園


 日本では、世界で栽培されているヒエのうち、インドのヒエ E.frumentacea と、中国・日本のヒエ E.utilis とを、別種として区別する。しかし中国では、中国のヒエ(湖南稗子)を E. crus-galli var. frumentacea とする。
 イヌビエ属 Echinochloa(稗屬)については、イヌビエを見よ。
 キビ属 Panicum(稷屬)については、キビを見よ。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)薭に、「和名比衣」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』19(1806)に、「穇子 ヒヱ」、「稗 ノビヱ」と。
 旧来 栽培種のヒエはインド起源とされてきたが、今はインドのもの E.frumentacea と東アジアのもの E.utilis を区別し、後者を中国起源とする説が強い。
 
「ヒエ類(Echinochloa spp.)はインドで栽培化された種類と、サバンナ農耕文化がさらに東北にすすんで、照葉樹林帯の温帯地域に達したときにそこで栽培化され、日本にまで伝播した別の種類との二群がある。この二群は、染色体数は同じだが、ゲノム構成が異なっている。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』)
 日本には縄文時代に渡来し、アワとともに稲作以前からの古い穀物。
 中国では、五穀より味が落ちるため 古来雑草扱いされてきたが、収量が多いことから きわめて有益な救荒作物であった。
 日本では、実を米と混ぜて炊くほか、団子・餅・飴などにして食い、また味噌・醤油の原料とする。
 宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「五穀の類」の一として「稗」をあげ、
 「ひゑに水陸の二種あり。是尤いやしき穀といへども、六穀の内にて下賤をやしなひ、上穀の不足を助け、飢饉を救い、又牛馬を飼ひ、殊に水旱にもさのみ損毛せず、田稗は下き沢などの稲のよからぬ所に作るべし。畑びゑは山谷のさがしく、他の作り物は出来ざる所にやきうちなどして多く作れば、利を得る物なり。・・・又云く、是下品の穀にして、世人賤しめ軽しむといへ共、なみなみの地にも能くいでき、実多く飯にし、粥にし、餅に作り、其功粟にもさのみ劣らざるものなり。・・・」(岩波文庫本)と。
 
 『日本書紀』神代第5段一書第11に、保食神(うけもちのかみ)に関わる五穀の起源説話が載る。
 『万葉集』では、穀物であるよりは 雑草である。

   水を多み あげ
(高田)に種蒔く ひえ(稗)を多み 択擢(えら)ゆる業(なり)そ 吾が独り寝(ぬ)
      
(11/2999,読人知らず)
   打つ田には稗は数多有りといえど択らえし我そ夜を一人宿
(ぬ) (11/2476,読人知らず)
 

   粟稗にまづしくもなし草の庵 (芭蕉,1644-1694)
   新田に稗殻煙るしぐれかな 
(昌房,『猿蓑』1691)
 



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