とろろあおい (とろろ葵) 

学名  Abelmoschus manihot (Hibiscus manihot)
日本名  トロロアオイ 
科名(日本名)  アオイ科
  日本語別名  ネリ、コウゾ、タモ、オウショッキ(黄蜀葵)、トロロ
漢名  黃蜀葵(コウショクキ,huángshŭkuí,おうしょっき)
科名(漢名)  錦葵(キンキ,jĭnkuí)科
  漢語別名  秋葵(シュウキ,qiūkuí)・黃秋葵、棉花葵(メンカキ,mianhuakui)、覇天傘、鴨脚葵、鷄爪蓮、豹子眼睛花(ヒョウシガンセイカ,baoziyanjinghua)、
英名  Sunset hibiscus
2004/09/23  東村山市柳窪
2005/07/03   薬用植物園 2005/08/02  同左
2004/08/10 薬用植物園

 トロロアオイ属 Abelmoschus(秋葵 qiūkuí 屬)には、アジア・アフリカの熱帯に約11-15種がある。

  A. crinitus(長毛黃葵・假芙蓉)
 『中国本草図録』Ⅹ/4738 
         
兩廣・雲貴・インドシナ・インド・マレーシア・ジャワ・フィリピン産 
  オクラ A. esculentus(Hibiscus esculentus;珈琲黃葵)
  ノリアサ A.×glutinotextilis(Hibiscus glutinotextile)
  トロロアオイ A. manihot(Hibiscus manihot;黃蜀葵秋葵)
    var. pungens(剛毛蜀葵)
 『雲南の植物Ⅱ』103
  リュウキュウトロロアオイ
(トロロアオイモドキ) A. moschatus(Hibiscus abelmoschus;
         黃葵・香黃葵・麝香秋葵・山油麻)
 『中国本草図録』Ⅴ/2207 
         
琉球・臺灣・兩廣・江西・湖南・雲南・熱帯アジア・熱帯オセアニア産 
    センカクトロロアオイ var. betulifolius(Hibiscus abelmoschus
         var.betulifolius, A.mpschatus var.lanynatus)
         
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
    var. tuberosus(A. esquirolii; A. sagittifolius; 五指山參)
  A. muliensis(木里秋葵)
 四川・雲南産 
  ボケアオイ A. sagittifolius(箭葉秋葵・五指山參)
 『雲南の植物Ⅲ』106 
         
兩廣・雲貴・インドシナ・インド・マレーシア・豪州産 
  A. tuberculatus 
インド北部産。オクラの原種という。
   
 トロロアオイ属 Abelmoschus(秋葵 qiūkuí 屬)は、フヨウ属 Hibiscus(木槿 mùjĭn 屬)に包摂することがある
(『新維管束植物分類表』『改訂新版 日本の野生植物』)
 アオイ科 Malvaceae(錦葵 jĭnkuí 科)については、アオイ科を見よ。
 和名のトロロ・ネリは、根に粘液を含むことから。
 これを、紙薬・滑水(日本語で言うねり。製紙に用いる糊材)として利用した。
 漢語の葵(キ,kuí)は、   
 『大和本草』に、「黄蜀葵(ワウスケ) トロロト云」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』12
(1806)に、「黄蜀葵 トロゝ カミノキ オホスケ筑前 カウヅ丹波 カミトロゝ カボチヤアサガホ フノリ豫州 京ノフノリ土州 京ブノリ同上 ネリ能州 オホレン肥前 トロゝアフヒ勢州 トロトロ同上 ビナンサウ雲州」と。
 花期は旧暦の六月であるのに、漢名を秋葵というのは、猛暑の中で秋を思わせる黄色の花をさかせるからである、という。
 中国南部・東南アジア原産。中国では、東北・西北を除く全国で栽培しており、ときに半野生品を見る。日本には、江戸時代までには渡来していた。
 紡錘形に肥大した根は、多量の粘液を含む。観賞用のほか、薬用・糊着剤として栽培。
 日本では、古くから、根を打ち砕いて水につけたものを、和紙をすく糊として用いる。
 中国では、根・葉・花・種子を薬用にする。『全国中草葯匯編』上/774
 中国では、唐宋以来観賞されてきた。
   ○ 唐・作者不詳「花鳥図」壁画(838、 北京市海淀区八里荘出土) 

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