辨 |
茶花として名の高い侘助については、様々に言及せられていて理解が難しいが、筆者なりに理解したところを整理すれば、以下の如くであろうか。
ツバキ属 Camellia の植物のうち、ウラク(タロウカジャ) Camellia uraku に起源する実生品種群をワビスケ Camellia wabisuke という。
ワビスケは、次のような特徴を持つ。
一、子房に毛がある(一部毛のないものもある)。
二、雄蕊の葯が退化している。[この型の葯を 侘芯(わびしん)と言う]。
三、花瓣が平開しない。
江戸時代から侘助と呼ばれ、茶花として愛せられてきたものはコチョウワビスケ 'Bicolor' だが、植物学上ワビスケ Camellia wabisuke のタイプ標本とされたものはシロワビスケ 'Wabisuke' である。
ツバキ属のうちで子房に毛のあるものはサザンカ Camellia sasanqua(茶梅)とワビスケということになるが、これら以外にヤブツバキ Camellia japonica(山茶)の品種の一部に、子房に毛があり 葯が退化したものがあり、この一群を名づけて侘芯・侘芯椿と呼び、ワビスケと区別する。 |
本譜には、ワビスケ(侘助)から次のものを掲載する。
ウラク(有楽)・タロウカジャ(太郎冠者) Camellia uraku(C.wabisuke f.uraku,
C.wabisuke 'Uraku', C.wabisuke 'Taroukaja';C.單體紅山茶)
ワビスケ(侘助) Camellia wabisuke
コチョウワビスケ(蝴蝶侘助) 'Bicolor'
ベニワビスケ(紅侘助) 'Campanulata'
シロワビスケ(白侘助) 'Wabisuke'('Shiro-wabisuke')
スキヤ(数寄屋) 'Sukiya'
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ヤブツバキの品種である「侘芯」からは、次のものを掲載する。
エイラク(クロワビスケ 黒侘助) 'Eiraku'
ハツカリ(ショウワワビスケ 昭和侘助) 'Hatsukari'
イチコワビスケ(一子侘助) 'Ichiko-wabisuke'
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ツバキ属 Camellia(山茶 shānchá 屬)については、ツバキ属を見よ |
訓 |
和名の由縁については、幾つかの説がある。
一説に、桃山時代の茶人笠原七郎兵衛侘助(吸松斎宗全の還俗名)が好んだことから。
一説に、豊臣秀吉の朝鮮出兵の時、侘助という人が持ち帰ったことから。
一説に、「侘び」「数寄」の転訛。 |
説 |
京都の金閣寺・大徳寺には樹齢数百年の古木がある。
狩野常信による1704年の写生図がある(『日本ツバキ・サザンカ名鑑』)。 |
誌 |
『花壇地錦抄』(1695)巻二「椿のるひ」に、「侘助(わびすけ) 赤、ひとへ、小りん也。つゝに咲。こまか成白ほしさらさ有、一名こてう」と。 |