しい (椎) 

学名  Castanopsis cuspidata (C.cuspidata var.sieboldii)
日本名  シイ
科名(日本名)  ブナ科
  日本語別名  スダジイ、イタジイ、ナガジイ
漢名  
科名(漢名)  
  漢語別名  
英名  
スダジイ  2006/03/11 神代植物公園
2006/08/13 同上
2006/10/19 神代植物公園

 シイ属(クリガシ属) Castanopsis(錐屬・錐栗屬・栲屬)には、東南アジアを中心に約60-100種がある。

   トガリバシイ C. acuminatissima
中国(南部)・臺灣・マレー・ニューギニアに分布
   C. amabilis(南寧錐)
   C. angustifolia(窄葉錐)
   C. argyrophylla (銀葉栲・銀葉錐・慢蹬)
   C. boisii(南錐)
   C. calathiformis (枹絲栲・枹絲栗・黄栗・大葉枹・槍絲錐)
   C. carlesii (小紅栲・米櫧) 種子は生食する
   C. ceratacantha (瓦山栲・瓦山錐)
 『雲南の植物Ⅱ』151
   C. cerebrina(毛葉杯錐)
   C. chinensis (錐・桂林栲・米霧・栲栗・桂林錐) 種子は生食する
   C. chunii (厚皮栲・厚皮錐・厚皮絲栗)
   C. concinna (華南栲・華南錐)
   C. crassifolia(厚葉錐)
   ツブラジイ(コジイ) C. cuspidata
     スダジイ var. sieboldii → スダジイ C. sieboldii
   C. daxinensis(大新錐)
   C. delavayi (高山栲・高山錐・白猪栗・毛栗・絲栗) 種子は生食する
   C. densispinosa(密刺錐)
   C. diversifolia (滇栲・異葉錐)
   C. echinocarpa(短刺錐)
   C. eyrei (甜櫧栲・甜櫧・石栗子・絲栗) 種子は生食する
   C. fabri (羅浮栲・羅浮錐・酒枹・白椽・三檢錐)
   C. fargesii (栲・絲栗栲・大絲栗樹・絲栗樹)
   C. ferox (思茅栲・思茅錐)
   C. fissa (黧蒴栲・裂殼錐)
 中国(南部)・インドシナ産
   C. fleuryi(小果錐)
   C. fordii (南嶺栲・南嶺錐・毛櫧・水犂・毛栲) 種子は生食する
   C. formosana(黄楣錐)
   C. globigemmata(圓芽錐)
   C. hainanensis (海南栲・海南錐)
   C. hupehensis(湖北錐)
   C. hystrix (刺栲・栲樹・小紅栗栲・紅栲・紅錐) 種子は生食する
   C. indica (印度栲・印度錐・紅眉子・黄眉・印度錐栗)
          中国(南部)・ヒマラヤ産。種子は生食する
   C. jiangfenglingensis(尖峰嶺錐)
   C. jucunda (烏楣栲・烏楣・牛牯錐・鐡楣・秀麗錐)
   C. kawakamii (靑鈎栲・靑鈎錐栗・吊皮錐) 種子は食用にする
   C. kweichouensis(貴州錐)
   C. lamontii (紅勾栲・紅勾・白椽・石椎樹・鹿角錐)
 種子は生食する
   C. longzhouica(龍州錐)
   C. megaphylla(大葉錐)
   C. mekongensis(湄公錐)
   C. microcarpa (小果栲)
   C. nigrescens(黑葉錐)
   C. oblonga(矩葉錐)
   C. orthacantha (毛果栲・元江栲・元江錐・猪栗・毛錐栗・扁栗)
 『雲南の植物Ⅱ』151
   C. ouonbinensis(屏邊錐)
   C. platycantha (扁刺栲・扁刺錐・絲栗・白石栗・猴栗)
           種子は生食する。『中国本草図録』Ⅶ/3052
   C. poilanei(棕毛錐)
   C. rockii(龍陵錐)
   C. sclerophylla (苦櫧栲・苦櫧・苦櫧錐・苦栗)
 種子(苦櫧)から豆腐を作る
   C. sichourensis(四疇錐)
   C. rufotomentosa(紅殼錐)
   スダジイ
(イタジイ・ナガジイ) C. sieboldii(C.cuspidata var. sieboldii)
     オキナワジイ ssp. lutchuensis(C.lutchuensis,
         C.sieboldii var.lutchuensis)
   C. tcheponsis(薄葉栲・薄葉錐)
 『雲南の植物Ⅲ』154
   C. tibetana (鈎栲・鈎錐・鈎栗・大葉錐栗・猴栗) 種子は生食する
   C. tonkinensis(公孫錐)
   C. tribuloides (蒺藜栲・蒺藜錐)
   C. uraiana(鱗苞錐) 
 ブナ科 Fagaceae(殻斗科)については、ブナ科を見よ。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)椎子に、また源順『倭名類聚抄』(ca.934)椎に、「和名之比」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)31に、柯樹は「シヒ シヒノキ」と。
 和名のスダ・イタの意は不明。
 日本(本州福島新潟以西・四国・九州・屋久島)・朝鮮(済州島)に分布。
 果実は生食できる。
 材は建築・器具材、しいたけのほだ木などに用いる。
 樹皮にはタンニンを含み、染色に用いる。
 『万葉集』に、

   家にあれば笥
(け)に盛る飯(いい)を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る (2/142,有間皇子)
   片岡の此の向つ峯に椎蒔かば今年の夏の陰に比
(そ)へむか (7/1009,読人知らず)
   おそはや
(遅速)もな(汝)をこそま(待)ためむか(向)つを(嶺)
     しひ
(椎)のこやで(小枝)のあ(逢)ひはたが(違)はじ (14/3493,読人知らず)

とある。小さなシイの葉の上に、どのようにご飯を盛りつけたのであろうか。 
 清少納言『枕草子』第40段「花の木ならぬは」に、「しひの木、ときは(常磐)木はいづれもあるを、それしも、葉がへ(滅)せぬためしにいはれたるもをかし。」と。

   ときは山 しひのしたしば
(下柴) かりすてん かくれておもふ かひのなきかと
   ならびゐて とも
(友)をはなれぬ こがらめの ねぐらに憑(たのむ) しひの下えだ
     
(西行(1118-1190)『山家集』。こがらめは、コガラ)
 
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「葉、かしに似て、異有」と。
 
宮崎安貞『農業全書』(1697)に、「枝葉共に薪にしてよくもえ、子は菓子にし、多く収めをきては飢餓をも助くる物なり」と。

   旅人のこゝろにも似よ椎の花 
(芭蕉,1644-1694)
   先
(まづ)たのむ椎の木も有(あり)夏木立 (同)

   椎の葉に揃はぬ箸やかたつぶり 
(蕪村,1716-1783)
   椎の花人もすさめぬにほひ哉 
(同)
   丸盆の椎にむかしの音聞
(きか)む (同。椎はシイの実)
   誰拾ふ横河
(よかわ)の児(ちご)のいとま哉 (同)
 
 「僕の家というは、松戸から二里許り下って、矢切の渡を東へ渡り、小高い岡の上でやはり矢切村と云っている所。・・・屋敷の西側に一丈五六尺も廻るような椎の樹が四五本重なり合って立って居る。村一番の忌森で村じゅうから羨ましがられている。昔から何程暴風(あらし)が吹いても、此椎森のために、僕の家許りは屋根を剥がれたことは只の一度もないとの話だ。家なども随分古い、柱が残らず椎の木だ」(伊藤左千夫『野菊の墓』1906)
 
   墓地に来て椎の落葉を聴くときぞ音のさびしき夏は来むかふ
   夏にいる椎の落葉のおと聴けば時雨に似たる音のさびしさ
     
(1917,斉藤茂吉『あらたま』)
 

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