なし属 

 バラ科 Rosaceae(薔薇科) ナシ亜科 Pomoideae(梨亞科)に属する。
 ナシ属 Pyrus(梨屬)の植物には、ユーラシア・北アフリカの温帯・暖帯に約30種がある。
   ホクシマメナシ P. betulaefolia(杜梨・棠梨・杜・常棣・甘棠)
   P. bretschneideri → P. ussuriensis var. culta
   P. calleryana → P.ussuriensis var. calleryana
   セイヨウナシ P. communis
野生種はヨーロッパ(中部・東南部)・西アジアに分布。有史以前から栽培。
   チョウライナシ P. lindleyi(嶺南梨・鳥梨)
   P. pashia(川梨・棠梨刺)『雲南の植物Ⅱ』117・『中国本草図録』Ⅵ/2658
   P. phaeocarpa(褐梨)
   P. pyrifolia
     ヤマナシ var. pyrifolia(沙梨)
 『中国本草図録』Ⅹ/4630
     ナシ(ニホンナシ・アリノミ) var. culta(=P. serotina;E.Japanese pear,Sand pear)
   P. serrulata(麻梨・黄皮梨)
   P. sinkiangensis(新疆梨)
   ホクシヤマナシ
(チョウセンヤマナシ) P. ussuriensis(秋子梨・花蓋梨・沙里梨・酸梨)
        中国(東北・華北)で栽培。『中国本草図録』Ⅳ/1676
     シナナシ
(チュウゴクナシ) var. culta(P. bretschneideri;白梨・白挂木・罐梨;
        E.Chinese pear)
ホクシヤマナシの改良品、中国(中部)で栽培
     イワテヤマナシ(イワテヤマナシ・ミチノクナシ) var. aromatica
 日本(東北・北陸)に分布
     アオナシ var. hondoensis
     マメナシ var. calleryana(P. calleryana;豆梨・鹿梨)
『中国本草図録』Ⅲ/1186
   P. xerophila(木梨・酸梨・野梨・棠梨) 
 日本では、ヤマナシ P. pyrifolia var. pyrifolia(沙梨,サリ,shali)を栽培化して ナシ(ニホンナシ) var. culta(=P. serotina)を作った。長十郎・二十世紀など多くの品種がある。そのほか、かつてはアオナシ P. ussuriensis var. hondoensis をもとにした品種群があったが、今日ではほとんど栽培していない。
 中国では、ホクシヤマナシ P. ussuriensis(秋子梨,シュウシリ,qiuzili)をもととする品種群を栽培し、シナナシ P. ussuriensis var. culta(白梨,ハクリ,baili)と総称する。
 西方には、ヨーロッパ原産で 広く地中海地方で栽培するセイヨウナシ(英名Common pear) P. communis、ヨーロッパ・小アジア原産のサリチフォリア P. salicifolia などがある。
 
 中国で食用に栽培する梨は、北部では白梨(チュウゴクナシ)、南部では沙梨(ヤマナシ・ナシ)。
 日本で栽培する梨は、ほとんどはナシ。
 『礼記』「内則」に、周代の君主の日常の食物の一として梨を記す。
 賈思勰『斉民要術』(530-550)巻4に「挿梨」が載る。説かれているのは、華北・西北に分布するチュウゴクナシであるとされる。
 白居易「長恨歌」に、帝の使いが海上の仙山に楊貴妃の霊玉真を尋ねたとき、玉真のようすは、

   玉容寂寞涙欄干   玉容 寂寞として 涙 欄干たり
   梨花一枝春帯雨   梨花一枝 春 雨を帯ぶ


 蘇軾は「和孔密州五絶 其三」に「東欄の梨花」を詠って、

   梨花淡白にして 柳は深青
   柳絮飛ぶ時 花 城に満つ
   惆悵たり 東欄二株の雪
   人生 幾たびの清明を看得ん
 
 日本におけるナシの文化史は、ナシを見よ。



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