辨 |
カナメモチ属 Photinia(石楠 shínán 屬)には、東・東南アジア・ヒマラヤ及び中米に約40-50種がある。
P. benthamiana(閩粤石楠)
P. crassifolia(厚葉石楠)
P. davidsoniana(欏木石楠・欏木)
カナメモチ P. glabra(光葉石楠)
P. glomerata(球花石楠) 『雲南の植物Ⅱ』112
P. hirsuta(褐毛石楠)
P. impressivena(陷脈石楠・靑鑿木)
P. integrifolia(全緣石楠・藍靛樹) 『雲南の植物Ⅱ』113
P. lasiogyna(倒卵葉石楠) 『雲南の植物Ⅱ』114
P. parvifolia(小葉石楠・牛筋木・牛李子・山紅子)
P. prinophylla(刺葉石楠) 『雲南の植物Ⅰ』133
P. prunifolia(桃葉石楠・李葉石楠・石斑木)
P. schneideriana(絨毛石楠)
オオカナメモチ(ナガバカナメモチ) P. serratifolia(P.serrulata,
P.serratifolia var.daphniphylloides,
P.serrulata var. daphniphylloides;
石楠・寛葉石楠・扇骨木・千年紅)
『中国本草図録』Ⅱ/0597・『週刊朝日百科 植物の世界』5-141
マンリョウカマツカ var. ardisiifolia(P.serrulata var.ardisiifolia;
紫金牛葉石楠)
ケバナカナメモチ var. lasiopetala(P.serrulata var.lasiopetala;
毛瓣石楠)
シマカナメモチ P. wrightiana(P.maximowiczii) 小笠原・琉球産
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バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)については、バラ科を見よ。 |
訓 |
「和名赤芽もちハ其嫩葉特赤色ナルヨリ云ヒ、之レヲ誤リテ要もちト呼ビ其材ニテ扇ノ要ヲ造ルト云フハ妄ナリ、蕎麥の木ハ其白花滿開ノ狀蕎麥花ニ似タルヨリ云フ、そばヲ稜角ノ意トスルハ否ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
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『倭名類聚抄』柧稜に「和名曽波乃木」と。 |
漢名の石楠(セキナン,shínán)は、Photinia の通称、狭義にはオオカナメモチ。日本でこの字をシャクナゲに当てるのは誤り。 |
属名は、ギリシア語 photeinos(耀く)に由来、艶のある葉の様子から。 |
説 |
本州(静岡以西)・四国・九州・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ミャンマー・タイに分布。 |
誌 |
中国では、オオカナメモチ P. serratifolia(P.serrulata;石楠)の葉を石楠葉と呼び薬用にする。 『(修訂) 中葯志』V/38-41 |
日本で、古代にソバノキ・タチソバなどと呼ばれた木がある。
『古事記』中巻(『日本書紀』重出)に載る神武天皇「来目の歌」に、
こなみ(前妻)が な(肴)こ(乞)はさば
た(立)ちそば(柧棱)の み(実)のな(無)けくを こ(扱)きしひゑね
うはなり(後妻)が な(肴)こ(乞)はさば
いちさかき(柃) み(実)のおお(多)けくを こきだ(許多)ひゑね
とある「たちそば」は、「そばのき」と呼ばれた木。
清少納言『枕草子』第40段「花の木ならぬは」には、「そばの木、しなな(品無)き心地すれど、花の木どもち(散)りはてて、おしなべてみどりになりたるなかに、時もわかず、こきもみぢのつやめきて、思ひもかけぬ青葉の中よりさし出でたる、めづらし。」と。
この「そばの木」には、旧来ブナ・カナメモチ・ニシキギなどの説があるが、『枕草子』の叙述には、カナメモチがすっきりと当てはまる。 |