辨 |
ニレ科 Ulmaceae(楡 yú 科)には、7属 約45-65種がある。
ハリゲヤキ属 Hemiptelea(刺楡屬) 1属1種
ハリゲヤキ H. davidii(刺楡)ケヤキに似るが枝に棘がある。朝鮮・中国に分布
ニレ属 Ulmus(楡屬)
ケヤキ属 Zelkova(欅屬)
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ニレ属 Ulmus(楡 yú 屬)には、北半球温帯・アジア熱帯山地に約20種がある。
アメリカニレ U. americana(美國楡)
U. × androssowii var. virgata(毛枝楡・紅榔木) 『中国本草図録』Ⅷ/3526
U. bergmanniana(興山楡)
U. castaneifolia(U.multinervis;多脈楡)
U. changii(杭州楡)
U. chenmoui(瑯琊楡)
U. davidiana
トウニレ var. davidiana(黑楡 hēiyú ・山毛楡) 遼寧・河北・山西産
ハルニレ(ニレ) var. japonica(U.propinqua, U.japonica;春楡・白楡・日本楡)
春に開花『中国本草図録』Ⅳ/1583
テリハニレ f. laevigata(U.japonica var.laevigata)
U. elongata(長序楡)
U. gaussenii(醉翁楡・毛楡)
エルム(セイヨウニレ) U. glabra(E.elm)
U. glaucescens(旱楡・灰楡・黃靑楡)
U. kungmingensis(昆明楡)
オヒョウ(アツシ) U. laciniata(裂葉楡・大葉楡・靑楡)
U. laevis(歐洲白楡)
U. lamellosa(脱皮楡)
U. lanceifolia(U.tonkinensis;常綠楡・滇楡・披針葉楡・越南楡) 『雲南の植物Ⅲ』156
チョウセンニレ U. macrocarpa(大果楡・黄楡・毛楡・山楡・蕪荑) 『中国本草図録』Ⅵ/2538
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・江蘇・安徽・陝甘・青海・モンゴリア・ダフリア・極東ロシア産
『全国中草葯匯編』下/299
U. microcarpa(小果楡)
ヨーロッパニレ U. minor(U.densa;圓冠楡)
アキニレ(ニレケヤキ・カワラケヤキ) U. parvifolia(榔楡・小葉楡・秋楡・紅鷄油) 秋に開花
オウシュウニレ U. procera
U. prunifolia(李葉楡)
U. pseudopropinqua(假春楡)
ノニレ U. pumila(楡・白楡・家楡・枌・白枌) 『中国本草図録』Ⅵ/2539
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・四川・貴州・雲南・モンゴリア・シベリア・中央アジア産
U. szechuanica(紅果楡)
アリサンニレ U. uyematsui(阿里山楡・臺灣楡) 臺灣産
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訓 |
『本草和名』楡皮に、「和名也尓礼」と。
『倭名類聚抄』楡に「和名夜仁礼」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』31 に、楡は「ヤニレ和名鈔 ニレ今名 ネリ越前 ネレ木曾」と。 |
属名は、ケルト語の elm から。英名も同。 |
説 |
北海道・本州・朝鮮・千島・樺太・遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝甘・青海・湖北・安徽・浙江に分布。 |
誌 |
樹皮から繊維をとり、縄・布・紙などを作る。嫩果は食用にする。
材は、狂いが大きいので農具・土木材などに充て、また椎茸のほだ木・薪などに用いる。 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)巻5に「種楡・白楊」が載る。 |
『万葉集』に、
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足引の 此の片山の もむにれ(楡)を 五百枝(いほえ)は(剥)ぎ垂り・・・
(16/3886,読人知らず「乞食者(ほかひびと)の詠」)
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