ぼだいじゅ (菩提樹) 

日本人のイメージの中にある菩提樹は、植物としては以下に掲げる3種類のものが重なっている。
学名  Ficus religiosa
日本名  インドボダイジュ(印度菩提樹)
科名(日本名)  クワ科
  日本語別名  テンジクボダイジュ(天竺菩提樹)
漢名  思惟樹(シュイジュ,sīwéishù)
科名(漢名)  桑(ソウ,sāng)科
  漢語別名  菩提樹(ボダイジュ,pútíshù)
英名  Bodhi tree, Bo tree
学名  Tilia miqueliana
日本名  ボダイジュ(菩提樹)
科名(日本名)  アオイ科
  日本語別名  
漢名  南京椴(ナンケイタン,nánjīngduàn)
科名(漢名)  錦葵(キンキ,jĭnkuí)科
  漢語別名  白椴(ハクタン,báiduàn)、菩提樹(ボダイジュ,pútíshù)
英名  
学名  Tilia europaea
日本名  セイヨウシナノキ
科名(日本名)  アオイ科
  日本語別名  ボダイジュ(菩提樹)、セイヨウボダイジュ
漢名  
科名(漢名)  
  漢語別名  
英名  European linden
 ①インドボダイジュは、クワ科イチジク属の常緑の高木。
 ②ボダイジュと ③セイヨウシナノキは、シナノキ T. japonicum の同属異種。
 イチジク属 Ficus(無花果属)の植物については、イチジク属を見よ。
 シナノキ属 Tilia(椴樹属)の植物については、シナノキ属を見よ。
 ①は、仏教の聖樹の一。
 仏教では、「悟った人」(仏 Buddha・如来)が、その下で「悟り」bodhi(菩提)を開いた〔成道〕樹木を、「悟りの木」bodhi-vrksa あるいは bodhi-druma(ともに菩提樹)と呼ぶ。釈尊は、①の下で悟りを開いたので、①は釈尊の菩提樹である(インドボダイジュを見よ)。
 漢土では、①のインドボダイジュが育たないので、②のボダイジュを菩提樹の代用とした。
 ③セイヨウシナノキは、独語名はリンデンバウム Lindenbaum。
 明治以降、日本ではこれを菩提樹と呼んだ。たとえば、シューベルトの歌曲「菩提樹」で歌われているのは、このセイヨウシナノキである。
 ①インドボダイジュは、インド・東南アジアの熱帯原産。漢土には仏教伝来とともに入り、廣東・雲南で栽培されるが、華中以北には適応し得なかった。
 ②ボダイジュは、江蘇・浙江・安徽・江西に分布。日本には12世紀に栄西が中国天台山のものをもたらし、関東以北で植栽される。
 ③セイヨウシナノキは、ヨーロッパ原産。ナツボダイジュ T. platyphyllos とフユボダイジュ T. cordata の雑種。
 ①については、インドボダイジュを見よ。
 ③セイヨウシナノキは、ゲルマン民族の間では 女神フリッグの木として聖なる樹木であり、さまざまな信仰・習慣・民俗と結びついている。
 この木がいかに人々の生活に密着していたかは、リンダ・リンデンバーグ・リンネなどの人名が みなこの木の名リンデンに由来していることからも推し量ることができる。



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