辨 |
平安時代以来 歌に詠まれてきた「墨染(すみぞめ)の桜」とは異なる。下の誌を見よ。 |
サトザクラ Cerasus Sato-zakura Group については、サトザクラを見よ。
サクラ属 Cerasus(櫻 yīng 屬)については、サクラ属を見よ。 |
訓 |
墨染めとは、墨で染めたような黒色乃至灰色、僧衣または喪服の色(『日本国語大辞典 第二版』)。
このサクラをスミゾメと呼ぶのは、「'薄墨'と同じように白色の花と黒色の枝の色合いを墨染色に見立てたものであろう」(勝木俊雄『日本の桜』)。 |
説 |
平安時代以来、「「墨染」と呼ばれる桜は数多く記録されているがひとつの栽培品種をさしているものとは考えられない。現在、植物園などで栽培されている'墨染'は明治期の荒川堤に由来すると思われるが、違うものだという考えもある」(勝木俊雄『日本の桜』)。
「もとは東京の小金井にあったものを、三好学氏が記載発表したものといわれる。他の同じ品種とは考えられないものにも’墨染’という名が記録されている」(神代植物公園解説板)。 |
誌 |
『古今和歌集』16哀傷歌に、上野峯雄(かみつけのみねお)が「ほりかは(堀河)のおほきおほきおほいまうちきみ(藤原基経,836-891)身まかりにける時にふかくさ(深草)の山におさめける後によみける」歌として、
深草のゝへ(野辺)の桜し心あらは ことし(今年)はかりはすみそめ(墨染)にさけ
とある。
伝説では、この歌に応えて深草の桜は墨染め色にさいたといい、深草墨染町(ふかくさすみぞめちょう)の墨染寺(ぼくせんじ,桜寺)には今も「墨染桜(すみぞめざくら)」がある。 |
それより後、「墨染めの桜」はしばしば歌に詠われたが、それらの品種が何であったのかは不明。 |