蓼科山 

地番  長野県 茅野市北山・北佐久郡立科町芦田八ケ野。  
 蓼科山は、長野県中央部、八ヶ岳連峰の北端に位置する火山、単独峰、標高2530m。将軍平(しょうぐんだいら)まではコニーデで針葉樹林に覆われ、それより上はトロイデ、岩場を為す。全体は円錐形をしていて、その優美な姿からかつて女神山(めのかみやま)と呼ばれ、諏訪富士とも称えられた。
 登山道の旧五合目(標高約1820m)に御泉水
(ごせんすい)と呼ぶ豊かな湧き水があり、最後の水場となっていたが、今はここまでロープウェーや自動車で行くことができ、周囲は「御泉水自然園」として遊歩道が整備されている。上記したように蓼科山は森の山であり、草原の山である隣の霧ケ峰とはまったく植生が異なる。針葉樹林帯の下にはシラカバカラマツを中心とする落葉樹林帯が続くが、この辺りはほとんどすべて別荘地として再開発されている。佐久への用水「塩沢堰」の水源であった「弁天神(べてえじん)」の泉は、かつてはこの落葉樹林の中の秘境であったが、周囲を観光用自動車道「ビーナス・ライン」に断ち切られて、今はどうなっているだろうか。
 この『群芳譜』では、山裾を含めて、南平
(なんだいら)から蓼科牧場・女神湖(旧赤沼)・第二牧場あたりまでを取材しているが、人による開発と鹿による食害を受けて、かつての自然の豊かさはだいぶ失われてしまった。

     信濃には八十の高山ありと云へど女の~山の蓼科我れは
        (1909 伊藤左千夫、『アララギ』2-2)
 
2018/05/16 五合目(御泉水)から望む
2011/08/14 八子ケ峰から望む
2016/11/03 初冠雪
 
 

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