辨 |
カラマツ属 Larix(落葉松 luòyèsōng 屬)は、北半球の温帯~寒帯、約15種がある。
L. chinensis (太白紅杉・太白落葉松・樸松實) 『中国本草図録』Ⅴ/2034
オウシュウカラマツ L. decidua(歐洲落葉松)
ダフリアカラマツ L. gmelinii(L.kamtschatica, L.dahurica;落葉松・
興安落葉松) 『中国本草図録』Ⅸ/4054
グイマツ(シコタンマツ) var.japonica(L.kurilensis, L.dahurica var.japonica)
ホクシカラマツ var. principis-rupprechtii(L.rupprechtii)
チベットカラマツ L. griffitiana(西藏紅杉) ヒマラヤ産
L. himalaica(喜馬拉雅紅杉)
カラマツ L. kaempferi(L.lepbolepsis;日本落葉松)
アメリカカラマツ L. laricina 北米全域に産
L. mastersiana(四川紅杉) 『中国本草図録』Ⅸ/4055
チョウセンカラマツ L. olgensis(黃花落葉松・長白落葉松・朝鮮落葉松)
『中国本草図録』Ⅲ/1058
オオミコウサン L. potaninii (紅杉) 『雲南の植物Ⅰ』42
var. macrocarpa(大果紅杉) 『雲南の植物Ⅰ』43
L. principis-rupprechtii (華北落葉松・霧靈落葉松・紅杉)
シベリアカラマツ L. sibirica (新疆落葉松・西伯利亞落葉松)
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マツ科 PINACEAE(松 sōng 科)については、マツ科を見よ。 |
訓 |
「和名唐松ハ其短枝上ニ紋樣ヲ成セル車輪葉ノ狀所謂唐まつ式ナレバ斯ク云ヒ、富士マツハ富士山ニ生ズレバ云ヒ、日光まつハ野州日光山ニ多ケレバ云フ、落葉松ハ漢名ヲ音讀セル名ナリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。「唐松は,短枝上に集った葉の状態が画に描く唐松風であるからという」(『改訂増補
牧野新日本植物圖鑑』)。
江戸時代末期に植木屋が唐松と呼び始めたものという。 |
説 |
宮城県蔵王-石川県白山の間の、長野・山梨両県とその周辺及び日光の、標高1,000-2,800mの間に分布。火山性の土壌に生ずる。
陽地を好み、山火事跡地などの先駆樹種となり、多く一斉林をつくって群生するが、極相林をつくることもある。 |
誌 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「松のるひ」に、「唐松(からまつ) 駿州富士ニ多クある故ニ、ふじ松共云。葉 成ほどみじかく青シ。春 出て、冬 落葉。此松ハ四季ニ色をわかつ。春の出葉 青ク見事にして、夏しげり、秋ハ黄ニ色付て えもいわれず、冬 落葉して 雪のふる比 たまらぬおかし」と。 |
落葉松の萌黄の芽ぶき快楽の日は心臓にしのび来るかな
(島木赤彦『馬鈴薯の花』)
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
北原白秋「落葉松」(1921)より
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