『万葉集』中、ハンノキをよむ歌
→ハンノキ
長歌
此間(ここ)にして そがひ(背向)に見ゆる わがせこ(背子)が 垣つの谿(たに)に
あ(明)けされば 榛のさ枝に 暮(ゆふ)されば 藤の繁みに
遥遥(はろばろ)に 鳴く霍公鳥(ほととぎす) ・・・
(19/4207,大伴家持)
・・・
墨江の 遠里小野の 真榛もち にほしし衣(きぬ)に ・・・
(16/3791,読人知らず)
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短歌
綜麻形(へそがた)の 林の始(さき)の 狭野榛(さのはり)の
衣(きぬ)に着く成す 目につく吾が勢(せ) (1/19,額田王か)
墨江(住吉)の 岸野の榛に にほふれど にほはぬ我や にほひて居らむ
(16/3801,読人知らず)
引馬野に にほふ榛原(はりはら) 入り乱り 衣にほはせ たび(旅)のしるしに
(1/57,持統天皇。榛原は、榛の木の茂る原、一説にハギの茂る原)
いざ児ど も倭(やまと)へ早く 白菅の 真野の榛原 手折りてゆかむ (3/280,高市黒人)
白菅の 真野の榛原 往くさ来さ 君こそ見らめ 真野の榛原 (3/281,高市黒人の妻)
古に ありけむ人の もとめつつ 衣にすりけむ 真野の榛原 (7/1166,読み人知らず)
白菅の 真野の榛原 心ゆも 念はぬ吾し 衣に摺りつ (7/1354,読人知らず)
住吉(すみのえ)の 遠里小野の 真榛(まはり)もち すれる衣の 盛り過ぎゆく
(7/1156,読み人知らず)
時じくに 斑の衣 服(き)欲しきか 島の針原 時にあらねども (7/1260,読人知らず)
思ふ子が 衣摺らむに にほひこそ 島の榛原 秋立たずとも (10/1965,読人知らず)
伊香保ろの そひ(岨)のはりはら ねもころに
おく(将来)をそなか(兼)ねそ まさか(現在)しよかば (14/3410,読人知らず)
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