后皇(こうくわう)の嘉樹、橘(たちばな)徠(きた)り服す。
命を受けて遷(うつ)らず、南国に生ず。
深固にして徙(うつ)し難く、更(さら)に志を壹(いつ)にす。
緑葉素栄、紛(ふん)として其れ喜ぶべし。
曾枝剡棘(えんきよく)、円果摶(たん)たり。
青黄雑糅(ざつじう)して、文章爛(らん)たり。
精色内は白く、道に任(た)ふるに類す。
紛縕(ふんうん)として宜脩(ぎしう)にして、姱(くわ)にして醜からず。
嗟(ああ)、爾(なんじ)の幼志、以て異なる有り。
独立して遷らず、豈(あに)喜ぶべからざらんや。
深固にして徙し難く、廓(くわく)として其れ求むる無し。
世に蘇(そ)して独立し、横(わう)にして流れず。
心を閉じ自ら慎み、終(つひ)に失過せず。
徳を秉(と)りて私無く、天地に参(まじ)はる。
願はくは歳の并(なら)び謝するまで、与(とも)に長(ひさ)しく友たらん。
淑離(しゅくり)にして淫(いん)ならず、梗(かた)くして其れ理有り。
年歳は少(わか)しと雖も、師長とすべし。
行(おこなひ)は伯夷(はくい)に比す。置いて以て像と為さん。
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