じんこう (沈香)
学名 |
Aquilaria agallocha |
日本名 |
ジンコウ |
科名(日本名) |
ジンチョウゲ科 |
日本語別名 |
キャラ(伽羅)・キャラコウ(伽羅香) |
漢名 |
沈香(チンコウ,chénxiāng,じんこう) |
科名(漢名) |
瑞香(ズイコウ,ruìxiāng)科 |
漢語別名 |
沈水・沈水香(チンスイコウ,chénshuĭxiāng)・水沈、惡掲嚕(アクケイロ,èjiēlū)、
蜜香(ミツコウ,mìxiāng)・木香(ボクコウ,mùxiāng)・木蜜、伽羅(カラ,qiéluó)、
奇楠(キナン,qínán)・迦南(カナン,jiānán)・伽南(カナン,qiénán)、 |
英名 |
Eagle-wood, Aloeswood, Agalwood |
辨 |
和名・漢名の沈香(チンコウ,chénxiāng,じんこう)は、広義には熱帯産のジンチョウゲ科の香木、狭義には、就中ジンコウを云う。 |
ジンコウ属 Aquilaria(沈香 chénxiāng 屬)には、東南アジア・アッサム・ニューギニアに約15-20種がある。
ジンコウ A. agallocha(沈香・伽羅)
Kew植物園のIPNIは、A.malaccensis のシノニムとする
A. crassa インドシナ産
マレージンコウ A. malaccensis(A.secundaria, A.ovata, Aloexulum agallochum;
奇南沈香・馬來沈香)
東ヒマラヤ・バングラデシュ・インドシナ・マレシア産
A. sinensis(A.chinensis, A.grandiflora;
土沈香・白木香・牙香樹・女兒香・六麻樹・芫香) 臺灣・福建・兩廣産
『中国本草図録』Ⅱ/0717・『中草藥現代研究』Ⅲp.1
A. yunnanensis(雲南沈香) 雲南産 中国本草図録』Ⅴ/2217
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ジンチョウゲ科 Thymelaeaceae(瑞香 ruìxiāng 科)については、ジンチョウゲ科を見よ。 |
訓 |
沈香(チンコウ,chénxiāng,じんこう)という名の由来は、(香料として良質のものは)比重が大きく水に沈むことから。
木香(ボクコウ,mùxiāng,もっこう)という名の由来にいては、木香を見よ。 |
サンスクリット名はアグル aguru、「より重いものは無い」の意。
漢名の悪掲嚕(アクケイロ,èjiēlū)は、その音写。 |
伽羅(カラ,qiéluó,きゃら)・奇楠・迦南・伽南は、サンスクリット語のカーラーグル kalaguru またはカーラーガル kalagaru の音写、「黒沈香」と意訳する。 沈香のうち特に良質なもの。 |
説 |
東ヒマラヤ・アッサム・バングラデシュ・インドシナ・マレシアに分布。
乱伐により1990sに自生品はほぼ絶え、植栽が試みられているという。 |
誌 |
沈香(チンコウ,chénxiāng,じんこう)は、ジンコウなどの材が長期間土中に埋まり、樹脂が浸出してかたまった〔熟結〕ものをいう。実際には、材に傷をつけ(開香門)て 数年して削り取り、或いは切り倒して材を腐らせ 樹脂のみを取り出す〔生結〕、などして生産する。
沈香は、ベンジルアセトン・高級アルコール・テルペンなどからなる樹脂を約50%含み、薬用にするほか、燃やすと芳香を発するので、香料として用いる。『中草藥現代研究』Ⅲ/1 |
沈香は形状・品質などにさまざまな品種があり、沈香・桟香・馬蹄・鶏骨などを区別する。 |
中国では、国産の Aquilaria sinensis(土沈香・白木香)を、土沈香・海南沈香として用いる。『全國中草藥匯編 上』pp.40-41 『(修訂)
中葯志』V/597-602
輸入品の沈香(進口沈香)には、次のようなものがある。
〇ジンコウ Aquilaria agallocha(沈香)
Aquilaria malaccensis(A.secundaria, A.ovata, Aloexulum agallochum;
奇南沈香・馬來沈香)
Excoecaria agallocha(土沈香) 琉球・臺灣・兩廣・インドシナ・インド・ポリネシア産 |
日本には、推古朝に淡路島に材木が漂着したという。
東大寺正倉院に納められた沈香(伽羅)に、蘭奢待(らんじゃたい)と雅号されるものがある。蘭奢待の字義は明らかではない。三字の中に東大寺の文字が隠されているとして、香道では東大寺と呼ぶ。
聖武天皇(在位724-749)のとき中国から伝来したものといい、古来香料として最もたっとばれてきた。足利義満・義教・義政、織田信長、徳川家康らがこれを切って用いたという。 |
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