辨 |
花の外側が紅紫色・内側が白いものが本来。
花が白いものはシロバナジンチョウゲ cv. Alba、外側が淡紅色・内側が白いものはウスイロジンチョウゲ cv. Rosacea と呼ぶ。 |
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ジンチョウゲ科 Thymelaeaceae(瑞香 ruìxiāng 科)には、約50属 約800-1000種がある。
ジンコウ属 Aquilaria(沈香屬)
アフリカジンチョウゲ属 Dais(菊瑞香屬) アフリカ南部・マダガスカルに2種
ジンチョウゲ属 Daphne(瑞香屬)
シャクナンガンピ属 Daphnimorpha 日本に2種
シャクナンガンピ(ヤクシマガンピ) D. kudoi(Wikstroemia kudoi) 屋久島産
ツチビノキ D. capitellata(Wikstroemia capitellata)
宮崎産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
コゴメアマ属 Diarthron(草瑞香屬) 中央・北東アジアに約20種
コゴメアマ D. linifolium(草瑞香) 華北・山西・陝甘・新疆・シベリア産
D. vesiculosum(囊管草瑞香・短葉草瑞香) 新疆・中央アジア・イラン産
ガンピ(雁皮)属 Diplomorpha アジア中部・東部に約30餘種。ガンピはかにひの転訛。
アオガンピ属 Wikstroemia(蕘花屬)のシノニムとすることがある
ミヤマガンピ(ヒオウ) D. albiflora(Wikstroemia albiflora, Daphne yatabeana)
紀伊半島・四国・九州産
D. canescens(Wikstroemia canescens;蕘花 ráohuā・黃芫花)
ミャンマー・アッサム・チベット・ヒマラヤ・アフガニスタン産
『中国本草図録』Ⅷ/3700、本草綱目啓蒙13/342 『本草和名』蕘花に波末尓礼と
D. chamaedaphne(Wikstroemia chamaedaphne;河朔蕘花・黃芫花・黃悶頭花)
華北・陝甘・湖北・四川・江蘇産 蕾を薬用 『中薬志Ⅲ』pp.338-341
D. dolicantha(Wikstroemia dolicantha;一把香・長花蕘花)
四川・雲南産 『中国本草図録』Ⅳ/1757
コガンピ(ガンピ・イヌガンピ) D. ganpi(Wikstroemia ganpi, Daphne ganpi)
本州(群馬茨城県&福井県以西)・四国・九州・奄美・朝鮮南部産
シャクナンガンピ D. kudoi(Wikstroemia kudoi, Daphne kudoi)
ナガバガンピ D. lanceolata(Wikstroemia lanceolata;披針葉蕘花)
臺灣・フィリピン産
タカクマキガンピ D. ohsumiensis
D. ligustrina(Wikstroemia ligustrina;羊眼子・白蠟葉蕘花) 四川・雲南・陝西産
D. monnula(Wikstroemia monnula;北江蕘花) 浙江・湖南・兩廣・貴州産
D. pauciflora
サクラガンピ var. pauciflora(Wikstroemia pauciflora, Daphne zephyrina)
伊豆半島・箱根産
シマサクラガンピ var. yakushimensis(D.sikokumontana,
Wikstroemia yakusimensis, Daphne zephyriana var.yakushimensis)
四国・九州産
オオシマガンピ D. phymatoglossa(Wikstroemia phymatoglossa)
琉球産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ミトガンピ D. ramulosa
アオガンピ(オキナワガンピ) D. retusa(Wikstroemia retusa, Daphne grayana;
倒卵葉蕘花) 琉球・臺灣・フィリピン産
ガンピ(カミノキ) D. sikokiana(Wikstroemia sikokiana, Daphne sikokiana)
本州(静岡県西部&石川県南部以西)・四国・九州産
D. taiwanensis(Wikstroemia taiwanensis, Daphne taiwanensis;臺灣蕘花) 臺灣産
キガンピ(キコガンピ) D. trichotoma(Wikstroemia trichotoma;白花蕘花)
ミツマタ属 Edgeworthia(結香屬)
Eriosolena(毛花瑞香屬) 雲南・ヒマラヤ・東南アジアに2種
E. composita(毛管花) 雲南・アッサム・東南アジア産
E. involucrata(毛花瑞香) ミャンマー・ヒマラヤ産
ジンチョウゲモドキ属 Phaleria(皇冠果屬) スリランカ・マレーシア・豪洲・太平洋に約25種
Rhamnoneuron(鼠皮樹屬) 雲南・インドシナに1-2種
R. balansae(鼠皮樹) 雲南産
イモガンピ属 Stellera(狼毒屬) 中国北部・チベット・モンゴル・東シベリアに1種
イモガンピ S. chamaejasme(狼毒・瑞香狼毒)『本草和名』狼毒に也末佐久と
『中国本草図録』Ⅱ/0718・『雲南の植物』139 『全国中草葯匯編』上/699
Thymelaea(歐瑞香屬) 地中海地方・中央&東歐洲・カフカス・アラビア・西&中央アジア・新疆に約33種
T. passerina(歐瑞香) 歐洲・カフカス・西&中央アジア・新疆産
アオガンピ属 Wikstroemia(蕘花屬) 約50種
アジア東南部・オーストラリア・ポリネシア・ハワイに約50種
W. chamaedaphne(河朔蕘花・黃芫花葉)
『全国中草葯匯編』上/763-764 『(修訂) 中葯志』V/125-130,224
W. delavayi(W.mekongensis;瀾滄蕘花) 四川・雲南産
W. dolicantha(W.effusa;構皮蕘花) 雲南・インドシナ産
W. hainanensis(海南蕘花) 海南島産 『中国本草図録』Ⅱ/0719
インドガンピ W. indica(了哥王・南嶺蕘花)『中国本草図録』Ⅱ/0720
『全國中草藥匯編 上』pp.11-12 『(修訂)中葯志 』I/305-309
臺灣・福建・浙江・江西・湖南・兩廣・東南アジア・インド・濠洲産
W. micrantha(小黃構・野棉皮・黃構) 陝甘・両湖・四川・貴州・雲南産
ヒメガンピ W. mononectaria(獨鱗蕘花) 臺灣産
W. nutans(細軸蕘花・野棉花・地麻棉・野發麻) 臺灣・福建・湖南・兩廣産
W. pachyrachis(粗軸蕘花) 兩廣産
ムニンアオガンピ(オガサワラガンピ) W. pseudoretusa(Daphne pseudoretusa)
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ジンチョウゲ属 Daphne(瑞香 ruìxiāng 屬)には、北アフリカ・ユーラシア・北アフリカに約70-95種がある。
D. acutiloba(尖瓣瑞香)
D. altaica(阿爾泰瑞香)
var. longilobata(長瓣瑞香)
アリサンコショウノキ D. arisanensis(臺灣瑞香)
D. aurantiaca(橙花瑞香) 『雲南の植物Ⅰ』108・『雲南の植物』138
D. axillaris(腋花瑞香)
D. feddei(滇瑞香・西南瑞香・桂花岩陀) 『雲南の植物Ⅱ』84
D. gemmata(Wikstroemia gemmata;川西蕘花) 四川・雲南産
フジモドキ D. genkwa(芫花・藥魚草・閙魚草・悶頭花・泡米花) 『中国本草図録』Ⅲ/1289
D. giraldii(黃瑞香・祖司麻) 『中国本草図録』Ⅵ/2734
『全国中草葯匯編』上/564 『(修訂)中葯志』V/521-525
ナニワズ D. jezoensis(D.kamtschatica subsp.jezoensis, D.pseudomezereum
subsp.jezoensis) 北海道・本州(福井県・福島県以北)・千島・樺太産
カムチャツカナニワズ D. kamtschatica カムチャツカ産
コショウノキ(ヤマジンチョウ) D. kiusiana(日本毛瑞香・棕枝瑞香・銅牛皮・金腰帶)
本州(関東&京都以西)・四国・九州・琉球・朝鮮(南部)産 液果は非常に辛い
タイワンコショウノキ var. atrocaulis(D.odora var.atrocaulis;
毛瑞香・黑枝瑞香・鐵牛皮・金腰帶) 臺灣・華東・兩湖・兩廣・四川産
『中国本草図録』Ⅵ/2735
D. koreana(長白瑞香) 『中国本草図録』Ⅲ/1290
セイヨウオニシバリ D. mezereum ヨーロッパ産、観賞用に栽培
カラスシキミ D. miyabeana 北海道・本州(鳥取大山以東の日本海側)・隠岐島に産
D. modesta(Wikstroemia modesta;瘦葉蕘花) 四川・雲南産
モリソンコショウノキ D. morrisonensis
ヒメコショウノキ D. nana
ジンチョウゲ A. odora(瑞香)
フクリンジンチョウゲ 'Marginata'(金邊瑞香)
シロバナジンチョウゲ f. alba
ウスイロジンチョウゲ f. rosacea
D. papyracea(白瑞香・紙用瑞香・小構皮・軟皮樹)
オニシバリ(ナツボウズ) D. pseudomezereum(東北瑞香)
本州(福島・関東南部以西)・四国・九州・済州島に分布
チョウセンナニワズ var. koreana(D.koreana)
本州(秩父武甲山~赤石山脈)・朝鮮・ロシア沿海地方に分布
D. retusa(凹葉瑞香・金腰帶) 『雲南の植物Ⅰ』109・ 『中国本草図録』Ⅵ/2736
D. tangutica(甘肅瑞香・陝甘瑞香・唐古特瑞香・祖師麻)
『中国本草図録』Ⅳ/1756 『全国中草葯匯編』上/564 『(修訂)中葯志』V/521-525
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訓 |
「和名ハ沈丁花ノ意ニシテ、其花ニ沈香、丁子ノ香アリトテ此ク名ク」(『牧野日本植物図鑑』)。漢字で作られているが和製の言葉で、漢語ではない。 |
一条兼良(1402-1481)『尺素往来』に「沈丁花」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』10(1806)に、「ヂンテウケ ヂゴセウ但州 ハナコンゼウ センリカウ」、また「誤テリンチヤウゲト呼」と。 |
属名ダフネ Daphne は、ゲッケイジュ(月桂樹)のギリシア名。葉の形が それに似ていることから。 |
説 |
中国原産、野生品は確認されていない。
「其の始めは、廬山より出ず。宋時、人家 之を栽え、始めて名を著す」(李時珍『本草綱目』)と。 |
日本には15世紀末、室町時代に薬用として入り、爾来久しく栽培。
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『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「沈丁花(ぢんてうげ) 木春初中。うす紫の花咲。一所にあつまり咲てしかもいみしき匂有。葉ももつこくのごとくにてよし。又花ノ白キも有」と。 |
ヨーロッパには1771年ころ入り、広く栽培。 |
雌雄異株、日本に入ったものは雄株であるので結実しない、と従来説明されてきた。
しかし、花はきちんとした両性花であるといい、時に液果を結び、赤熟する。 |
誌 |
沈丁の薄らあかりにたよりなく歯の痛むこそかなしかりけれ
(北原白秋『桐の花』1913)
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