辨 |
ヨモギ属 Artemisia(蒿 hāo 屬)については、ヨモギ属を見よ。 |
訓 |
漢土では、カワラヨモギ・A.frigida などにも白蒿の名がある。 |
『本草和名』白蒿に、「和名之呂与毛岐、一名加波良与毛岐」と。
『倭名類聚抄』白蒿に、「和名之路与毛木、一云加波良与毛岐」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「白蒿 シロヨモギ シラヨモギ ハマヨモギ」と。
なお、『大和本草』には「白蒿 ・・・俗に河原母子草ト云」と。」と。 |
説 |
朝鮮北部・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・四川・貴州・雲南・モンゴル・極東ロシア・シベリア・中央アジアに分布。 |
日本には、第二次世界大戦後 帰化。 |
誌 |
植物体に揮発油を含み、蕾を薬用にし、また家畜の飼料とする。
古代には、祭祀に用いられる蔬菜でもあった。 |
『詩経』国風・召南・采蘩(さいはん)に、「于(ここ)に以て蘩(はん)を采(と)る、沼に沚(なぎさ)に。于に以て之を用ふ、公侯の事(まつり)に」と。
これを踏まえて『春秋左氏伝』隠公三年の伝に、「苟くも明信有らば、澗谿(かんけい)沼畤(しょうし)の毛、蘋(ひん)蘩(はん)薀藻(おんそう)の菜、筐筥(けいきょう)錡釜(きふ)の器、潢汙(こうお)行潦(こうろう)の水も、鬼神に薦むべく、王公に羞(すす)むべし」と。 |
『大戴礼』「夏小正」二月に、「菫(きん。スミレ、一説にフユアオイ)を栄えしめ、繁(はん)を采る。〔菫は采(菜)なり。繁は由胡なり。由胡とは、繁母なり。繁は旁勃(ばうぼつ)なり。皆豆実なり。故に之を記す〕」と。
『詩経』国風・豳風「七月」に、「春日 載(すなは)ち陽(あたたか)く、有(ここ)に鳴く 倉庚(さうかう。コウライウグイス)、女は懿(ふか)き筐(かご)を執り、彼の微行(小道)に遵(そ)ひて、爰(ここ)に柔桑(クワの若葉)を求む、春日 遅遅たり、蘩(はん)を采(と)ること 祁祁(きき)たり」と。 |
『爾雅』釋草に、「蘩、皤蒿(はこう)」と、郭璞注に「白蒿なり」と。 |