つゆくさ (露草) 

学名  Commelina communis
日本名  ツユクサ
科名(日本名)  ツユクサ科
  日本語別名  ツキクサ(着草・月草)、アオバナ(青花)、ボウシバナ(帽子花)、カマツカ、トンボグサ、トットコバナ、ホタルグサ、ツギクサ、クワラグサ、ヨメハングサ、ムラサキクサ、ハナガラ、アイバナ、ハナダバナ、ウツシグサ・ウツシバナ、ソメバナ、カキバナ
漢名  鴨跖草(オウセキソウ,yazhicao)
科名(漢名)  鴨跖草科
  漢語別名  竹葉菜(チクヨウサイ,zhuyecai)・竹節菜、竹鷄草、碧竹子、碧蟬花、藍花菜、藍姑草、草蝴蝶(ソウコチョウ,caohudie)・翠蝴蝶、耳環草(ジカンソウ,erhuancao)
英名  Day flower

2008/10/09 入間市宮寺

青花品   2005/09/23 昭和公園

白花品    2005/06/23 跡見学園女子大学新座キャンパス
 薄紫花品   2012/08/23 茅野市北山
 
2005/10/24 さいたま市田島が原 2006/10/19 神代植物公園


 ツユクサ科 Commelinaceae(鴨跖草科)には、約40属650種がある。
   Amischophacelus(鞘苞花屬)
   Amischotplype(穿鞘花屬)
アジア・アフリカに約15種
     A. hispida(穿鞘花)
   Belosynapsis(假紫萬年靑屬)
     B. ciliata(假紫萬年靑)
   ツユクサ属 Commelina(鴨跖草屬)
   Cyanotis(藍耳草屬)
旧熱帯に約50種
     C. vaga(藍耳草)
『週刊朝日百科 植物の世界』11-55
   Dictyospermum(網籽草屬)
     D. scaberrimum(毛果網籽草・糙葉水竹葉)
   Floscopa(聚花草屬)
     F. scandens(聚花草)
   ヤンバルミョウガ属 Forrestia
     ヤンバルミョウガ F. chinensis
   Gibasis
     ブライダルベール G. pellucida
メキシコ原産
   イボクサ属 Murdannia(水竹葉屬)
   ヤブミョウガ属 Pollia(杜若屬)
   Porandra(孔鞘花屬)
     P. ramosa(孔葯花)
   Spatholirion(竹葉吉祥草屬)
     S. longifolium(竹葉吉祥草)
   アオイカズラ属 Streptolirion(竹葉子屬)
東アジア乃至インドに2-3種
     アオイカズラ S. lineare
日本(中国地方)・朝鮮・中国に分布
     S. volubile(竹葉子・米湯菜) 
中国・ヒマラヤ・インドシナに分布。中国では食用。
   ムラサキツユクサ属 Tradescantia(水竹草屬)
   Tricarpelema(三瓣果屬)
     T. chinense(三瓣果) 
 ツユクサ属 Commelina(鴨跖草屬)には、世界の熱帯乃至温帯に約170-180種がある。
   ホウライツユクサ C. auriculata
   マルバツユクサ C. benghalensis(飯包草・火柴頭)
        
アジア・アフリカの熱帯に分布、『中国雑草原色図鑑』347
   ツユクサ C. communis(鴨跖草)『中国雑草原色図鑑』347
     オオボウシバナ var. hortensis
花が大型の4倍体
   シマツユクサ
(ハダカツユクサ) C. diffusa 熱帯全域に分布
   C. erecta
熱帯全域に分布
   ナンバンツユクサ
(オオバツユクサ) C. paludosa(大苞鴨跖草) 
 ツキクサは古名、花の青色で布を摺り染めしたことから。アオバナも同。
 ボウシバナというのは、花の包葉の半月形の形から。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)鴨頭草に「都岐久佐」「押赤草」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』12
(1806)に、「鴨跖草 オモヒグサ古歌 ツユグサ カモノカシラグサ モゝヨグサ ハナダグサ ツミクサ共ニ同上 ツキクサ和名鈔 アヲバナ ホタルグサ勢州 カマツカ播州石州阿州 カマツコ讃州 ウツシバナ ウツシ筑前 トンボグサ但州 コウヤノメン加州 コウヤメン同上 コウヤノヲメン防州 コウヤタロウ濃州 コンヤタロウ江州 タロベ同上 ハゝシグサ佐州 カギバナ同上 ギスグサ雲州 チクサ伊州 スゞムシサウ薩州 ハナガラ長州勢州 ネコノハナガラ仙台 ベチベチバナ同上 アヲアヰ松前 ハタオリグサ上総 チンチロバナ越前 ボウシバナ尾州常州濃州 カウガミ越中 カメガラ石州雲州 アヰバナ阿州播州 カマヅカ土州讃州」と。
 属名は、オランダの植物学者 Jan Commelin(1629-1698)と、その甥 Caspar Commelin(1667-1731)を記念して。
 日本・朝鮮・中国・ロシア西部に分布、北アメリカに帰化。
 花に青色の色素コンメリニン commelinine を含む。
 中国では、嫩葉を食用にし、花の汁を画料・染料とし、全草を薬用にし、また観賞用に栽培する。『中薬志Ⅲ』p.191 
 日本では、古くこの花を花摺り染めに用い、その色を縹色(はなだいろ)という。ただし光や水に弱いので、中国から藍染めが入ると廃れた。
 しかし、簡単に脱色できることを逆利用して、友禅や紋染の下絵に用いられる。

 今日では、染料用には オオボウシバナを栽培して用いる。
縹色 露草色
 『万葉集』に、

   朝(あさた)(さ)き夕(ゆふべ)は消(け)ぬる鴨頭草(つきくさ)の消ぬべき恋も吾はするかも
      
(10/2291,読人知らず)
   月草の徙(うつ)ろひやすく念(おも)へかも吾が念ふ人の事も告げ来ぬ (4/583,坂上郎女)
   朝露に咲きすさびたる鴨頭草の日斜(く)るるなへに消ぬべく念ほゆ
      
(10/2281,読人知らず)
   内日さす宮には有れど鴨頭草の移ろふ情
(こころ)吾が思はなくに (12/3058,読人知らず)
   百
(もも)に千(ち)に人は言ふとも月草の移ろふ情吾持ためやも (12/3059,読人知らず)
   月草の借
(仮)れる命に在る人を何(いか)に知りてか後もあはむと云ふ (11/2756,読人知らず)

   月草に衣そ染むる君がため綵色
(しみ)の衣を摺らむと念ひて (7/1255,読人知らず)
   月草に衣は摺らむ朝露にぬれて後には徙ろひぬとも
(7/1351,読人知らず)
   鴨頭草に服
(ころも)色取り摺らめども移変(うつろ)ふ色といふが苦しさ
         (7/1339,読人知らず)


 『八代集』などに、

   月草に 衣はすらむ あさ露に ぬれてののちは うつろひぬとも
     
(よみ人しらず、『古今和歌集』)
   いで人は ことのみぞよき 月草の うつし心は 色ことにして (同)
   世中の 人の心は 花ぞめの うつろひやすき 色にぞ有ける (同)
   夕されば 山のはに出づる 月草の うつし心は 君にそめてき
     
(よみ人しらず、913『亭子院歌合』)

 清少納言『枕草子』第66段「草は」に、「つきくさ、うつろひやすなるこそうたてあれ」と。

 西行(1118-1190)『山家集』に、

   うつり行 色をばしらず ことのはの な
(名)さへあだなる つゆくさのはな
 
 18世紀からこのかた、和紙にツユクサの花の絞り汁を滲みこませたものを作り、青花紙と呼ぶ。これを水に浸すと青色染料が得られるので、もって友禅染や紋染の下絵描きに用いる。
 今日では、花がらの大きい品種オオボウシバナを用いる。主産地は滋賀県。


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