おとこえし (男郎花) 

学名  Patrinia villosa (P.sinensis)
日本名  オトコエシ 
科名(日本名)  スイカズラ科
  日本語別名  オトコメシ、チメクサ、トチナ
漢名  攀倒甑(ハントウショウ,pāndăozèng)
科名(漢名)  忍冬(ニントウ,rĕndōng)科
  漢語別名  白花敗醬(ハクカハイショウ,báihuā bàijiàng)、苦菜(クサイ,kŭcài)、苦齋・苦齋公
英名  
2008/04/17 薬用植物園 2005/08/04 薬用植物園 

2011/08/01 茅野市北山 2008/08/29 群馬県浅間高原

2005/08/11 薬用植物園

2005/09/03 薬用植物園

2008/07/21 薬用植物園

2005/09/19 東京都檜原村

 漢名を敗牆(ハイショウ,bàijiàng)と言うものは、オミナエシ属 Patrinia(敗醬屬)の植物の総称、日本ではオトコエシに当てる。
 オミナエシ属Patrinia(敗醬 bàijiàng 屬)の植物については、オミナエシ属を見よ。
 和名おとこえしは、オミナエシの対語。
 『大和本草』敗醬(ヲミナヘシ)に、「白花ナルヲ俗ニヲトコヘシト云、又云オホトチハ女郎花ニ似テ花白キナリ、ヲトコヲミナノ花トモイヘリ、男郎花ト云」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』12
(1806)に、「男郎花
(ヲトコヘシ)和名鈔 南楼花同上 ヲメシ オホトチ ヲトコヲミナノ花共に古名 トチナ信州土州 ミルナ勢州」と。
 漢名の敗醬については、オミナエシを見よ。
 北海道・本州・四国・九州・奄美・朝鮮・臺灣・華東・河南・両湖・両広・西南に分布。
 葉は食用にする。
 中国では、オミナエシとオトコエシの根茎・全草を敗醬草と呼び、薬用にする。オミナエシを見よ。
 『万葉集』に、

   奈良山の 児手柏の 両面
(ふたおもて)に かにもかくにも 佞人(ねじけひと)の友
      
(16/3836,消奈行文)
   ちば
(千葉)のぬ(野)の このてかしはの ほほ(含)まれど
     あやにかなしみ お
(置)きてたかき(来)(20/4387,大田部足人)

と、「このてかしは」が詠われている。
 しかし、コノテガシワは中国原産で、日本に入ったのは近世と思われ、これらの「このてかしは」はコノテガシワではない。それでは一体何かというについては諸説が有り、定まらない。
 平安時代の歌には、「このてがしは」は、秋の野にハギとともに花開くといい、またしぐれ降るころのうす紅葉のさまは 葉守の神(カシワを見よ)も愛でるだろう、などと詠われていて、顕昭『袖中抄』
(1185-1187)は これを男郎花(オトコエシ)の一名とする。

   いはれの
(磐余野)の はぎ(萩)がたえまの ひまひまに
     このてがしはの はな
(花)さきにけり (西行『山家集』雑)
 

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