おぎ (荻) 

学名  Miscanthus sacchariflorus
日本名  オギ
科名(日本名)  イネ科
  日本語別名  オギヨシ、ネザメグサ、メザマシグサ、カゼヒキグサ
漢名  荻(テキ,di)
科名(漢名)  禾本(カホン,heben)科
  漢語別名  菼(タン,tan)、(ガン,wan)、蒹(ケン,jian)、(レン,lian)、萑・雚(カン,huan)
英名  Amur silvergrass

2009/09/26 入間市宮寺

2005/10/24 さいたま市田島が原

2008/10/09 入間市宮寺
2008/10/30 入間市宮寺
 ススキ属 Miscanthus(芒屬)については、ススキを見よ。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)荻に、「和名乎木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』11
(1806)に、「荻 ヲギ ヲギヨシトモ云、古歌ニハ フミゝグサ ヤマシタグサ カゼキゝグサ トハレグサ ネカラグサ ノモリグサ メサマシグサ ツユヤグサ ネサメグサ カゼモチグサと云」と。
 いくつもある漢名の 本来の区別は、芽生えを菼(タン,tan)、長じて(ガン,wan)・蒹(ケン,jian)・(レン,lian)、穂が出たものを萑・雚(カン,huan)という。
 アシとオギは、形体も生態もよく似ているので、歴史的漢名では厳密に区別していない乃至できていないため、通称乃至混称である場合がある。
 日本(北海道・本州・四国・九州)・朝鮮・中国(東北・華北・西北・華東)・ウスリーに分布。
 「イネ科の抽水植物はいずれも生活型は似ているが、水に対する生態的特性が少しずつずれており、それが水辺の群落の成帯となって現れる。一般に水の浸るところにはヒメガマ、それに連なってマコモが群落をつくる。これらにおおわれない水面には、サンカクイやフトイが生育する。水ぎわから上はヨシ群落となる。河川の縁にあって、出水時に水に浸るような低地を河川敷(高水敷)というが、ヨシの生育範囲の多くはこのような場所である。やや高いところにはオギが現れる。
 オギとヨシの移行帯では、地下部の広がりがオギは浅くヨシが深い。地上部は混生していても、地下部のすみ分けが成立している。」
(沼田真・岩瀬徹『図説 日本の植生』1975)
 芽生えを荻芽(テキガ,diya)と言い、食用にする。
 『大戴礼』「夏小正」七月に、「秀づる(穂が出た)雚葦(くわんゐ。オギとアシ)あり。〔未だ秀でざれば則ち雚葦を為さず。秀でて然る後に雚葦を為す。故に先づ秀づるを言ふ。〕」と、また「(あつ)める荼(と)あり。〔灌は聚なり。荼は雚葦の秀づるなり。蒋(むしろ)たれば之を褚(たくは)ふなり。雚といふ、未だ秀でざるを菼(たん)と為し、葦の未だ秀でざるを蘆と為す。〕」と。雚(カン,huan)は萑(カン,huan)、オギの意。
 『礼記』「内則(だいそく)に、肉の調理に当り、巻いたり敷いたりする材として萑を用いるという。
 欧陽脩(1007-1072)『六一詩話』に「河豚魚白。与荻芽為羹最美」と。
 日本では、ススキと同じく屋根を葺くなどに用いる。

 『万葉集』に、

   神風の 伊勢の浜荻 折り伏せて 客宿(たびね)やすらむ 荒き浜辺に (4/500,碁の檀越の妻)
   葦辺なる 荻の葉さやぎ 秋風の 吹き来るなへに 雁鳴き渡る
(10/2134,読人知らず)
   いも
(妹)なろが つか(使)ふかはづ(川津)の ささらをぎ(荻)
     あし
(葦,悪し)とひとごと(人言) かた(語)りよらしも (14/3446,読人知らず)

 『八代集』に、

   けふよりは 荻のやけ原 かきわけて 若菜なつみにと 誰をさそはむ
     
(平兼盛、『後撰和歌集』)
   たそがれの 軒ばのをぎに ともすれば ほに出でぬ秋ぞ 下に事とふ
     
(式子内親王、『新古今和歌集』)
   雲まよふ 夕べに秋を こめながら 風もほに出でぬ 荻のうへかな
     
(慈円、『新古今和歌集』)
   いつしかと 荻のはむけの 片よりに そそや秋とぞ 風も聞ゆる
     
(崇徳天皇、『新古今和歌集』)
   ゆふされば 荻のはむけを 吹く風に ことぞともなく 涙おちけり
     
(藤原実定、『新古今和歌集』)
   身にとまる 思ひを荻の うはばにて 此の比(ごろ)悲し 夕暮の空
     
(慈円、『新古今和歌集』)
   秋風の ややはだ寒く 吹くなべの 荻のうはばの 音ぞ悲しき
     
(藤原基俊、『新古今和歌集』)


 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   をじか(雄鹿)ふす はぎ(萩)さくのべ(野辺)の 夕露を
     しばしもためぬ をぎのうはかぜ
(上風)
   あたりまで あはれし
(知)れとも いひがほ(顔)に をぎのをとこす あきの夕風
   をぎのは
(葉)を ふきすぎてゆく 風のおとに 心みだるゝ 秋のゆふぐれ
   しも
(霜)がれて もろくくだ(砕)くる をぎのは(葉)
     あらくわ
(分)くなる かぜのおと哉
   身にしみし をぎのおとには かは
(変)れども しぶく風こそ げには物うき
   荻のおとは 物おもふわれか 何なれば こぼるゝ露の 袖におくらん
 

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