いたどり (疼取)
学名 |
Fallopia japonica var. japonica (F.japonica var.compacta, Reynoutria japonica,
Polygonum cuspidatum) |
日本名 |
イタドリ |
科名(日本名) |
タデ科 |
日本語別名 |
タジヒ・タジイ・タンジ、サイタヅマ・サイタナ、スカンポ、イタンコ、イタズリ、スッポン、イタンポ、ユタンコ、イタズイコ |
漢名 |
虎杖(コジョウ,hŭzhàng) |
科名(漢名) |
蓼(リョウ,liăo)科 |
漢語別名 |
蒤(ト,tú)、川筋龍(センキンリョウ,chuanjinlong)、酸湯杆(サントウカン,suantanggan)、花斑竹根(カハンチクコン,huabanzhugen)、川七 |
英名 |
Japanese knotweed, Flowering bamboo |
2006/04/15 野草園 |
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2009/04/19 仙台城 |
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雌株 2007/08/30 群馬県浅間高原 |
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雄株 2010/08/26 長野県志賀高原 |
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雌株 2006/10/26 白樺湖 |
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辨 |
花・実の赤いものをベニイタドリ(オオメイゲツソウ)という。
高山性で丈の低いものをオノエイタドリという。
高山性で丈が低く、花・実の赤いものをメイゲツソウ f.colorans という。
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ソバカズラ属 Fallopia(何首烏 héshŏuwū 屬)については、ソバカズラ属を見よ。 |
訓 |
和名イタドリは疼取で、痛み取りの薬効から、という。一説に、若い茎の皮を剥ぐと糸が出ることから、糸取の転訛、という。
別名のタジヒはマムシの古名、模様がマムシに似ることから。
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『本草和名』虎杖に、「和名以多止利」と。
『倭名類聚抄』虎杖に、「和名伊太止里」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』12 虎杖に、「イタドリ タチビ古名 サヒタヅマ古歌 フタバノモミヂ同上 サジナ備後 ヱツタスイスイ江州 サド豊後 ダンジ播州姫路 スカンボウ同上 ダイヲン同上原村 サジツボ勢州 カハタケ肥前 ヤマタケ筑前 サスドリ南部秋田」と。 |
漢土では、『爾雅』釋草に「蒤、虎杖」と、郭璞注に「似紅草(コウソウ,hongcao,オオベニタデ)而麤大、有細刺。可以染赤」と。
虎杖は、若い茎を虎の斑のある杖になぞらえて。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・陝甘・西南に分布。
雌雄異株。 |
誌 |
春の筍状の若い茎は酸味があり、皮を剥いで生食したり(ある人は酸っぱいだけだったというが)、煮たり塩漬したりして食う(はやく延喜内膳式に出ず)。 |
中国では、根・根状の茎・莖・葉を虎杖(コジョウ,hŭzhàng)と呼び薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.508-509,345 |
日本では、『日本書紀』巻12 反正天皇即位前紀に、
・・・天皇(すめらみこと)、初め淡路宮に生(あ)れませり。生れましながら歯(みは)、一骨(ひとつほね)の如し。容姿(みかたち みすがた)美麗(うるは)し。是(ここ)に、井(ゐ)有り。瑞井(みつのゐ)と曰ふ。則ち汲みて太子(ひつぎのみこ)を洗(あむ)しまつる。時に多遅(たぢ)の花、井の中に有り。因りて太子の名(みな)とす。多遅の花は、今の虎杖(いたどり)の花なり。故(かれ)、多遅比瑞歯別天皇(たぢひのみつはわけのすめらみこと)と称(たた)へ謂(まう)す。 |
たたずめるわが足もとの虎杖の花あきらかに月照りわたる
(1936,斎藤茂吉『暁紅』)
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