辨 |
ハシリドコロ属 Scopolia(歐莨菪 ōulàngdàng 屬)には、歐洲・カフカスと東アジアに2-3(-30)種がある。
S. carniolica イタリア・バルカン・東歐・カフカス産
S. caucasica カフカス産
ハシリドコロ(キバナハシリドコロ) S. japonica(S.parviflora, S.lutescens;
日本歐莨菪・東莨菪)
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ナス科 Solanaceae(茄 qié 科)については、ナス科を見よ。 |
訓 |
根はオニドコロに似るが、「有毒植物ノ一ニシテ其地下莖ヲ食ヘバ狂奔ス、故ニ此和名アリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』13(1806)莨菪に、「オニシルグサ延喜式 オホミルグサ和名鈔 ヲメキグサ ホメキグサ ヤマサ ナゝツ桔梗江戸 ハシリドコロ肥後」と。 |
漢名を莨菪(ロウトウ,làngdàng)というものはヒヨス Hyoscyamus niger(天仙子)。 |
属名 Scopolia は、オーストリアの学者スコポリ Johann Scopoli(1723-1788)に因む。 |
説 |
本州・四国・九州・朝鮮半島に分布。遼寧・吉林・黑龍江では栽培。
地下茎に猛毒がある。 |
誌 |
1826年シーボルト Siebold(1796-1866)が 散瞳薬として本種を見出した。1887年含有成分が特定され、爾来ベラドンナ Atropa belladonna(顚茄)の日本産代用品とする。 |
日本では、生薬ロートコンは ハシリドコロの根茎及び根である(第十八改正日本薬局方)。鎮痛薬・目薬として用い、またロートエキスやアトロピンの原料とする。 |