辨 |
タラノキ属 Aralia(楤木 sŏngmù 屬)の植物については、タラノキ属を見よ。 |
訓 |
漢名を獨活(独活,ドクカツ,dúhuó)という植物については、ハナウド属を見よ。 |
『本草和名』独活に、「和名宇止、一名都知多良」と。
『延喜式』独活に、「ツチタラ、ウト」と。
『倭名類聚抄』独活に、「和名宇止、一云豆知多良」と。
『大和本草』には「ウド」とあり、中夏より来る獨活とは別という。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』土當歸に「ウド シカ筑前 ドゼン薩州」と、獨活に「シゝウド イヌウド ウマウド城州貴船」と。 |
アイヌ名はチマキナ。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・湖北・廣西・樺太・千島に分布。 |
誌 |
中国では、幾つかのタラノキ属 Aralia(楤木屬)の植物を、九眼獨活(キュウガンドクカツ,jiŭyăn dúhuó)と呼び薬用にする。
A. atropurpurea(濃紫龍眼獨活)
〇ウド A. cordata(獨活・土當歸・心葉九眼獨活・食用土當歸・食用楤木)
〇A. henryi(柔毛龍眼獨活・短序九眼獨活)
なお、獨活(独活,ドクカツ,dúhuó,どっかつ)という生薬については、シシウドの誌見よ。
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日本では、生薬ドクカツ(ドッカツ)は ウドの、通例、根茎である(第十八改正日本薬局方)。 |
嫩葉を食用にし、根茎を乾燥させて薬用にする。
日本の 数少ない伝統野菜の一。 |
「三四月芽立を生ず。貴賎あまねく賞味する物なり。里遠き山野に生ず。冬より土中なる芽を取りて食品とす。されと時ならざるを食ふは、よからぬ事にや。・・・貴賎皆このみ用ゆるものなれば、都近き所、又諸国の国都など、大邑ある近方にて、山野の余地あらば、多く作り立てゝ市中に出すべし」(宮崎安貞『農業全書』1697)。
既にこのころには、ウドは換金作物となり、若い芽の軟化栽培が始まっていた。 |
雪間より薄紫の芽独活(めうど)かな (芭蕉,1644-1694)
いとゆふに貌引のはせ作り独活 (配力,『猿蓑』,1961)
独活もはや喰ハれぬ迄の若葉哉 (蕪村,1716-1783)
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俚諺に「うどの大木」とは、役立たずのものの譬え。ウドは長ずると食用にならぬことから。 |