辨 |
タバコ属 Nicotiana(煙草 yāncăo 屬)は、広く南・北アメリカ大陸・オーストラリア・オセアニア・ナミビアに約76-95種がある。
シュッコンタバコ(ハナタバコ) N. alata (花煙草・香煙草花)
キダチタバコ N. glauca(光煙草) 南米産
ナガバタバコ N. longiflora
マルバタバコ N. rustica(黃花煙草)
ハナタバコ N.×sanderae (煙草花)
タバコ N. tabacum (煙草) 栽培種
アレチタバコ N. trigonophylla 北アメリカ原産
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ナス科 Solanaceae(茄 qié 科)については、ナス科を見よ。 |
訓 |
和名タバコは、ポルトガル語の tabaco またはスペイン語の tabacco から。
その語源は、南アメリカ熱帯地方の現地語の「タバカ」(Y字型の喫煙具の名)からと言う。 |
『大和本草』烟花(タバコ)に、「タハコハ蓬溪類説ニ淡婆姑(タンバコ)草ト云、漳州府志に淡芭菰トカク、タハコ異國ノ方言ナリ、或曰、日本ニ初來リ丹波ヨリ其粉ヲキサミ出ス、故ニ丹波粉ト云、此説妄語也」と。 |
属名 Nicotiana は、フランスの外交官ニコ Jean Nicot(ca.1530-1660)に因む。彼は、1560年、はじめてタバコの種子を ポルトガルからフランスにもたらした。 |
説 |
南アメリカの熱帯(ボリビア南部・アルゼンチン北部のアンデス山脈東側)で成立した栽培種。15世紀末にコロンブスによってヨーロッパにもたらされ、日本へは慶長(1596‐1615)初ごろポルトガル人によって持ち込まれた。 |
誌 |
葉を乾燥させ醗酵させて、細かく刻み、火をつけて煙を吸う。
中央アメリカの現地人は、紀元前から喫煙をしていたという。15世紀末にコロンブスにより実物と喫煙がヨーロッパに伝えられ、はじめ薬品として扱われたが、やがて嗜好品として広まった。
日本には、喫煙はポルトガル人により天正年間(1573‐92)に伝えられ、種子は慶長(1596‐1615)初にもたらされた。そののち喫煙の風習は、寛永年間(1624‐44)には広く一般化して定着した。
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「(アイにつく)虫を殺す事はたばこの茎を煎じ出し、其汁をしべ箒にてひたとうちひたせば、虫死ぬる物なり。毎日かくのごとくして虫悉く死し尽くるを以てやむべし。又苦参(クララ)の根をたゝきくだき、水に出しうちたるも、虫よく死ぬる物なり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。 |
著者(嶋田)の記憶では、1950sころ、長野県東筑摩郡波田村の一部の農家では、換金作物としてタバコを栽培していた。葉の一枚一枚まで、専売公社の社員によって数えられていたと記憶する。 |