ふじまめ (藤豆)
学名 |
Lablab purpurea (Dolichos lablab, Lablab vulgaris, Lablab niger) |
日本名 |
フジマメ |
科名(日本名) |
マメ科 |
日本語別名 |
センゴクマメ(千石豆)・ハッショウマメ(八升豆)、アジマメ(味豆)、インゲンマメ(隠元豆) |
漢名 |
藊豆・扁豆(ヘントウ,biăndòu,へんず) |
科名(漢名) |
豆(トウ,dòu)科 |
漢語別名 |
白藊豆・白扁豆、火鐮扁豆、沿籬豆(エンリトウ,yanlidou)、膨皮豆(ボウヒトウ,pengpidou)、鵲豆(ジャクトウ,quedou)、蛾眉豆(ガビトウ,emeidou)、老母豬耳朶、肉豆・白肉豆・肉仔豆、烏仔豆 |
英名 |
Hyacinth bean, Lablab |
2007/08/13 同上 |
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辨 |
フジマメ属 Lablab(藊豆 biăndòu 屬)には、次の1種がある。
フジマメ L.purpurea(Dolichos lablab;藊豆・鵲豆)
シロフジマメ 'Bengalensis'
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東アジアで栽培されている食用のマメについては、まめを見よ。 |
マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
和名は、花の形がフジに似ることから。
「和名隱元豆ハ往昔隱元禪師ノ我邦ニ齎ラセルヨリ云フ、今日普通ニ呼ブ菜豆ノいんげんまめトハ別ナリ。千石豆ハ収穫ノ豐富ニ在ルヨリ云ヒ、味豆ハ味佳キ豆ナルヨリ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
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『本草和名』藊豆に、「和名阿知末女」と。
『倭名類聚抄』藊豆に「和名阿知万女」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「藊豆 アジマメ和名鈔 トウマメ土州 カキマメ豫州 ヒラマメ」、「鵲豆 インゲンマメ カキマメ雲州 ツバクラマメ遠州 カンマメ同上 ナンキンマメ筑前 フヂマメ江戸 八升マメ勢州 サイマメ上総 センゴクマメ勢州白子 インゲンサゝゲ佐州 トウマメ城州黄蘗」と。 |
説 |
従来インド・東南アジア原産としてきたが、恐らくアフリカ原産。広く世界の熱帯・温帯地方で栽培されている。 |
中国には6世紀までに入り、全国各地で栽培する。臺灣・海南島では野生する。
日本には、承応(1652-1655)年間に、隠元隆琦(1592-1673)によりもたらされたといい、関西ではインゲンマメと呼ぶ(ただし、植物学上のインゲンマメは別属別種)。 |
誌 |
種子や若い莢、嫩葉を食用にする。
宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「五穀の類」の一として「扁豆(へんづ)」をあげ、
「扁豆又たう豆とも云ふ。民俗には八升豆とも云ふ。甚だ多く実り、一本に八升もなると云ひならはせり。又天竺豆、近時渡る南京豆、隠元、さゝげなど云ふも此類なり。
扁豆に黒白の二種あり。白きは白扁豆とて薬種に用ゆる物なり。凡此類甚だ多し。其中に南京豆極めて味よし。秋の末冬の初おほく実り、莢ともに(但莢のふちの筋を去れば実入りて後もよし)日用の食物に用いて益多き物なり。農家多く作るべし。此扁豆の類は、其根さへ肥地によくはびこりぬれば、其つるは民家の軒屋の上にはひ、或は籬にはゝせ、棚をかまへてまとはせ、又屋敷境の嶮き岩ばなさがしき片岸の野山、枯れたる立木などにもはひひろごり、都べて農家無用の地に生長し、みのり多くよろしき物なり。・・・」(岩波文庫本)と。 |
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中国では、完全に開いた白花を扁豆花と呼び、シロフジマメの種子を白扁豆(ハクヘントウ,báibiăndòu)と呼び、薬用にする。『中薬志』Ⅱpp.97-99・Ⅲpp.352-353 『(修訂) 中葯志』III/298-302,V/274-276 『全国中草葯匯編』下/209-210
日本では、生薬ヘンズ(扁豆)は フジマメの種子である(第十八改正日本薬局方)。 |
シロフジマメ 'Bengalensis' 2008/08/18 明治薬科大学薬草園 |
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