じゃのひげ (蛇鬚) 

学名  Ophiopogon japonicus
日本名  ジャノヒゲ 
科名(日本名)  ユリ科
  日本語別名  リュウノヒゲ(龍鬚)、ジョウガヒゲ、ジイリヒゲ、タツノソゲ、ハズミダマ、ヤマスゲ
漢名  麥冬(バクトウ,maidong)
科名(漢名)  百合(ヒャクゴウ,baihe)科
  漢語別名  麥門冬(バクモントウ,maimendong)・冬、沿階草(エンカイソウ,yanjiecao)・階前草・家邊草、繡墩草(シュウトンソウ,xiuduncao)、禹餘糧(ウヨリョウ,yuyuliang)、
英名  Dwarf lilyturf, Snake's-beard
2008/06/28 入間市宮寺
2011/04/05 秋が瀬
これは種子そのもの。 

 ジャノヒゲ属 Ophiopogon(沿階草屬)には、東アジア・ヒマラヤ・インドに54種がある。
   O. bockianus (連葯沿階草・寛葉麥冬)
 『中国本草図録』Ⅶ/3418
   O. bodinieri (沿階草)
   O. brevipes (短葉沿階草)
   セッコウジャノヒゲ O. chekiangensis(杭麥門冬)
   O. chingii (長莖沿階草)
 『中国本草図録』Ⅴ/2416
   O. clarkei (短絲沿階草)
   O. dracaenoides (褐鞘沿階草・大葉沿階草)
   O. grandis (大沿階草)
   O. intermedius (中間型沿階草・蜈蚣七・山韮菜)
       
『雲南の植物』29・『中国本草図録』Ⅹ/4934
   ノシラン O. jaburan
   ジャノヒゲ O. japonicus (沿階草・麥冬・麥門冬)
     カブダチジャノヒゲ var. caespitosus
     ナガバジャノヒゲ var. umbrosus
   O. kradungensis
タイ産
   O. lofouensis (鋪散沿階草)
   ナガバジャノヒゲ O. longifolius (長葉沿階草)
   O. mairei (西南沿階草)
   O. peliosanthoides
中国(貴州・雲南)産
   オオバジャノヒゲ O. planiscapus
   O. platyphullus (寛葉沿階草)『中国本草図録』Ⅹ/4935
   ヨナグニノシラン O. reversus
   O. revolutus
中国(雲南)・タイに分布
   O. scaber (糙葉沿階草)
   O. stenophyllus (狹葉沿階草)
   O. szecguanensis (四川沿階草)
   O. tonkinensis (多花沿階草・大葉麥冬)
 『中国本草図録』Ⅱ/0918
   O. umbraticola (陰生沿階草)
   O. wallichianus (紫花沿階草) 
 ヤブラン属 Liriope(土麥冬屬・麥冬屬)とともに、ユリ科 ヤブラン亜科 Ophiopogonoideae (ヤブラン科 Ophiopogonaceae とすることがある)に属する。
 ユリ科 Liliaceae(百合科)については、ユリ科を見よ。
 和名は、垂下する葉の形状から。
 李時珍『本草綱目』(ca.1596)に、「麦の髭、(モン,men)と曰う。此の草、根は麦に似て鬚有り、其の葉は韮の如く、冬を凌いで凋まず。故に之を麦冬と謂う。…俗に門冬に作る」と。クサスギカズラの訓を参照。
 漢名を禹餘糧というものは三つあり、一はカヤツリグサ(莎草)科のエゾノコウボウムギ(蒒草,シソウ,shicao) Carex macrocephala、一は本種、一はある種の鉄鉱石。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)麦門冬に、「和名也末須介」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)麦門冬に、「和名夜末須介」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』12
(1806)に、「麦門冬 ヤマスゲ延喜式和名鈔 ヤブラン ムギメシバナ勢州 カウガイサウ加州(以上はヤブラン)、「小葉ノ麦門冬ハ ジヤウガヒゲ ヤブミフキダマ泉州 テツポウノタマ江州 カシラゴ ジヤノヒゲ共ニ同上 ジユズダマ播州 リウノヒゲ筑前 リヤウノヒゲ江戸 ヲンドノミ志州 ヂイノヒゲ雲州 タツノヒゲ奥州加州 インキヨノメダマ加州 ヅクダマ丹波 ヲドリコ勢州 ヲフクダマ同上 ハヅミダマ メツチヨヒガラ豫州(以上はジャノヒゲ)と。
 学名の属名は「ヘビのひげ」の意で、和名から。
 日本・朝鮮・中国(東北・華北・西北以外各地)・臺灣・インドシナ北部・インド北部に分布。
 中国では、ジャノヒゲの塊根を麥冬・麥門冬と呼び薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.229-233
 産地により、杭麥冬
(筧麥冬・浙麥冬)・川麥冬・土麥冬を区別し、チベットでは、O. intermedius (中間型沿階草・蜈蚣七)を麥冬として用いる。
 
(なお、日本の植物学者は、これらのうち 杭麥冬をセッコウジャノヒゲ O.chekiangensis と名づけ、別種とする)。

 また、近縁のヤブラン属 Liriope(土麥冬屬・麥冬屬)の 次のような植物を、土麥冬として用いる。
   コヤブラン L.spicata(土麥冬・大麥冬・大葉麥冬)
   ヤブラン L.platyphylla (闊葉土麥冬)
   ヒメヤブラン L.minor (矮小土麥冬)
   L.kansuensis (甘肅土麥冬)
 日本薬局方では、麦門冬(ばくもんどう)の基原植物をジャノヒゲ O. japonicus に限定。
 韓国産・臺灣産の麥門冬は、ヤブラン属を基原植物としている。
 訓に記したように、麦門冬の古名はヤマスゲ。したがって、『万葉集』に、

   妹がため菅の実採りに行く吾は山路にまとひこの日暮しつ 
(7/1250,読人知らず)

とある「菅の実」は、ジャノヒゲの実、美しいので愛玩されたものであろう、という
(ただし、かつて牧野富太郎は、この菅はガマズミである、と唱えたことがある)

 しかし、

   山菅の乱れ恋ひのみ為しめつつあはぬ妹かも年は経につつ
(11/2474,読人知らず)
   足引の名に負う山菅押し伏せて君し結ばばあ
(逢)はざらめやも (11/2477,読人知らず)
   足ひきの山菅の根のねもころに止まず念はば妹にあ
(逢)はむかも (12/3053,読人知らず)

などと歌われる山菅は、スゲ属 Carex の草の総称であろう、という。スゲの項を参照。


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