あやめ 

学名  Iris sanguinea(I. sibirica var. orientalis, I. orientalis)
日本名  アヤメ
科名(日本名)  アヤメ科
  日本語別名  ハナアヤメ
漢名  溪蓀(ケイソン,xīsūn)
科名(漢名)  鳶尾(エンビ,yuānwěi)科
  漢語別名  豆豉草、下搜山、東方鳶尾
英名  Flag
2021/04/19 小平市玉川上水緑地 2007/05/08 小石川植物園


2021/04/21 小平市玉川上水緑地
シロアヤメ  f. albiflora
   2021/05/09 同左
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2008/07/24 長野県蓼科山
2024/06/20 長野県入笠山 

2008/07/12 京都府立植物園

 アヤメ I. sanguinea(溪蓀 xīsūn)には、次のような種内分類群がある。

   アヤメ var. sanguinea
     シロアヤメ f. albiflora(白花溪蓀)
     シロバナクルマアヤメ f. albostellata
     ウスイロアヤメ f. pallidiflora
     クルマアヤメ f. stellata
   トバタアヤメ var. tobataensis
   カマヤマショウブ var. violacea(I.thunbergii)
   var. yixingensis(宜興溪蓀) 
    
 アヤメ属 Iris(鳶尾 yuānwěi 屬)の植物については、アヤメ属を見よ。
 和名アヤメは文目の意、葉が並んだようすから、という。しかし、あやめの語源には他にも多説があり、定まらない。
 (ただし、むかし「あやめ」と呼んだものはショウブであるから、「あやめ」の語源はショウブに関わる。)
 日本語のあやめという言葉の歴史は、ややこしい。
 1.〔
(漢字)菖蒲=(音)あやめ=(意味)ショウブ〕
     むかし「あやめ」という言葉は ショウブ Acorus calamus を意味していた。
     『万葉集』『本草和名』『倭名類聚抄』などでは、これを菖蒲・昌蒲と書き、
     「あやめ」「あやめくさ」と読んでいた。
 2. 室町時代には、はなしょうぶ・花あやめという言葉が用いられ始めたが、
     これはノハナショウブ或はハナショウブであったろうという。
 3.〔(漢字)菖蒲=(音)しょうぶ=(意味)ショウブ〕
   〔(漢字)花菖蒲=
(音)はなしょうぶ=(意味)アヤメ〕
     江戸時代になると「あやめ」という言葉は使われなくなり、
     ショウブは「菖蒲
(しょうぶ)」と、
     アヤメは「花菖蒲
(はなしょうぶ)」と呼び分けられた。
 
    一方、江戸時代には、ハナショウブが、盛んに栽培されるようになった。 
 4.〔(漢字)菖蒲=(音)しょうぶ=(意味)ショウブ〕
   〔
(読み)あやめ=(意味)アヤメ〕
     18世紀に入ると、一般にアヤメ属の植物を「あやめ」と通称するようになった。

 今日では、植物学上のアヤメを「あやめ」と言うのが原則だが、ゆれがあり、たとえば有名な潮来
(いたこ)の「あやめ」はハナショウブである。
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリアに分布。
 一般的な通念とは異なって、水はけのよい向陽地を好み、乾燥にも強い。
 埼玉では絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
 中国では、根茎・根を薬用にする。
 『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「紫あやめ・白あやめ・柿あやめ」が載る。
 『大和本草』に、「紫羅襴花(ハナアヤメ) 今ハ只アヤメト云・・・古歌ニアヤメトヨメルハ菖蒲ナリ、是ニハ非ス、一説溪蓀ヲハナアヤメトス、今ハナアヤメト云物別ニ數品アリ、此類ナリ、花しやうぶバリンモ此類也」と。

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