辨 |
モチノキ属 Ilex(冬靑 dōngqīng 屬)の植物については、モチノキ属を見よ。 |
訓 |
「和名ハ此廣闊ナル葉ヲ彼ノ經文ヲ掻記スル貝多羅樹(しゅろ科ノ Borassus flabelliformis Murr.)ノ葉ニ比セシ者ナ」(『牧野日本植物図鑑』)。モンツキシバ・エカキシバ・ハガキノキの名も同じ理由から。 |
説 |
本州(静岡以西)・四国・九州・華東に分布。 |
誌 |
モチノキ属のほとんどの種から黐(もち)が採れるが、モチノキから採るものを本黐、タラヨウ・イヌツゲから採るものを青黐と呼んで区別する。 |
葉を取って、その裏に釘などの硬いもので傷をつけると、その部分がすぐに黒変し、永く痕が残るので、子供たちが絵を書いたり字を書いたりして遊んだという。
平成16年(2004)9月13日、学内のタラヨウの葉を取り、試してみた。 |
に釘で「アトミの花便り」と書いたところ、のようになった。 |
以下は、その後の様子である。
(部屋の片隅の棚の上に置いてあるだけで、特別な保存はしていない。)
同年9月17日 すなわち4日後 |
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同年12月27日 すなわち3ヶ月後 |
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平成18年(2006)5月15日
すなわち1年8ヶ月後 |
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平成19年(2007)12月25日
すなわち3年3ヶ月後 |
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令和4年(2022)12月8日
すなわち18年3ヶ月後 |
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以上のように、
1. |
タラヨウの葉は、木から取り外しても萎れたり腐ったりしない。かつ、乾燥しても形が崩れない。 |
2. |
つけられた紋様は、永らく消えない。 |
ので、ちょっとした情報の保存には、確かに有効。 |
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『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「たらやう 葉、ゆつりはの様にて、各別あつし」と。 |
ハガキノキの名は、それほど古くからあるものではないという。また、これを本当に葉書の用に充てたものかどうかは、筆者は未確認。 |
タラヨウは、ハガキノキという呼び名にちなんで、平成9年(1997)「郵便局の木」に指定された。
中央郵便局(東京駅丸の内南口前)の
玄関脇に植えられたタラヨウ。 |
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