さるとりいばら (猿捕茨)
学名 |
Smilax china |
日本名 |
サルトリイバラ |
科名(日本名) |
サルトリイバラ科 |
日本語別名 |
ガンタチイバラ、カカラ、サルトリ、サルカキ・サルカキイバラ、ワノサンキライ |
漢名 |
菝葜(ハツカツ,báqiā,ばっかつ) |
科名(漢名) |
菝葜(ハツカツ,báqiā)科 |
漢語別名 |
鐵菱角(テツリョウカク,tiĕlíngjiăo)、金剛根(コンゴウコン,jīngānggēn) |
英名 |
Greenbrier, Catbrier |
2024/03/14 植物多様性センター |
2024/03/30 武蔵村山市岸 |
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雄株 2009/04/16 入間市宮寺 |
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雌株 2024/04/19 武蔵村山市三ツ木 |
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2022/04/25 小平市玉川上水緑地 |
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2017/06/03 入間市宮寺 |
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2006/08/28 明治薬科大学薬草園 |
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2008/10/30 入間市宮寺 |
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2023/11/09 薬用植物園 |
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2023/12/03 同上 |
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辨 |
サルトリイバラ科(シオデ科) Smilacaceae(菝葜 báqiā 科)には、1-4属 約300種がある。
サルトリイバラ属(シオデ属) Smilax(菝葜属)
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サルトリイバラ属(シオデ属) Smilax(菝葜 báqiā 属)には、世界に約300種がある。
incl. Heterosmilax
S. aberrans(毛葉菝葜)
var. retroflexa(彎梗菝葜)
アマミヒメカカラ S. amamiana
アリサンサンキライ S. arisanensis(尖葉菝葜)
S. aspera(穗菝葜)
S. aspericaulis(疣枝菝葜)
S. astrosperma(灰葉菝葜)
S. basilata(短梗菝葜)
ヒメカカラ S. biflora(S.china var.biflora)
S. binchuanensis(Heterosmilax yunnnensis;短柱肖菝葜) 湖北・兩廣・四川・貴州・雲南産
S. bockii(Heterosmilax japonica;西南菝葜・藏金剛藤) 『中国本草図録』Ⅶ/3424
S. bracteata
サツマサンキライ var. bracteata(S.stenopetala;圓錐菝葜) 『雲南の植物Ⅲ』276
アラガタサンキライ var. verruculosa(S.aspericaulis)
S. chapaensis(密疣菝葜)
サルトリイバラ S. china(菝葜)
コミノサルトリイバラ f. igaensis
キミノサルトリイバラ f. xanthocarpa
オキナワサルトリイバラ var. kuru
トキワサルトリイバラ(オオサルトリイバラ・トゲナシサルトリイバラ)
var. yanagitae(S.boninensis)
S. chinensis(Heterosmilax chinensis;華肖菝葜) 兩廣・四川・貴州・雲南産
S. chingii(柔毛菝葜)
S. cocculoides(銀葉菝葜)
S. corbularia(筐條菝葜)
S. cyclophylla(合蕊菝葜)
S. darrisii(平滑菝葜)
S. davidiana(小果菝葜)
S. densibarbata(密刺菝葜)
S. discotis(托柄菝葜・托柄萆薢・土伏苓・金剛藤)
ホソバサンキライ S. elongatoumbellata(S.elongatoreticulata;臺灣菝葜)
S. ferox(長托菝葜・大菝葜・刺萆薢)
『雲南の植物Ⅰ』260 『中国本草図録』Ⅵ/2943 『全国中草葯匯編』下/371
S. fooningensis(富寧菝葜)
トカラサンキライ S. fui
ヒラエサンキライ S. gaudichaudiana(S.planipedunculata, S.japonica var.gaudichaudiana,
Heteroxmilax gaudichaudiana;合絲肖菝葜)
ケナシサルトリイバラ(ナメラサンキライ) S. glabra(土伏苓・光葉菝葜・鮮土苓・仙遺糧・
冷飯團・山奇糧・山猪糞) 『中国本草図録』Ⅱ/0921・『中薬志Ⅰ』彩図/2
var. concolor(藍果土伏苓) 浙江・江西産。
S. glauco-china(西藏菝葜・黑果菝葜・粉菝葜・金剛藤頭・鐡菱角) 『中国本草図録』Ⅶ/3425
S. glaucophylla(西藏菝葜)
ホソガタサンキライ S. hayatae(菱葉菝葜)
S. hemsleyana(束絲菝葜) 『雲南の植物Ⅲ』276
アラゲサンキライ S. horridiramula(刺枝菝葜)
ウラジロサンキライ S. hypoglauca(S.corbularia var.hypoglauca;粉背菝葜)
カラスバサンキライ S. insularis(S.japonica, S.taipeiensis, Heterosmilax japonica,
S. planipedunculata var.raishaensis;肖菝葜・海島土茯苓・卵葉土茯苓・
白土苓・白萆薢) 琉球・臺灣・淮河以南・インドシナ産。
ナンバンサンキライ S. koyamae(S.bockii;阿里山土茯苓)
S. kwangsiensis(縁毛菝葜)
S. lanceifolia
タイワンサンキライ var. opaca(S.opaca;馬甲菝葜・暗色菝葜・暗色土伏苓・白伏苓)
『全國中草藥匯編 上』p.44 『雲南の植物Ⅲ』276・『中国本草図録』Ⅹ/4938
S. lebrunii(粗糙菝葜)『中国本草図録』Ⅹ/4939
レンゲチサンキライ S. luei
S. lunglingensis(馬錢葉菝葜) 『雲南の植物Ⅱ』262
S. macrocarpa(大果菝葜)
S. mairei(無刺菝葜・滇紅菝葜・小萆薢・紅萆薢)
『雲南の植物Ⅱ』262・『中国本草図録』Ⅸ/4424 『全国中草葯匯編』下/280-281
S. menispermoides(防己葉菝葜) 『中国本草図録』Ⅴ/2421
S. microphylla(小葉菝葜・烏魚刺) 『中国本草図録』Ⅹ/4940 『全国中草葯匯編』下/160
S. myrtillus(烏飯葉菝葜)
S. nana(矮菝葜)
ナントウサンキライ S. nantoensis
ササバサンキライ S. nervomarginata(S.sempervirens, S.liukiuensis;緣脈菝葜)
S. nigrescens(黑葉菝葜)
タチシオデ S. nipponica(白背牛尾菜・牛尾菜)
ホソジタチシオデ f. tenuifolia(S.higoensis, S.nipponica var.higoensis,
S.nipponica var.angustifolia)
S. ocreata(包莖菝葜) 『中国本草図録』Ⅱ/0922
S. outanscianensis(武當菝葜)
ツキヌキサルトリイバラ S. perfoliata(穿鞘菝葜・穿耳菝葜・大托葉菝葜・翅柄菝葜)
『中国本草図録』Ⅸ/4425
S. planipes(扁柄菝葜)
S. polycephala(四稜菝葜)
S. polycolea(紅果菝葜)『中国本草図録』Ⅸ/4426
ランダイサンキライ S. pygmaea(S.menispermoideae subsp.randaiensis)
S. quadrata(方枝菝葜)
S. rigida(勁直菝葜)
シオデ S. riparia(S.riparia var. ussuriensis, S.riparia f.ovatorotunda,
S.maximowiczii, S.ovatorotunda var.ussuriensis;
牛尾菜・草菝葜) 『中国本草図録』Ⅴ/2422
サドシオデ f, sadoensis(S.oldhamii var.sadoensis)
ホソバシオデ f. stenophylla
S. scobinicaulis(短梗菝葜・黑刺菝葜・鐡絲靈仙)
ハマサルトリイバラ(トゲナシカカラ) S. sebeana(S.maritima, S.iriomotensis)
シオデモドキ S. seisuiensis(Pseudosmilax seisuiensis, P.hogoensis,
Heterosmilax septemnervia, H.seisuiensis, H.hogoensis;
臺灣肖菝葜・假土茯苓・臺中假土茯苓)
S. setiramula(密剛毛菝葜)
S. siderophylla(鐡葉菝葜・白萆薢) 『全国中草葯匯編』下/212
ヤマガシュウ S. sieboldii(華東菝葜・鮎魚鬚・鐡絲靈仙)
マルバサンキライ S. stans(S.vaginata var.stans, S.pekingensis;鞘柄菝葜)
S. tetraptera(四翅菝葜)
S. trachypoda(糙柄菝葜)
サルマメ S. trinervula(S.biflora var.trinervula, S.sarumame;三脈菝葜)
S. tsingchengshanensis(靑城菝葜)
S. vaginata
ウスバサンキライ var. pekingensis
S. vanchingshanensis(梵淨山菝葜)
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訓 |
「和名猿捕いばらハ刺アリテ猿之レニ引キ懸ル意ニテ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
サンキライについては、ケナシサルトリイバラの誌を見よ。 |
『本草和名』に、菝葜は「和名宇久比須乃佐留加岐、一名佐留止利、一名於保宇波良」、楊蕨菜は「和名之保天」と。
『延喜式』に、抜葜は「ウクヒノサルカキ」と。
『倭名類聚抄に、菝葜は「和名佐流止里、一云於保宇波良」と。
『大和本草』に、「菝葜(サルトリイハラ,バツカツ) ・・・筑紫ノ俗カメイハラト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「ウグイスノサル古歌 サルトリ和名鈔 オホウバラ同上 サルトリイバラ京 ワサンキライ カキイバラ イビツイバラ カメイバラ筑前 ガメイグ同上 ガンタチイバラ防州 ガンタチ同上 ヱビイバラ ガラタチイバラ讃州 カラタチ土州 サルトリイギ防州 ホウテウイギ ホテンドウ共ニ同上 ミゝヅクイバラ泉州 ウマガタグイ備前 ウマカタイバラ同上 ボテグイ備後 ガンナイバラ佐州 カナイバラ同上 カタラ石州 モガキバラ仙台 モガクバラ南部 モンガクバラ同上 クハクハライゲ薩州 シヤウガクバラ信州 フキダマ同上。小葉ノ麥門冬ト同名 サルカケイバラ越前 サルカキバラ越後 サルカケイゲ肥後 サイカチイバラ加州 シリガセイバラ播州酒見北条 ウマグイ同上姫路 カメノカウイバラ同上 ガンライイバラ熊州 ゴキイバラ同上 カタラグイ藝州 イヌバラ豫州 イギンドウ長州 イチビ熊野尾鷲 バンガチ同上三木 カゴバラ上総 五郎四郎シバ西国」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・河南・山東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・フィリピンに分布。
雌雄異株。 |
誌 |
嫩葉を茹でて食用にし、成長した葉は茶の代用にする。熟果も食える。
「葉は平滑で大きな円形をなしているので餠や団子を包むによく、カシワの少ない南西地方ではカシワ餠の包み葉に代用するところが多い」(本山荻舟『飲食事典』)。 |
中国では、根茎を菝葜(ハツカツ,báqiā,ばっかつ)と呼び、薬用にする。『全国中草葯匯編』上/752-753
日本では、「根莖ハ民間藥ト成ル。世間之ヲさんきらい(山奇糧卽チ土茯苓)ト云フハ非ナルヲ以テ時トシテハ本品ヲ和のさんきらいト呼バル」と言う(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「荊棘(いばら)のるひ」に、「荊茨(さるとりばら) 花形藤のごとく、色うこん。上々」と。 |
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