辨 |
花は、淡紅色、径3-4cm。花柄は2-3cm、垂れない乃至やや垂れる。
果実は球形、径1-2cm、黄褐色に熟す。食用。 |
リンゴ属 Malus(蘋果 píngguŏ 屬)の植物については、リンゴ属を見よ。 |
訓 |
「和名ハ海棠ニ基キシ名、實海棠ハ果實ヲ生スルかいだうノ意、長崎林檎ハ肥前長崎ヨリ世間ニ擴マリシヲ意味ス。德川時代ニハ之レヲかいだうト呼ビタリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。なお、漢名を海棠(カイトウ,hăitáng)というものについては、リンゴ属の訓を見よ。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』26(1806)に、「海紅 カイドウ 通名」と。 |
漢名の海棠については、リンゴ属の訓を見よ。 |
説 |
漢土原産、遼寧・河北・山西・山東・陝甘・雲南に分布。ホンカイドウ M.spectabilis(海棠)とシベリアリンゴ(マンシュウズミ) M. baccata(山荊子)の雑種。
日本には室町時代に渡来、各地で栽培した。江戸時代に海棠と言えば本種を指した。 |
誌 |
完熟した果実は、生食しあるいは加工して食用にする。リンゴ M. pumila の台木として用いられる。 |
中国文化における海棠については、ホンカイドウを見よ。 |
日本における海棠の語の初見は『下学集』(1444)。
『花壇地錦抄』(1695)には、海棠・杜子美(としみ)・実海棠の三種をあげる。
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海棠や白粉に紅をあやまてる(蕪村)
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