くす (樟・楠) 

学名  Cinnamomum camphora
日本名  クスノキ
科名(日本名)  クスノキ科
  日本語別名  クス
漢名  樟(ショウ,zhāng)
科名(漢名)  樟(ショウ,zhāng)科
  漢語別名  樟樹(ショウジュ,zhangshu)、香樟(コウショウ,xiangzhang)、本樟、烏樟(ウショウ,wuzhang)、芳樟(ホウショウ,fangzhang)、樟木子(ショウボクシ,zhangmuzi)
英名  Camphor tree
2007/04/10 小石川植物園

2012/05/11 小石川植物園 

2008/05/15 千葉県館山市   (街路樹)

2010/06/12 入間市宮寺 
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2012/06/01  京都府八幡市 石清水八幡宮

2005/09/23 昭和公園

2006/10/29 宮崎神宮(宮崎市)

2009/11/22 熊本城

 クスノキ科 Lauraceae(樟 zhāng 科)については クスノキ科を、クスノキ属 Cinnamomum(桂 guì 屬)については クスノキ属を見よ。
 漢名を桂(ケイ,guì)と言う植物については、モクセイ属の訓を見よ。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』樟に、「クスノキ和名鈔 クス」と。
 漢名を楠木(ナンボク,nánmù)というものは、ナンタブ Phoebe nanmu(Machilus nanmu)、クスノキ科だが別属で、日本には産しない。従って、以下の古説は、いずれも当らない。
 『本草和名』楠材に、「和名久須乃岐」と。
 『倭名類聚抄』楠に「和名久須乃木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』30 楠に、「コガネノハ
古歌 オヤコグサ同上 ユヅリハ ワカバ阿州 ツルシバ肥前 ツルノハ肥後」と。 
 本州(関東以西)・四国・九州・済州島・臺灣・漢土(長江以南)・インドシナに分布。
 古くから栽培し、日本のものは野生かどうかわからない。中国南部原産というが、これも確定し得ない、という。
 照葉樹林を構成する 主要な構成員の一。
 全体に樟脳を含む。
 中国では、根・材・樹皮・葉・果実を薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/912-913
 精製した樟腦(ショウノウ,zhāngnăo;カンファー,camphor,カンフル,C10H16O) は、強心剤・防虫剤などとして用いる。『中薬志Ⅲ』pp.635-636 『(修訂) 中葯志』V/867-869 『全国中草葯匯編』上/913 
 材は樟木と呼ばれ、大木が得やすく保存性が高いので、建築材のほか、広く家具・欄間や仏像などの彫刻・細工物などに用いられ、また耐水性があるので 昔は丸木舟の材料にされた。
 日本では、古くから有用な材の代表の一であり、スギ・ヒノキ・マキ・クスは素戔鳴命(すさのをのみこと)の毛から成ったという(『日本書紀』巻1「材木の起源」)
 清少納言『枕草子』第40段「花の木ならぬは」に、「くすの木は、こだち(木立)おほかる所にも、ことにまじ(交)らひた(立)てらず、おどろおどろしき思ひやりなどうとましきを、千え(枝)にわかれて恋する人のためしにいはれたるこそ、たれかはかず(数)をし(知)りていひはじめけんと思ふにをかしけれ」と。

   和泉なる しのだ
(信田)の森の 楠の木の 千枝にわかれて 物をこそ思へ
     
(『古今和歌六帖』2)
   あきの月 しのだのもりの ちえよりも しげきなげきや くまなかるらん
   ものおもへば ちゞに心ぞ くだけぬる しのだのもりの 千えならねども
     
(西行(1118-1190)『山家集』)
 
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「楠(くすのき) につけいの葉ににたり。黒き実あり」と。

   楠樹の若葉仄かに香(か)ににほひ、
   葉びろ柏は手だゆげに、風に搖
(ゆら)ゆる初夏(はつなつ)を、
     
薄田泣菫「望郷の歌」(『白羊宮』)より
 
 兵庫県・佐賀県・熊本県の県木、佐賀県の県花。

2005/05/10 跡見学園女子大学新座キャンパス

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