かき (柿) 

学名  Diospyros kaki
日本名  カキ
科名(日本名)  カキノキ科
  日本語別名  カキノキ
漢名  柿・柹(シ,shì)
科名(漢名)  柿(シ,shì)科
  漢語別名  柿子、朱果
英名  Kaki, Oriental persimmon
2007/04/19 薬用植物園 2006/04/24 三芳町竹間沢
2006/05/06 薬用植物園 2005/05/22 野川公園

2006/06/22 薬用植物園 2007/10/08 同左

2005/10/31  東久留米市 野火止

2004/12/10 三芳町竹間沢
2006/11/04 薬用植物園
2008/11/13 神代植物公園
 果実の甘さ渋さにより、次のような品種がある。
   甘柿(完全) :富有・御所・次郎柿
   〃 (不完全):禅寺丸・甘百目・久保・水島
   渋柿(不完全):会津不知・平核無・甲州百目
   〃 (完全) :西条・堂上蜂谷・横野・愛宕・四ツ溝
 カキノキ科 Ebenaceae(柿 shì 科)には、4属約580-800種がある。

  カキノキ属 Diospyros(柿屬)

  Euclea(海柿屬)
熱帯アフリカ・アラビア半島に12-16種 
    E. natalensis(那塔柿)
ソマリア~南アフリカに産 
   
 カキノキ属 Diospyros(柿 shì 屬)には、世界に約500-730種がある。

  ケガキ D. blancoi
果実を食用。フィリピン原産、臺灣でも栽培
  タマフリノキ
(シセントキワガキ) D. cathayensis (烏柿・丁香柿子・山柿子・
         ・黑塔子・金彈子・野油柿子)『中国本草図録』Ⅹ/4787
  D. corallina (五蔕柿)
海南島産 
  ケガキ D. discolor (臺灣柿)
  カイナンヤマガキ D. diversilimba (光葉柿)
廣東・海南島産 
  ブラックサポテ D. ebenaster
メキシコ・西インド産
  コクタン
(インドコクタン・セイロンコクタン) D. ebenum(E.Ebony)
  ヤエヤマコクタン
(リュウキュウコクタン) D. egbert-walkeri
  ヤワラケガキ D. eriantha(烏材)
         
琉球・臺灣・兩廣・ベトナム・フィリピン・マレー半島・インドネシア産 
  D. howii (瓊南柿・鏡面柿)
廣東・海南島産 
  リュウキュウマメガキ D. japonica(f.pseudolotus, D.kuroiwae,
         D.glaucifolia;山柿・浙江柿・粉葉柿)
  D. kaki
    カキノキ var. kaki ()
 長江流域原産 『雲南の植物Ⅱ』201
    ヤマガキ var. sylverstris (野柿・油柿・山柿)
         
福建・江西・兩廣・雲南産 『中国本草図録』Ⅴ/2244
  コウトウガキ D. kotoensis
  マメガキ
(シナノガキ・ブドウガキ) D. lotus (君遷子・黑棗・柔棗・紅藍棗)
  リュウキュウガキ
(クサノガキ) D. maritima(D.liukiuensis;海邊柿)
         
琉球・臺灣・東南アジア・オーストラリア・ポリネシアに分布。
         果実に毒があり、魚毒・矢毒に用いる。
  D. metcalfii (南海柿)
  D. mollifolia (小葉柿・紫藿香・澀藿香)
  トキワガキ
(トキワマメガキ) D. morrisiana (D.nipponica;
         羅浮柿・山柿・山埤柿・野柿花) 『中国本草図録』Ⅹ/4788 
         
本州(伊豆半島以西)・四国・九州・琉球・臺灣・華東・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南産
  D. nigricortex(黑皮柿)
 雲南産 『雲南の植物Ⅲ』214
  オルドガキ D. oldhamii(D.sasakii;D.hayatae;D.odashimae;紅柿)
         
 琉球・臺灣産 
  アブラガキ D. oleifera(油柿)
安徽・浙江・江西・福建・湖南・兩廣産 
  ツクバネガキ
(ロウヤガキ) D. rhombifolia (老鴉柿・山柿子・野山柿・野柿子) 
         
安徽・江蘇・浙江・福建産 
  アカケガキ D. strigosa(毛柿)
廣東産 
  コケモモガキ D. vaccinoides(小果柿)
廣東産 
  アメリカガキ D. virginiana 
米国東部産
   
 「杮(こけら)落とし」と使うときの(ハイ,fèi,こけら;「木の削り屑」の意)は、(シ,shì,かき)とは別字。
 この二つの字は、旁(つくり)が違う。「こけら」の旁は、帀の縦棒が上に突き抜けたもの、「かき」の旁は帀の上に点
 『本草和名』柿に、「和名加岐」と。
 『倭名類聚抄』に、柹は「和名賀岐」、鹿心柹は「和名夜末賀岐」、黒柹は「久呂加木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』柹に、「カキ
和名鈔」と。
 学名の種小名は和名から。
 東アジア温帯の固有種。中国ではB.C.2c.に植栽の記録がある。
 日本には奈良時代に中国から渡来したとする説が有力。
 渋柿は柿渋を採るほか、渋抜きをし或は干柿にして食う。
 葉を乾燥させ、柿の葉茶にして飲む。
 中国では、葉・柿蔕(シテイ,shìdì,へた、果実に残存する萼)・柿霜(シショウ,shìshuāng,ほしがき(柿餠, シヘイ, shìbĭng)の表面の白い粉)・根・葉・柿漆(シシツ,shìqī,かきしぶ)を薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.310-312 『(修訂) 中葯志』III/488-490 
 カキノキ属の内、黒い材芯を用材とするものを、黒檀と総称する。材は堅く、比重は重く、耐久性に富む。次のようなものを含む。

  スラウェシコクタン D. celebica インドネシア(スラウェシ島)産
  D. chloroxylon
  コクタン(インドコクタン・セイロンコクタン) D. ebenum(烏木;E.Ebony)
  D. embryopteris
  D. mollis 
   
 『礼記』「内則」に、周代の君主の日常の食物の一として柿を記す。
 賈思勰『斉民要術』(530-550)巻4に「種柿」が載る。
 「柿は上品(じょうぼん)の菓子にて、味ひ及ぶ物なし。其品甚だ多し。就中京都のこねり(木練)尤上品なり。大和にては御所柿と云ふ。・・・」(宮崎安貞『農業全書』1697)。

   里ふりて柿の木もたぬ家もなし 
(芭蕉,1644-1694)
   祖父
(おほじ)親まごの栄(さかえ)や柿みかむ (同)

   みじか夜や浅井に柿の花を汲
(くむ) (蕪村,1716-1783)
   渋柿の花ちる里と成にけり 
(同)

   渋柿をながめて通る十夜かな 
(裾送,『猿蓑』1691)
    
(十夜とは、陰暦10月6-15日の十日十夜、寺に僧俗集まり念仏を唱える浄土宗の仏事)
 

   柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 
(子規)
   屋根見ゆる凹地の寺や柿紅葉
   山囲む帰臥の天地や柿の秋 
(碧梧桐)

   柿の皮剥きてしまへば茶をいれぬ夜の長きこそうれしかりけれ
     
(島木赤彦『馬鈴薯の花』1913)

   稚
(をさな)くてありし日のごと吊柿(つりがき)に陽はあはあはと差しゐたるかも
     
(1915,斉藤茂吉『あらたま』)
   よの常のことといふともつゆじもに濡れて深々し柿の落葉は
     
(1945,齋藤茂吉『小園』) 
   雪つもるけふの夕をつつましくあぶらに揚げし干柿(ほしがき)いくつ
     (1945,齋藤茂吉『小園』) 

   柿の赤き実旅の男が気まぐれに泣きて去
(い)にきと人に語るな
   青柿のかの柿の木に小夜ふけて白き猫ゐるひもじきかもよ
      
 (北原白秋『桐の花』1913)
 
 諺に「貧乏柿の核(さね)沢山(渋柿の核沢山・痩柿の核沢山)」とは、貧乏人には子が多いことのたとえ(平野雅章『食物ことわざ事典』1978)

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ モクゲンジ イチイ アブラチャン タチバナ イロハカエデ 樹木譜index