いたやかえで (板屋かえで)
学名 |
Acer pictum (A. mono) |
日本名 |
イタヤカエデ |
科名(日本名) |
ムクロジ科 |
日本語別名 |
トキワカエデ、ツタモミジ、イタヤ・イタヤギ、ハナ・ハナノキ |
漢名 |
色木楓(シキボクフウ,sèmùfēng) |
科名(漢名) |
無患子(ブカンシ, wúhuànzĭ)科 |
漢語別名 |
色木槭(シキボクシュク,sèmùqī)・色木(シキボク,sèmù)、地錦槭(チキンシュク,dijinqi)、水色樹(スイショクジュ,shuiseshu)、五龍皮(ゴリョウヒ,wulongpi) |
英名 |
Painted maple |
2007/04/10 小石川植物園
「Acer mono Maxim. 」subsp. marmoratum(Nicholson)Kitam.」イタヤカエデ」と標示 |
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2023/04/23 同上 |
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2007/04/29 神代植物公園
「イタヤカエデ「Acer mono ssp. marmoratum」と標示 |
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2010/05/28 神代植物公園 |
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2017/07/08 長野県蓼科山 |
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2006/08/14 神代植物公園 |
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2016/11/03 茅野市北山 |
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辨 |
イタヤカエデ(広義) Acer pictum(色木楓) は地方により変異が大きく、次のような種内分類群がある。
イタヤカエデ subsp. dissectum(A.mono subsp.marmoratum, A.pictum var.dissectum)
本州(岩手県以南,主に太平洋側)・四国・九州産
エンコウカエデ f. dissectum(A.mono f.heterophyllum, A.pictum var.dissecrum,
A.mono var.dissectum, A.mono f.tashiroi,
A.mono var.marmoratum f.dissectum, A.cappadocicum var.dissectum)
ケエンコウカエデ f. piliferum(A.mono var.marmoratum f.piliferum)
ウラゲエンコウカエデ f. connivens(A.mono var.connivens,
A.mono var.marmoratum f.connivens, A.pictum var.connivens,
A.mono var.connivens f.subtrifidum)
ケウラゲエンコウカエデ f. puberulum(A.mono var.connivens f.puberulum,
A.mono var.marmoratum f.puberulum)
ウラジロイタヤ subsp. glaucum(A.mono var.glaucum, A.cappadocicum f.glaucum,
A.pictum var.glaucum, A.latilobum, A.mono subsp.glaucum)
山形・新潟・福島産
subsp. macropterum(A.mono var.macropterum;大翅色木楓) 雲南産
アカイタヤ(ベニイタヤ) subsp. mayrii(A.pictum var.mayrii, A.mayrii,
A.mono subsp.mayrii, A.cappadocicum subsp. mayrii)
千島・北海道・本州(東北・島根県以北の日本海側)産
エゾイタヤ subsp. mono(A.pictum var. parvifolium;五角楓) 浙江産
エゾイタヤ f. mono(A.mono var.glabrum)
日本(北海道・本州東北・北陸・隠岐)・朝鮮・千島・樺太・アムールに産
オオエゾイタヤ f. magnificum(A.mono var.glabrum f.magnificum,
A.mono var.glabrum f.latialatum, A.mono var.magnificum)
タケシマイタヤ subsp. okamotoanum(A.okamotoanum)
オニイタヤ(ケイタヤ) subsp. pictum 北海道(南部)・本州・四国・九州産
フイリオニイタヤ f. pictum(A.mono var.ambiguum f.albomaculatum)
斑入り品種。Acer pictum の基準型(タイプ標本)であり、狭義のイタヤカエデに当る。
オニイタヤ(ケイタヤ) f. ambiguum(A.mono f.marmoratum, A.mono subsp.ambiguum,
A.mono f.ambiguum, A.mono var.ambiguum)
ミヤマオニイタヤ f.pulvigerum(A.mono var.ambiguum f.pulvigerum)
subsp. pubigerum(A.mono var.pubierum;江南色木楓) 安徽・浙江産
イトマキイタヤ(モトゲイタヤ) subsp. savatieri(A.mono subsp.savatieri,
A.mono var.trichobasis, A.cappadocicum subsp.savatieri)
関東(西部)・中部(中南部)などに産
タイシャクイタヤ subsp. taishakuense(A.mono subsp.taishakuense) 広島県・朝鮮南部産
subsp. tricuspis(A.mono var.tricuspis;三尖色木楓) 四川・貴州産
これらのうち、「もともとのイタヤカエデが厳密にどれを指すのかは特定は難しい」(『改訂増補 牧野新日本植物圖鑑』)。また「イタヤカエデという和名は既に数種の形に用いられて混乱しているため、総称名として具体的な種内分類群の名称には用いないことが提案されている」(『改訂新版 日本の野生植物』)。
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イタヤカエデ類の葉の形については、「イタヤカエデ類、ミネカエデ類およびイロハモミジ類の葉形と葉脚」(『日本の野生植物 木本II』p.14;『改訂新版 日本の野生植物』p.289)を見よ。 |
カエデ属 Acer(槭屬)については、カエデ属を見よ。 |
訓 |
俚俗にイタヤカエデと呼ぶ木には、次の2種がある。
トキワカエデ 俚称イタヤ・イタヤギ、別名ハナ・ハナノキ、(本項に云うイタヤカエデ)
ハウチワカエデ 別名メイゲツカエデ |
「和名板屋かへでハ其葉能ク繁リ恰モ板屋ノ如ク雨露ノ漏ルル事ナシトノ意ニテ斯ク名クト雖モ、是レ元來ハはうちはかへでノ名ナリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。 |
『花壇地錦抄』(1695)に「板屋(いたや) 葉十二ひとへのごとくにて大キサ四五寸ほどもある物大木の下ニハ雨もらざるよし」と。
『増補地錦抄』(1710)に、「名月(めいげつ)、一名いたや楓・・・葉形切数多十二ひとへのごとく随分大キなる事外になし葉多く付キたる木の下は雨露ももらぬといふ心にや板家(いたや)楓と号(なつく)もよき見たて・・・」と。ただし、名月はハウチワカエデ。 |
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説 |
Acer pictum は、北海道・本州・四国・九州・朝鮮・華東・両湖・西南・華北・東北・モンゴリア・極東ロシアに分布。 |
誌 |
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