辨

　イヌエンジュ属 Maackia(馬鞍樹 măānshù 屬)には、東アジアに8種がある。

　　イヌエンジュ M. amurensis(M.amurensis var.amurensis, M.amurensis var.buergeri,
　　　　　　　　　M.buergeri, M.floribunda;朝鮮槐･山槐)
　　M australis(華南馬鞍樹)　廣東産　
　　M. chekiangensis(浙江馬鞍樹)　安徽･浙江･江西産　
　　M. hupehensis (馬鞍樹 mǎānshù ･槐樹)　陝西･安徽･江蘇･浙江･江西･両湖･四川産　
　　M. hwashanensis(華山馬鞍樹)　陝西･河南産
　　タイワンエンジュ M. taiwanensis(多花馬鞍樹)
　　シマエンジュ M. tashiroi　和歌山･三重･高知･九州･琉球産　
　　M. tenuifolia (光葉馬鞍樹)
　　

　マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科･荳科)については、マメ科を見よ。

訓

　「和名犬ゑんじゅハゑんじゅ卽チ槐ニ似テ麁卑ナルヲ以テ斯ク云フ、山人ハ單ニ之ヲゑんじゅト稱スルヲ以テ往々槐ノゑんじゅト混ズルコトアリ。按ズルニ單ニゑんじゅト稱スルハ蓋シ本樹ヲ指スナラント考フ、ゑんじゅノ古名をゑにすト謂フ是レ亦本邦原産ノ本品ナリトスルヲ穩當ト感ズル。」(『牧野日本植物図鑑』)
　この説の要点は二つ。一は、イヌエンジュはエンジュ Sophora japoonica(槐・槐樹)に似ているが、エンジュより「麁卑」なので犬と言うのだという点。二は、古くから日本語で「えんじゅ」と呼ばれてきた植物は、外来のエンジュではなく、国産のイヌエンジュだろうという点。
　「えんじゅ」の語源については、エンジュの訓を見よ。

説

誌

　中国では、材を建築・家具などに用い、実から油を取る。