辨 |
エンジュ属 Styphnolobium(槐 huái 屬)には、中国に1種・アメリカに8種がある。
エンジュ S. japonicum(Sophora japonica;槐)
シダレエンジュ var. pendula(龍爪槐)
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マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
ヱニスは、槐子或は槐樹の呉音の転訛という。なお、槐(カイ,huái)の漢音はクワイ、呉音はヱ。 「和名ゑんじゅハ古名ゑにすノ轉化セシモノナリ、蓋シ此名ハ今云フ犬ゑんじゅノ本稱ナラント考フ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『本草和名』槐實に、「和名恵乃美」と。
『倭名類聚抄』槐に「和名恵爾須」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、槐は「ヱニス和名鈔 キフヂ古名 ヱンジユ エンジ コヱンジユ」と。 |
説 |
華北・黄土高原の原産かといい、中国では各地で栽培され、とくに華北ではごく普通に植えられている。
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誌 |
中国では、古くから 日かげを作るために 庭木・街路樹として植えた。材は堅いので建築に用い、花・蕾(槐花,カイカ,huáihuā・槐米)・果実(槐角,カイカク,huáijiăo)・樹皮を薬用にする。また花は食用にし、優良な蜂蜜を取る。実は石鹸の代用にし、油を取る。花から黄色の、樹皮から栗色の染料を採る。『中薬志』Ⅱpp.454-456・Ⅲpp.390-392 『(修訂) 中葯志』III/644-647,V/341-343 『全国中草葯匯編』上/864-865 |
『周礼』秋官・朝士に、朝廷に三本の槐を植え 三公の位としたという(「面三槐、三公位焉。州長衆庶、在其後。」)。これより、最高の官位を「槐位」、大臣の家系を「槐門」などと美称する。このように、エンジュは立身出世の象徴。 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)巻5に「種槐・柳・楸・梓・梧・柞」と。 |
日本の伝説では、神功皇后は宇美八幡宮(福岡県宇美町)の地で エンジュにとりすがって応神天皇を産んだと言う(『愚管抄』)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「槐 大ゑんじゆハ葉あらし。小ゑんじゆハ葉こまかに木(もく)めよくくろし。夏木、冬落葉」と。 |