はいのき (灰木)
学名 |
Symplocos myrtacea |
日本名 |
ハイノキ |
科名(日本名) |
ハイノキ科 |
日本語別名 |
イノコシバ |
漢名 |
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科名(漢名) |
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漢語別名 |
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英名 |
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2011/04/10 神代植物公園 |
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2009/10/29 同上 |
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辨 |
ハイノキ科 Symplocaceae(山礬 shānfán 科)には、1(-2)属 約250-300種がある。
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ハイノキ属 Symplocos(山礬 shānfán 屬)は、アジア・濠洲・南北米洲の熱帯・亜熱帯に分布し、次のようなものがある。
incl. Cordyloblaste
タリリクハイノキ S. acuminata(S.laurina,S.cochinchinensis var.laurina;
黃牛奶樹・苦山礬・花香木・散風木) 臺灣・福建・浙江・江蘇・兩廣・湖南・西南産
S. adenophylla(腺葉山礬) 福建・兩廣・雲南・東南アジア・インド産
S. anomala(薄葉山礬・盆若虎亮・山桂花・薄葉灰木) 臺灣・長江以南・チベット・ベトナム産
アリサンハイノキ S. arisanensis
ムニンクロキ S. boninensis 小笠原産
ヤエヤマクロバイ(アオバナハイノキ) S. caudata(S.sozanensis;山礬・山桂花・七里香)
『中国本草図録』Ⅶ/3291 琉球・臺灣・漢土・東南アジア・ヒマラヤ産
カラサワフタギ(タイワンサワフタギ) S. chinensis (華山礬・土常山・猪婆柴・江黃仔)
臺灣・福建・浙江・安徽・江西・湖南・兩廣・西南産
『雲南の植物Ⅱ』203・『中国本草図録』Ⅹ/4789
『全國中草藥匯編 上』pp.377-378 『下』p.27
アオバノキ S. cochinchinensis (S.lithocarpoides;越南山礬・火灰樹・大葉灰木)
琉球・臺灣・福建・兩廣・雲南・東南アジア・チベット・インド産
コウトウハイノキ var. philippinensis(蘭嶼山礬) 臺灣・フィリピン・ジャワ産
S. confusa (南嶺山礬) 臺灣・浙江・福建・江西・湖南・兩廣・西南・ベトナム産
オオバハイノキ S. congesta(S.glomerata var.congesta;密花山礬)
臺灣・福建・江西・湖南・兩廣・雲南産
タンナサワフタギ S. coreana(S.argutidens) 本州関東以西・四国・九州・済州島に産
バイカハイノキ S. decora(S.koidzumiana;美山礬)
ワタメフタギ S. eriostroma
S. fasciculata 東南アジア産。ジャワ更紗 batik を染めるのに用いる。
アマシバ S. formosana(S.microcalyx, S.lancifolia var.taiheizanensis)
琉球・臺灣・漢土産
S. glandulifera(腺緣山礬・腺灰木) 廣西・雲南産 『雲南の植物Ⅲ』224
ミミズバイ S. glauca(S.neriifolia;羊舌樹・粉葉山礬)
本州(千葉以西)・四国・九州・琉球・臺灣・福建・浙江・兩廣・雲南・インドシナ産
オオバミミズバイ S. grandis(大葉山礬・大山礬) 廣西・雲南産
ヘイシャナハイノキ S. heishanensis(S.divaricativena)
ウチダシクロキ(オガサワラクロキ) S. kawakamii 小笠原産
コニシハイノキ S. konishii(臺東山礬) 琉球・臺灣産
コウシュンハイノキ S. koshunensis
クロキ S. kuroki(S.japonica;日本山礬)
シロバイ S. lancifolia (光葉山礬・劔葉灰木・披針葉山礬)
本州近畿以西・四国・九州・臺灣・福建・浙江・江西・兩湖・兩廣・西南・アッサム産
アオバナハイノキ S. liukiuensis(S.obana) 琉球産
イリオモテハイノキ var. iriomotensis 琉球産
S. lucida(S.henryi, S.multipes, S.phyllocalyx, S.setchuensis;
光亮山礬・枝穗山礬・葉萼山礬・四川山礬)
臺灣・華東・兩湖・兩廣・陝西・西北・チベット・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅶ/3293
タイワンクロキ S. migoi
ヤマシマハイノキ S. modesta(長梗山礬) 臺灣産
ニイタカハイノキ S. morrisonicola(S.anomala var.morrisonicola;臺灣山礬)
ハイノキ(イノコシバ) S. mytracea 本州(近畿以西)・四国・九州・屋久島産
オモゴハイノキ f. pubescens
ヒロハハイノキ var. latifolia
ナカハラクロキ(リュウキュウクロキ) S. nakaharae(S.japonica var.nakaharae,
S.lucida var.nakaharae) 琉球産
ノウコウハイノキ S. nokoensis(能高山礬) 臺灣産
S. odoratissima ジャワ島で薬用
リュウキュウハイノキ S. okinawensis 沖縄島産
クロミノニシゴリ(シロサワフタギ・ニシゴリ) S. paniculata(S.paniculata var.glabra,
S.sinica;日本白檀・白檀・碎米子樹・烏子樹)
本州(東海・近畿)・朝鮮・華北・東北・兩湖・兩廣・西南・ヒマラヤ産
『中国本草図録』Ⅶ/3292・Ⅷ/3733
S. pendula(var.hirtistylis, S.confusa, S.punctulata, Cordyloblaste confusa;
南嶺山礬・吊鐘山礬)臺灣・福建・浙江・江西・湖南・兩廣・雲貴・ベトナム産
チチジマクロキ S. pergracilis 小笠原産
クロバイ(トチシバ・ソメシバ・ハイノキ) S. prunifolia(黑山山礬)
本州(関東以西)・四国・九州・琉球・朝鮮南部・臺灣・浙江・江西・湖南・兩廣・雲南産
マルバクロバイ f. uii
ナガバクロバイ var. tawadae 琉球産
S. pseudobarberina(鐵山礬・白檀木・白花木・刀灰樹) 福建・湖南・兩廣・雲南産
S. racemosa(珠仔樹・烏口樹・山麻栗) 兩廣・西南産 『雲南の植物Ⅲ』224・『中国本草図録』Ⅷ/3734
S. ramosissima(多花山礬) 『週刊朝日百科 植物の世界』6-36
兩湖・兩廣・西南・ビルマ・インドシナ・ヒマラヤに分布。
コバノシロバイ S. sasakii
サワフタギ S. sawafutagi(S.chinensis subsp.pilosa,
S.chinensis var.leucocarpa f.pilosa;瑠璃白檀・琉璃山礬)
シロミノサワフタギ var. leucocarpa
オクノサワフタギ var. terrae-nivosae
モチバハイノキ S. setchuensis(四川山礬)
臺灣~四川産 『中国本草図録』Ⅶ/3293 一説に S.lucida のシノニム
ヒイランハイノキ S. shilanensis
ミヤマシロバイ(ルスン) S. sonoharae(S.pendula var.hirtistylis;南嶺山礬)
琉球・臺灣・漢土産
ヤンバルミミズバイ S. stellaris (S.glauca var.tashiroi,S.tashiroi;
老鼠矢・老鼠刺・毛灰樹・羊舌樹) 琉球・臺灣・中国長江以南各地に産
S. sumuntia(S.botryantha, S.subconnata, S.urceolaris;山礬・總状山礬・銀色山礬)
臺灣・浙江・江蘇・福建・江西・兩湖・兩廣・西南・インドシナ・マレー・ヒマラヤ産
『雲南の植物Ⅲ』224
ヒロハノミミズバイ(オニクロキ) S. tanakae 徳島・高知・屋久島・種子島・吐噶喇列島産
クロミノサワフタギ S. tanakana(S.paniculata var.pubescens;白檀)
カンザブロウノキ S. theophrastifolia 本州静岡以西・四国・九州・臺灣・中国産
アマハノキ S. tinctoria 米国東南部産、染料植物
ケハイノキ S. trichoclada
ガンピバハイノキ S. wikstroemiifolia(微毛山礬・月橘葉灰木)
臺灣・福建・浙江・兩廣・湖南・雲貴産
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訓 |
「和名灰の木ハ灰汁ヲ得ル爲メ枝葉ヲ燒キ灰ヲ製スルヨリ云ヒ、黑灰ハ樹皮ニ基キシ名、染め柴ハ此葉乾ケバ黃色ト成リ其黃汁ニテ菓子等ヲ染ムル故云フ、とちしばハ予其意ヲ解シ得ズ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)32に、山礬は「トチシバ筑前 ソメシバ オコシゴメシバ ハイノキ共同上 ヤマキ豊前 シマクロギ日州 クロバイ紀州 アクシバ ハナモチ城州宇治 ハナシキミ同上修学院村」と。 |
漢名 山礬(サンハン,shanfan)は、灰から明礬を得ることから。 |
説 |
本州(近畿以西)・四国・九州(屋久島以北)に分布。 |
ハイノキ属の多くの植物はアルミニウム aluminium を蓄積するので、その化合物であるミョウバン(明礬;E.alum)が得られる。ことに燃して得る灰は 染色・媒染に適する。 |
誌 |
日本で灰汁を染色に用いるものは、主としてクロバイ。 |
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