あせび (馬酔木) 

学名  Pieris japonica
日本名  アセビ
科名(日本名)  ツツジ科
  日本語別名  アシビ・アセボ・アセブ、ヨシシバ・ヨバナ、ウマクワズ・シカクワズ・シシクワズ
漢名  日本馬醉木(ニホンバスイボク,ribenmazuimu)
科名(漢名)  杜鵑花(トケンカ,dujuanhua)科
  漢語別名  
英名  Japanese andromeda
2005/04/05 学内
2007/06/06 京都府立植物園
2004/08/03  殿ヶ谷戸庭園
2005/12/20 学内


アケボノアセビ Pieris japonica f. rosea
     
  2006/02/22 新座市大和田
 アセビ属 Pieris(馬醉木屬・木屬)には、東アジア・ヒマラヤと 北アメリカ東部・キューバに約6種がある。
   P. compacta(小葉馬醉木)
   タイワンネジキ P. formosa(美麗馬醉木・興山馬醉木・珍珠花)
 『雲南の植物Ⅱ』191・『原色高山植物大図鑑』273
   アセビ P. japonica(日本馬醉木)
     ヤクシマアセビ var. yakushimensis
   リュウキュウアセビ P. koidzumiana
   P. polita(馬醉木梫木)
   P. swinhoei(長萼馬醉木)
   P. taiwanensis(臺灣馬醉木) 
 ツツジ科 Ericaceae(杜鵑花科)については、ツツジ科を見よ。
 和名は 足痺れの転訛、牛馬がこの葉を食うと酔ったように足がふらふらになることから。馬酔木の表記も奈良時代以前からある(下の『万葉集』を見よ)
 地方に残る別名は数多い。有毒植物であることから、どくしば・うまよいぎ・うしころしなど、またははくわず・しかくわず・うまくわず・ししくわずなど。また害虫駆除に用いたので はもり(野菜の葉の守り)・うしあらい・うしのしらみとり・うじばらいなどの名がある。花がさく季節からは、ひがんぎ(彼岸木)・ひがんきょ・ひがんのき。花の形からは、ちょうちんばな・すずらん・すずこばな、むぎめしばな・むぎめし・むぎばな・むぎめしのき、よねしば・よなしば・よなば・えなば・こめしば・こめのき・いねのきなど。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)32に、梫木は「アシミ
万葉集 アセボ古今通名 馬酔木共同上 アセミ古歌仙台 イハモチ同上薩州 アセビ枕草子土州 アセモ江戸 アセブ播州豊前 ヱセビ勢州 ヨシミ筑前 ヨシミシバ同上 ヨネバ豊後 アシブ雲州 ヒサゝキ大和本草 ドクシバ豫州 カスクイ備前 ヲナザカモリ丹後 ヲナダカモリ同上 テヤキシバ長州 アセボシバ越前 ヨセブ豊前 ゴマヤキシバ藝州 シヤリシヤリ城州上加茂」と。 
 日本の暖温帯、山形・宮城以南の本州・四国・九州に自生する。
 一説に日本の特産種、一説に中国の安徽省黄山から福建省の深山にも分布するという。
 有毒植物。茎葉の煎じ汁を殺虫剤として用いる。
 『万葉集』に、

     三諸は 人の守
(も)る山 本邊(もとべ)は 馬酔木花開き 末邊は 椿花開く
     うらぐはし山そ 泣く児守る山
 (13/3222,読人知らず)
   磯のうへに 生ふる馬酔木を 手折らめど 視すべき君の 在りと言はなくに
       
(2/166,大来皇女)
   かはづ鳴く 吉野の河の 瀧の上の 馬酔木の花ぞ 末
(はし)に置くなゆめ
       
(10/1868,読人知らず)
   吾がせ子に 吾が恋ふらくは 奥山の
     馬酔木の花の 今盛りなり
(10/1903,読人知らず)
   あしび成す 栄えし君が ほりし井の 石井(いわい)の水は 飲めど飽かぬかも
       
(7/1128,読人知らず)
     ・・・山もせ
(狭)に 咲ける馬酔木の
      にくからぬ 君を何時しか 往きて早見む 
(8/1428,読人知らず)
   春山の 馬酔花
(あしびのはな)の 悪(にく)からず
     きみ
(君)にはしゑや よ(寄)さゆとも好し (10/1926,読人知らず)

    山斎を嘱目して作る歌三首
   をし
(鴛鴦)のす(住)む きみ(君)がこのしま(庭園) けふ(今日)(見)れば
     あしびのはな
(花)も さ(咲)きにけるかも (20/4511,御方王)
   いけみづ
(池水)に かげ(影)さへみ(見)えて さ(咲)きにほふ
     あしびのはな
(花)を そて(袖)にこき(扱入)れな (20/4512,大伴家持)
   いそかげ
(磯影)の み(見)ゆるいけみづ(池水) て(照)るまでに
     さ
(咲)けるあしびの ち(散)らまくを(惜)しも (20/4513,甘南備伊香真人)
 
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「馬酔木(あせほ) 木春末。葉ハしきミのちさきやうにて花ハ青白ク黄色の様にてふぢのごとくニさがりて見事成物。馬此葉ヲ食スレハかならず死(しす)ゆへに馬酔木といふ。和歌に
   とりつなけ玉田の横野はなれ駒 つゝしあせほの花やさくらん」と。
 (ダイコンに虫がついたとき)「西国にてよしみ柴とも小林とも云ひ、三月白き花さく柴あり。上方にてはあせぼの木と云ふなり。此柴の葉をせんじてうつべし。又此柴をせんじ、牛馬などに虱のつきたるを洗ひても極めて妙なり。又人の手にじやくろと云ふ瘡(かさ)を生ず。此柴を煎じあらへば、虫死していゆるものなり。」(宮崎安貞『農業全書』1697)
 江戸時代から、フクリンアセビ f. elegantissima、チリメンアセビ f. erispa、アケボノアセビ f. rosea、ホナガアセビ f. monostachya、ヒメアセビ f. pygmaea などが栽培されていた。
 ヨーロッパには、ツンベルグ『日本植物誌』
(1784)でシシクワズ Andromeda japonica として紹介された(英名は、この時の学名による)。実物は、広東・マカオで活動したウィリアム・カー(?-1814)が1806ころロンドンに送ったのが最初。
 最近、日本や欧米で新しい園芸品種が作り出されている。
 
  のぼり来
(こ)し比叡の山の雲にぬれて馬酔木(あしび)の花は咲きさかりけり
     
(1933比叡山,斎藤茂吉『白桃』)
 

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