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『万葉集』中、コケをよむ歌 
 

→コケ


長歌

 ・・・ かんなびの 三諸(みもろ)の神の 帯にせる 明日香(あすか)の河の
 水尾
(みを)速み 生ひため難き 石枕 蘿(こけ)(む)すまでに ・・・
   反歌
 神名備の 三諸の山に いつく杉 思ひ過ぎめや 蘿生すまでに
    
(13/3228,読人知らず。蘿はここではサルオガセ)
 


短歌

苔(こけ)
 敷細布
(しきたへ)の 枕に人は 事問ふや 其の枕には 苔生(む)しにけり (11/2516,読人知らず)

薜(こけ)
 何時の間も 神さびけるか 香山
(かぐやま)
    鉾榲
(ほこすぎ)が本に 薜生すまでに (3/259,鴨君足人)

蘿(こけ)
 み芳野の 青根が峰の 蘿席
(こけむしろ) 誰か織りけむ 経緯(たてぬき)無しに
    
(7/1120,読み人知らず)

 奥山の 磐に蘿むし 恐
(かしこ)くも 問ひ賜ふかも念ひあへなくに
    
(6/962,葛井広成。苔むす岩を霊力あるものとして畏怖したものという)
 奥山の 石
(いわ)に蘿むし 恐けど 思ふ情(こころ)を 如何にかもせむ (7/1334,読人知らず)
 安太
(あだ)へゆく 小為手(をすて)の山の 真木の葉も 久しく見ねば 蘿(こけ)むしにけり
    
(7/1214,読み人知らず。真木は杉・檜などの常緑樹)
 妹が名は 千代に流れむ 姫嶋の 子松が末
(うれ)に 蘿生すまでに (2/228,河辺宮人。挽歌)
 結へる紐 解かむ日遠み 敷細
(しきたへ)の 吾が木枕は 蘿生しにけり (11/2630,読人知らず)
 吾妹子に あはなく久し うましもの 阿部橘の 蘿生すまでに
(11/2750,読人知らず)
 



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