葛覃(かつたん)
作品名 |
葛覃 |
収載書名 |
『詩経』「国風・周南」 |
訳者名 |
白川静 |
訳書名 |
『詩経国風』(『東洋文庫』518) |
刊行年代 |
1990 |
その他 |
里帰りの歌。 |
葛之覃兮
施于中谷
維葉萋萋
黄鳥于飛
集于灌木
其鳴喈喈
葛之覃兮
施于中谷
維葉莫莫
是刈是濩
為絺為綌
服之無斁
言告師氏
言告言帰
薄汙我私
薄澣我衣
害澣害否
帰寧父母
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葛の覃(の)びて
中谷に施(いた)る
維(これ)葉萋萋(せいせい)たり
黄鳥于(ここ)に飛び
灌木(くわんぼく)に集まり
其の鳴くこと喈喈(かいかい)たり
葛の覃びて
中谷に施る
維葉莫莫たり
是(ここ)に刈り是に濩(に)て
絺(ち)と為し綌(げき)と為し
之を服して斁(いと)ふ無し
言(ここ)に師氏に告げ
言に告げ言に帰る
薄(いささ)か我が私を汙(あら)ひ
薄か我が衣を澣(あら)ふ
害(いづ)れをか澣ひ害れをか否(しか)せざらん
父母に帰寧せん
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葛延びて
谷に及べり
青き葉内(はうち)に
鶯飛び
木むらに集い
鳴き交はすなり
葛延びて
谷に及べり
茂る葉蔭
刈りて蒸しこめ
細き布太き布とり
あかずまとへり
師の君に告げ
里帰りせむ
はだ着も洗ひたり
衣もそそぎたり
すべて洗ひ清め
たらちねのもとにゆかむ
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