じおう (地黄) 

学名  Rehmannia glutinosa (R.chinensis, R.glutinosa var.purpurea)
日本名  ジオウ 
科名(日本名)  ハマウツボ科 
  日本語別名  アカヤジオウ(赤矢地黄)、サオヒメ
漢名  地黃(チコウ,dìhuáng,じおう)
科名(漢名)  列當(レツトウ,lièdāng)科
  漢語別名  (コ,hù)、地髓(チズイ,dìsuĭ)、野地黃、酒壺花、山菸根、婆婆丁、米罐棵、蜜糖管
英名  Sticky rehmannia
アカヤジオウ   2008/05/04 薬用植物園

 次のような種内分類群を区別することがある。

    ジオウ(アカヤジオウ) var. glutinosa(var. purpurea)
         
株の高10-30cm、花の色は紅紫色
    カイケイジオウ f. hueichingensis(懷慶地黃)
         株の高25-40cm、花の色は紅紫色、根茎が大きく 肉質が厚い
    シロヤジオウ f. lutea(var.lutea)
         
株の高15-18cm、花の色は黄白色
    f. purpurea(筧橋地黃)
         
花の色は淡紫色、浙江省杭州筧橋(ケンキョウ,jiănqiáo)などで栽培

 ただし、『植物智』は種内分類群を載せない。 
 ジオウ属 Rehmannia(地黃 dìhuáng 屬)には、日本・中国に6-7種がある。

  R. chingii (天目地黃) 安徽・江西・浙江産 『中国本草図録』Ⅶ/3331
  R. chrysantha(黃花地黃)
内蒙古産
  セイタカセンリゴマ R. elata(高地黃)
 湖北産、一説にR.piasezkiiのシノニム
  ジオウ R. glutinosa(R.chinensis;地黃)
      『中国雑草原色図鑑』208・『週刊朝日百科 植物の世界』2-85
  R. henryi (湖北地黃)
湖北産
  センリゴマ
(ハナジオウ) R. japonica(R.glutinosa var.makinoi)
  R. piasezkii (R.angulata;裂葉地黃)
陝西・湖北産
  R. solanifolia (茄葉地黃)
四川産
   
 ハマウツボ科 Orobanchaceae(列當 lièdāng 科)については、ハマウツボ科を見よ。
 『爾雅』『説文解字』に、(コ,hù)は地黃なり、と。『爾雅』郭璞註に、地髓(チズイ dìsuĭ)なり、江東はと呼ぶ、と。
 李時珍『本草綱目』に、は下に沈むものを以て貴しと為す、故に字は下に従う、と。 
 『延喜式』生地黄に、「サホヒメ、サホヒメクサ」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「地黄 サヲヒメ
延喜式 今ハ通名」と。
 華北・遼寧・内蒙古・陝甘・山東・江蘇・湖北に分布。
 華北では「道端や、崩れかかった城壁に群って咲く光景は春の点景である」
(中尾佐助「大陸の花の思い出」)
 中国各地・日本などで 薬用に栽培する。
 日本には江戸時代に入り、今日も奈良県などで栽培する。
 中国では、次のものの根茎を地黃と呼び薬用にする(○印は正品)。『中藥志 I』pp.197-200 『全國中草藥匯編 上』pp.341-343

   アカヤジオウ Rehmannia glutinosa(地黃・野地黃)
  〇カイケイジオウ R.glutinosa f. hueichingensis(懷慶地黃)
   R. glutinosa f. purpurea(筧橋地黃)

 製法により鮮地黃・生地黃・熟地黃などを区別し、用法が異なる。   
 日本では、生薬ジオウは アカヤジオウ Rehmannia glutinosa var. purpurea 又は Rehmannia glutinosa の根(乾ジオウ)又はそれを蒸したもの(熟ジオウ)である(第十八改正日本薬局方)。
 賈思勰『斉民要術』(530-550)巻5に「種地黄法」が載る。
 ○ 遼・作者不詳「竹雀双兎図」軸 (遼寧省葉茂台第7号遼墓(959-986)出土、瀋陽/遼寧省博物館蔵) 

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