辨 |
次のような種内分類群を区別することがある。
ジオウ(アカヤジオウ) var. glutinosa(var. purpurea)
株の高10-30cm、花の色は紅紫色
カイケイジオウ f. hueichingensis(懷慶地黃)
株の高25-40cm、花の色は紅紫色、根茎が大きく 肉質が厚い
シロヤジオウ f. lutea(var.lutea)
株の高15-18cm、花の色は黄白色
f. purpurea(筧橋地黃)
花の色は淡紫色、浙江省杭州筧橋(ケンキョウ,jiănqiáo)などで栽培
ただし、『植物智』は種内分類群を載せない。 |
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ジオウ属 Rehmannia(地黃 dìhuáng 屬)には、日本・中国に6-7種がある。
R. chingii (天目地黃) 安徽・江西・浙江産 『中国本草図録』Ⅶ/3331
R. chrysantha(黃花地黃) 内蒙古産
セイタカセンリゴマ R. elata(高地黃) 湖北産、一説にR.piasezkiiのシノニム
ジオウ R. glutinosa(R.chinensis;地黃)
『中国雑草原色図鑑』208・『週刊朝日百科 植物の世界』2-85
R. henryi (湖北地黃) 湖北産
センリゴマ(ハナジオウ) R. japonica(R.glutinosa var.makinoi)
R. piasezkii (R.angulata;裂葉地黃) 陝西・湖北産
R. solanifolia (茄葉地黃) 四川産
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ハマウツボ科 Orobanchaceae(列當 lièdāng 科)については、ハマウツボ科を見よ。 |
訓 |
『爾雅』・『説文解字』に、芐(コ,hù)は地黃なり、と。『爾雅』郭璞註に、地髓(チズイ dìsuĭ)なり、江東は芐と呼ぶ、と。
李時珍『本草綱目』に、芐は下に沈むものを以て貴しと為す、故に字は下に従う、と。 |
『延喜式』生地黄に、「サホヒメ、サホヒメクサ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「地黄 サヲヒメ延喜式 今ハ通名」と。 |
説 |
華北・遼寧・内蒙古・陝甘・山東・江蘇・湖北に分布。
華北では「道端や、崩れかかった城壁に群って咲く光景は春の点景である」(中尾佐助「大陸の花の思い出」)。 |
中国各地・日本などで 薬用に栽培する。
日本には江戸時代に入り、今日も奈良県などで栽培する。 |
誌 |
中国では、次のものの根茎を地黃と呼び薬用にする(○印は正品)。『中藥志 I』pp.197-200 『全國中草藥匯編 上』pp.341-343
アカヤジオウ Rehmannia glutinosa(地黃・野地黃)
〇カイケイジオウ R.glutinosa f. hueichingensis(懷慶地黃)
R. glutinosa f. purpurea(筧橋地黃)
製法により鮮地黃・生地黃・熟地黃などを区別し、用法が異なる。
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日本では、生薬ジオウは アカヤジオウ Rehmannia glutinosa var. purpurea 又は Rehmannia glutinosa
の根(乾ジオウ)又はそれを蒸したもの(熟ジオウ)である(第十八改正日本薬局方)。 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)巻5に「種地黄法」が載る。 |
○ 遼・作者不詳「竹雀双兎図」軸 (遼寧省葉茂台第7号遼墓(959-986)出土、瀋陽/遼寧省博物館蔵) |