辨 |
セリ属 Oenanthe(水芹 shuĭqín 屬)には、25-40種がある。
O. benghalensis (少花水芹・水芹菜・短輻水芹)
『中国本草図録』Ⅷ/3712・『中国雑草原色図鑑』151 『全国中草葯匯編』下/129
臺灣・江西・兩廣・四川・貴州・雲南・アッサム・バングラデシュ産
O. dielsii (西南水芹) 陝西・浙江・江西・廣西・四川・貴州・雲南産
var. stenophylla (細葉水芹・野芹菜) 江西・湖北・四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅶ/3253
O. javanica
セリ subsp. javanica(var.japonica, O.stolonifera;水芹)『中国雑草原色図鑑』149
subsp. rosthornii(卵葉水芹) 湖南・兩廣・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3254
O. linearis
イトバゼリ subsp. linearis(O.javanica subsp.linearis, O.sinensis;
綫葉水芹・中華水芹)
奄美・臺灣・華東・湖南・四川・貴州・雲南・アッサム・ヒマラヤ・インドシナ産
subsp. rivularis(O.rivularis;蒙自水芹・野水芹・溪岸水芹) 貴州・雲南産
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セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。 |
訓 |
和名の語源については『日本国語大辞典 第二版』を参照。 |
『本草和名』水斳に、「和名世利」と。
『倭名類聚抄』芹に、「和名世里」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』水■{艸冠に斳}に、「ツミマシグサ古歌 ネジログサ同上 ネゼリ セリ」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・漢土(西北以外の全土)・モンゴリア・極東ロシア・ザバイカル・インドシナ・ヒマラヤ・マレシア・ニューギニアに分布。
田の畦や湿地に生じる。近年は、水田で栽培することがある。 |
誌 |
中国では、蔬菜として食用にするほか、根・全草を薬用にする。『全国中草葯匯編』下/129
極めて古くから栽培していたものたとされる。賈思勰『齊民要術』(530-550)には「種蘘荷芹■{草冠に豦}」が載る。 |
日本では、春の七草の一。嫩葉のあくを抜き、蔬菜として食う。また根を賞味する。 |
『万葉集』に、
あかねさすひる(昼)はた(田)た(賜)びてぬばたまの
よる(夜)のいとま(暇)につ(摘)める芹子(せり)これ
ますらを(丈夫)とおも(思)へるものをたち(刀)は(佩)きて
かにはのたゐ(田居)にせり(芹)ぞつみける
(20/4455,4456;727年葛城王と薩妙観命婦の贈答歌)
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西行(1118-1190)『山家集』に、
こぜりつ(摘)む さは(沢)のこおり(氷)の ひま(隙)たえて
春めきそ(初)むる さくらゐ(桜井)のさと
なにとなく せりときくこそ あはれなれ 摘みけん人の 心しられて
(俊秘抄下参照。)
かつすゝ(濯)ぐ 澤のこぜりの 根をしろみ きよげに物を おも(思)はずもがな
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我ためか鶴は(食)みのこす芹の飯 (芭蕉,1644-1694)
芹焼(せりやき)やすそわの田井の初氷 (同)
うすらひやわつかに咲る芹の花 (其角,『猿蓑』1691)
我事と鯲(どじょう)のにけし根芹哉 (丈艸,『猿蓑』1691)
これきりに径(こみち)尽(つき)たり芹の中 (蕪村,1716-1783)
古寺やほうろく捨(すつ)るせりの中 (同)
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