辨 |
ノキシノブ属 Lepisorus(瓦韋 wăwéi 屬)には、50種餘がある。
incl. Belvisia, Drymotaenium
ナガオノキシノブ L. angustus(L.thunbergianus var.angustus;狹葉瓦韋)
ホテイシダ L. annuifrons
ホソバクリハラン L. boninensis
トヨグチウラボシ L. clathratus(L.papakensis;網眼瓦韋)
L. eilophyllus(高山瓦韋)
ハチシセュウウラボシ L. hachijoensis
オオノキシノブ L. kawakamii
L. macrosphaerus(大瓦韋・黃瓦韋)
ナガエオオノキシノブ L. megasorus
ミカワノキシノブ L. mikawanua
クラガリシダ L. miyoshianus
チヂミノキシノブ L. monilisorus
ササキウラボシ L. morrisonensis(白邊瓦韋)
キリガタシダ L. mucronatus
オオホテイシダ L. obscurevenulosus(粤瓦韋・劔丹)
ウロコノキシノブ L. oligolepidus(多鱗瓦韋・鱗瓦韋)
ヒメノキシノブ L. onoei(綫瓦韋)
タカサゴミヤマノキシノブ L. pseudoussuriensis(擬烏蘇里瓦韋)
ヒロハノキシノブ L. suboligolepidus(擬鱗瓦韋)
ノキシノブ L. thunbergianus(瓦韋)
ツクシノキシノブ(オナガウラボシ) L. tosaensis闊葉瓦韋・(擬瓦韋)
コウラボシ L. uchiyamae
L. ussuriensis
ウスリーノキシノブ var. ussuriensis(烏蘇里瓦韋・金星草)
ミヤマノキシノブ var. distans
L. waltonii(戟葉瓦韋)
イシガキウラボシ L. yamaokae
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ウラボシ科 Polypodiaceae(水龍骨 shuĭlónggŭ 科)については、ウラボシ科を見よ。 |
シダ植物については、しだを見よ。 |
訓 |
和名は、シノブ(忍ぶ)というのは 樹上・岩上など土のないところに生えることから、ノキというのは 藁葺屋根の軒によく見られたことから。 |
『本草和名』垣衣に、「和名之乃布久佐、一命古介」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』石韋の条に、「ノキシノブ・・・マツフウラン讃州 カラスノワスレグサ加州 ワスレグサ同上 ヒトツバ越前 ヤツメグサ」と。 |
漢名の韋は、なめし皮。 |
説 |
北海道(南部)・本州・四国・九州・琉球・朝鮮(南部)・臺灣・華東・兩湖・甘肅・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・インドシナ・フィリピンに分布。 |
誌 |
中国では、ノキシノブなど同属の幾つかの植物の全草を瓦葦(ガイ,wăwéi)と呼び、薬用にする(〇印は正品)。 『全国中草葯匯編』下/114
L. macrosphaerus(大瓦韋・黃瓦韋)
オオホテイシダ L. obscurevenulosus(粤瓦韋・劔丹)
〇ノキシノブ L. thunbergianus(瓦韋)
ウスリーノキシノブ L. ussuriensis(烏蘇里瓦韋・金星草)
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日本の古典文学に現れる「しのぶ草」「わすれ草」「ことなし草」については、シノブの誌を見よ。
『万葉集』に、
我が屋戸の甍(のきの,いらかの,もえる)しだ草生ひたれど恋忘れ草見れど生ひなく
(11/2475,読人知らず)
と詠われる「しだ草」は、具体的にはノキシノブであろう、という。
王朝時代以来の文学に現れる「しのぶぐさ」は、一説にノキシノブであるとする。
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