辨 |
カノコソウ属 Valeriana(纈草 xiécăo 屬)には、世界に約200-400種がある。
コウアンカノコソウ V. alternifolia
ケカノコソウ V. amurensis(黑水纈草)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅵ/2858
ナガバカノコソウ V. dageletiana
カノコソウ(ハルオミナエシ) V. fauriei(蜘蛛七・珍珠七・地花椒)
シロバナカノコソウ f. albiflora
マンセンカノコソウ var. dasycarpa
ツルカノコソウ V. flaccidissima(柔垂纈草・岩邊香・蔓甘松)
V. hardwickei(巖邊香・豆豉草) 四川・雲南産 『全国中草葯匯編』下/289
V. jatamansi(V.wallichii;蜘蛛香・心葉纈草・馬蹄香・土細辛)
河南・陝西・両湖・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・インドシナ産
『中国本草図録』Ⅳ/1872 『全国中草葯匯編』上/906-907
ミヤマカノコソウ V. kawakamii(高山纈草)
セイヨウカノコソウ V. officinalis(纈草・歐纈草・穿心排草;E.Valerian)
歐洲・カフカス・西アジア産 『中国本草図録』Ⅳ/1873
var. latifolia(寛葉纈草)
なお、中国では、Valeriana alternifolia, V. fauriei などを V. officinalis のシノニムとする。 |
スイカズラ科 Caprifoliaceae(忍冬 rĕndōng 科)については、スイカズラ科を見よ。 |
訓 |
和名カノコソウは、花序に紅白混じりあい、鹿子絞(かのこしぼり)に似て見えることから。それを漢字で纈草(けつそう)と書いた。
したがって、漢名で同属植物を纈草(ケツソウ,xiécăo)と呼ぶのは、和名の導入と言う。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』12(1806)に、「春ノヲミナメシ 一名カノコサウ キヌマキ サクラガハグサ」と。 |
属名 Valeriana は、ローマ皇帝ウァレリアーヌス(253-260)に捧げられたもの。 |
説 |
Valeriana fauriei は、北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシアに分布。
Valeriana officinalis は、西アジア~ヨーロッパに分布。 |
誌 |
中国では、Valeriana officinalis(纈草)などの根茎・全草を薬用にする。
ケカノコソウ V. amurensis(黑水纈草)
セイヨウカノコソウ V. officinalis(纈草)カノコソウ・コウアンカノコソウを含む
日本では、生薬カノコソウは カノコソウの根及び根茎である(第十八改正日本薬局方)。 |
ヨーロッパでは、セイヨウカノコソウの根(ワレリアナ根 Valeriana rhizoma)を、昔から薬草として、鎮静薬などさまざまに用いる。イギリスでは魔除の草とされたという。 |