はこべ
学名 |
Stellaria media |
日本名 |
ハコベ |
科名(日本名) |
ナデシコ科 |
日本語別名 |
コハコベ、ハコベラ、ホコベ、ホバコ、アサシラゲ、ヒヨコグサ、ピヨピヨグサ、スズメグサ、ヒズリ、ヘズリ、ウサギグサ、オオウサギグサ、オシエグサ、ミキクサ |
漢名 |
繁縷・蘩蔞(ハンル,fánlǚ) |
科名(漢名) |
石竹(セキチク,shízhú)科 |
漢語別名 |
蔜(ゴウ,áo)、蔝(ベイ,mĭ)、■{草冠に[女偏に(容の口に又を代入)]}●{草冠に縷}(ソウル, saolü)、鵞腸(ガチョウ,echang)、鷄腸草 |
英名 |
Chickweed |
2006/02/19 小平市 |
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2007/03/26 三好町竹間沢 |
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2006/04/28 新座市中野 |
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辨 |
ハコベ(コハコベ)とミドリハコベ、ウシハコベの見分け方。
茎: ハコベは帶紫褐色、ミドリハコベは緑色、ウシハコベは節が帯暗紫色。
花瓣:ハコベ・ミドリハコベは萼より短い、ウシハコベは萼と同長。
花柱:ハコベ・ミドリハコベは3個、ウシハコベは5個。
雄蕊:ハコベは(1-)2-5(-8)個、ミドリハコベは4-10個、ウシハコベは10個。
葯: ハコベは黄色、ミドリハコベは暗紫褐色、ウシハコベは橙赤色。
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ハコベ属 Stellaria(繁縷 fánlǚ 屬)の植物には、北半球の温帯を中心に 世界に約120-200種がある。
ウシハコベ S. aquatica(Cerastium aquaticum, Mysoton aquaticum,
Malachium aquaticum;牛繁縷・鵝兒腸・鵝腸草)
アリサンハコベ S.arisanensis(S.diversiflora var.leptophylla;阿里山繁縷)臺灣産
S. bungeana
var. bungeana 歐洲産
オオハコベ(エゾノミヤマハコベ) var. stubendorfii(S.nemorum var.stubendorfii;
林繁縷) 日本・朝鮮・吉林産 『中国本草図録』Ⅳ/1613
カンチヤチハコベ S. calycantha(S.yesoalpina, Arenaria calycantha)
北海道・本州中部及び極東ロシア・北米西北部に産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
アオツメクサ S. cherleriae(東北繁縷・興安繁縷) 河北・モンゴリア・シベリア産
S. chinensis (中國繁縷) 河北・陝甘・華東・兩湖・廣西・四川産 『中国雑草原色図鑑』58
フタマタハコベ S. dichotoma (叉岐繁縷)
河北・西北・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・シベリア・極東ロシア産
『中国本草図録』Ⅸ/4098
フタマタハコベ f. lanceolata
(狹葉叉岐繁縷・銀柴胡・牛肚根・沙參兒・白根子・土參)
遼寧・陝甘・寧夏産 『中国本草図録』Ⅱ/0550
『中薬志Ⅰ』pp.504-510 『全国中草葯匯編』上/803
マンシュウフスマ S. discolor (異色繁縷・翻白繁縷)
河北・内蒙古・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産
S. diversiflora
サワハコベ(ツルハコベ) var. diversiflora(var.diandra) 本州・四国・九州産
オオサワハコベ f. robusta 北陸産
ナガバノサワハコベ var. angustifolia 四国・大分産
ヤクシマハコベ var. yakumonyana 九州産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
シラオイハコベ(エゾフスマ) S. fenzlii(S.yezoensis, S.sachalinensis)
北海道・東北・群馬・山梨・長野・静岡・極東ロシア産
ケナシシラオイハコベ f. glaberrima
イトハコベ S. filicaulis(S.neopalustris, S.jaluana;細葉繁縷)
本州(関東以北)・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・内蒙古産
カラフトホソバハコベ S. graminea(禾葉繁縷) 歐亞温帯・亜寒帯産
S. gypsophiloides (銀柴胡) 『全国中草葯匯編』上/802-804
ツカモトハコベ S. hibinoi
アワユキハコベ S. holostea 歐洲原産
エゾハコベ S. humifusa(Alsine humifusa) 北海道から、北半球の亜寒帯に産
絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
S. infracta (内曲繁縷)
ナガバツメクサ S. longifolia(S.diffusa, S.longifolia var.legitima;長葉繁縷)
北海道・本州(東北)・河北・陝西・遼寧・吉林・黑龍江・ら北半球の亜寒帯に産
ハコベ(コハコベ) S. media (繁縷・鵝腸草)
『中国雑草原色図鑑』57・『日本帰化植物写真図鑑』50
ハダカハコベ f. glberrima
ヒメコハコベ S. micrantha(S.media var.micrantha)
S. monosperma
var. monosperma(獨子繁縷) インド・ヒマラヤ・チベット・アフガニスタン産
オオヤマハコベ var. japonica(皺葉繁縷)
本州(岩手以南)・四国・九州・臺灣・福建・浙江・湖北・廣東・貴州産
ミドリハコベ S. neglecta (賽繁縷・鷄腸繁縷・鷄肚腸草) 日本在来種
S. nemorum(腺毛繁縷・森林繁縷) 陝甘・モンゴル・西アジア・歐洲産
S. nipponica
イワツメクサ var. nipponica 本州中部の高山に産
オオイワツメクサ var. yezoensis 北海道産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
イヌコハコベ S. pallida(Alsine pallida;無瓣繁縷)
S. palustris(沼澤繁縷) 華北・東北・陝甘・四川・貴州・雲南・モンゴリア・シベリア~歐洲産
S. paniculigera (大繁縷・大鵝兒腸)
S. pseudosaxatilis(充繁縷)
エゾイワツメクサ S. pterosperma 北海道産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
エゾオオヤマハコベ S. radians (Cerastium fimbriatum, Stellaria radians
var.ovato-oblonga;繸瓣繁縷・垂梗繁縷)
北海道・秋田・長野・岐阜・朝鮮(北部)・遼寧・吉林・黑龍江・河北・内蒙古産
『中国本草図録』Ⅹ/4580・『中国雑草原色図鑑』58
シコタンハコベ(ネムロハコベ) S. ruscifolia
S. saxatilis (石生繁縷・地精草) 食用・薬用。『中国本草図録』Ⅳ/1614
ミヤマハコベ S. sessiliflora(S.franchetii, S.franchetii var.sessiliflora,
S.japonica var.japonica, S.sessiliflora var.japionica)
北海道・本州・四国・九州・済州島産
ヤマハコベ S. uchiyamana(S.inumurae, S.tomentella, S.tomentosa)
本州(近畿以西)・四国・九州産
S.uliginosa
ノミノコブスマ var.uliginosa(S.alsine;雀舌草・濱繁縷・天蓬草)
歐洲・北米原産、北日本に帰化
ノミノフスマ var. undulata(S.alsine var.undulata)
S. umbellata(S.irrigua;傘花繁縷)
華北・西北・四川・チベット・中央アジア・シベリア・極東ロシア・北米西部産
S. vestita(箐姑草) 華北・山東・陝甘・西南・ヒマラヤ・華東・兩湖・廣西・臺灣・東南アジア産
S. yunnanensis (雲南繁縷・千針萬綫草)
四川・雲南産 『全國中草藥匯編 上』pp.121-122,『中国本草図録』Ⅱ0551
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ナデシコ科 Caryophyllaceae(石竹 shízhú 科)については、ナデシコ科を見よ。 |
訓 |
和名ハコベは、ハコベ及びミドリハコベの通称。漢名の繁縷も同様。 |
『本草和名』に、鷄腸草及び蘩蔞は「和名波久倍良」と。
『倭名類聚抄』に、蘩蔞は「和名八久倍良」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』繁縷に、「ハクベラ和名鈔 ハコベラ古名 ミキクサ古歌 ハコベ ハベラ勢州 アサシラゲ加州羽州秋田 ヒヅリ藝州石州 ヘヅリ讃州 ヒヅル雲州 ヒンヅリ丹波 マヒヅル備前 ヘンヅル若州 ムシツリ豫州」と。 |
説 |
ヨーロッパ原産、広く世界の温帯に帰化。 |
誌 |
中国では、S. gypsophiloides (銀柴胡)の根を銀柴胡(ギンサイコ,yíncháihú)と呼び薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/802-803
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日本では、かつてはハコベを蔬菜として食用にした(春の七草の一)が、今日では薬用にするほか、小鳥や兔の飼料として用いるにとどまる。
綠なす蘩蔞(はこべ)は萌えず
若草も藉(し)くによしなし・・・
島崎藤村「千曲川旅情の歌」より
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